蔵「さて、今回は以前やった若デレラがなかなか好評だったので童話シリーズ第二弾を上演したいと思います。」
黄「なぁ、何故お前の話には前振りというものがないんだ?」
飛「またあんなくだらないのをやるのか?」
蔵「くだらないとは何ですか。俺がアレンジしたのに。」
鈴駒「あれはすでにみんなの知ってるシンデレラじゃなかったよーな・・・」
蔵「いいんです。とにかくやるんです。」
陣「今度は何やるだ?」
凍「女装は勘弁してくれ・・・」
死「同じく・・・」
鈴木「私は美しい役ならALL OKだ!!」
躯「できれば黄泉をいたぶれるのがいい。」
黄「・・・・・」
蔵「えー、今回は『ヘンデルとグレーテル』をやりたいと思います。そして配役はコレです。」
ヘンデル:飛影 グレーテル:躯
父親:酎 いじわるな義母:鈴木
魔女:黄泉
パンを食べちゃう小鳥@:凍矢
パンを食べちゃう小鳥A:陣
飛「蔵馬、お前はまたナレーションなのか?」
蔵「ええ。俺演じるの苦手なんです。」
一同(それは絶対嘘だ・・・!!)
飛「お前魔女やればいいじゃないか。ぴった・・・」
蔵「飛影?三途の川の向こうのお花畑見せてあげましょうか・・・?(ニコッ)」
飛「・・・何でもいい・・・さっさと始めろ・・・」
幽「なぁ、俺もなんかやりてぇよ〜。」
蔵「ああ、これとはまた別の話を後でやるんでその時に。」
躯「ラッキー♪この話最後に黄泉のことかまどにぶち込めるシーンあるじゃないか♪」
蔵(そこだけは是非実演で・・・くすっ・・・)
黄「修羅、今日はパパも出るからな〜。ちゃんとおとなしく見てるんだぞー。」
修「はーい。パパがんばってね〜。」
蔵『それではこれより『ヘンデルとグレーテル』改め『ヒエゼルとムクーテル・魔女(黄泉)なんか倒しちゃうぞ☆』を上演します。』
修「わーい!劇だ劇だー!!」
鈴駒「よかったね死々若。今回は女装ネタがなくて。」
死「ああ・・・だがこの後もう一本やるらしい・・・蔵馬がもう一冊台本を用意していた・・・」
蔵『昔々、ある所に木こりの一家が住みついていました。』
酎「俺達いきなり寄生虫扱いかよ?」
鈴木「何だお前達!!早く起きて美しく畑を耕さないか!!」
飛「何寝ぼけたコトを言っている。まだ5時じゃないか。」
鈴木「夕方のだろうが!!何時間寝れば気が済むんだ!?」
躯「気が済むまで寝れば気が済む。それに寝るコトはいいんだぞ?『果報は寝て待て』とか『寝る子は育つ』とか言うじゃないか。」
鈴木「ヒエゼルはさんざん寝てもちっとも育たないではないか!!」
飛「お前の作る食事がいけないんだ。栄養がないからな。」
鈴「「何を言う!カラフルで色とりどりでトレビアーンな見た目にも美しい料理ではないか!!」
飛「ミックスベジタブルだろうが!!しかも冷凍のな!!」
鈴木「・・・『早起きは三文の徳』というではないか・・・」
躯「三文なら寝てたほうがいいな。」
酎「俺もだ。ヒック。」
鈴木「だいたい父親のお前がそんなだから子供達がこうなるんだ!!おかげで食べ物が全く無いんだぞ!!」
躯「じゃあオレ人喰ってくる。」
飛「俺は近隣の民家の畑から何か盗ってくる。」
酎「俺は酒があれば生きていける〜。ヒックヒック♪」
鈴木「この食糧難と言う言葉に乏しいヤツらめ・・・」
蔵『こうして彼らの食べ物は日に日に無くなっていき、義母は子供達を捨てることを考えました。』
鈴木「酎・・・じゃなかった。あなた、明日子供達を森に捨てるぞ。このままでは私たちの食料が危ない。」
酎「え〜?ヒエゼルがいなくなったら誰が俺のスルメあぶるんだ!!」
蔵『二人は口論となりましたが、お父さんはしぶしぶ子供達を捨てることに同意しました。そんな二人のやりとりを邪眼で見ていたヒエゼルは・・・』
飛「おい、俺達明日捨てられるらしいぞ。」
躯「今度捨てられたらオレもお前も二回目だな。」
飛「まぁアレが親とは思えんが・・・というか限りなく無関係であって欲しい。」
躯「それは同感だがベッドで寝られなくなるのはつらいな・・・」
飛「俺も隣で眠るお前の寝顔を見れなくなるのはつらい・・・」
躯「ん?何か言ったか?」
飛「いや・・・」
躯「それでどうする?このままただ捨てられるのは面白くない。」
飛「邪眼で戻ってくればいいだろ。」
躯「だが台本に『邪眼は今夜まで使用可能』となっているぞ?」
飛「ちっ・・・強引な設定にしやがって・・・ならこの小石を目印に落として行くってのはどうだ?」
躯「普通に来た道を覚えてればいいんじゃないか?」
飛「先に言っておくが俺は余計なことには頭を使わない主義だ。」
躯「素直に方向音痴って言ったらどうだ?」
飛「ならお前が覚えてればいいだろう。」
躯「オレは土地感が無いんだ・・・」
飛「お前だって方向音痴じゃないか・・・」
蔵『そして翌朝。』
鈴木「お前達出掛けるぞ。これは昼食用のパンだ。」
飛「相変わらずしけたメシだ。」
蔵『こうして2人は捨てられるコトを承知で4人は森の中に入っていきました。そしてヒエゼルは目印になるように小石を落としていきました。』
飛「ふっ・・・我ながら斬新なアイデアだ。」
躯「なぁヒエゼル、今思ったことがあるんだけど。」
飛「何だ?」
躯「落とした小石と初めから落ちている小石をどう見分けるんだ?」
飛「・・・・・」
3分後
飛「よし。パンを落としていくぞ。これなら一発だ。」
躯「オレのはやらんぞ?」
飛「意地汚いヤツめ・・・」
修「あ〜あ、いけないんだ。食べ物を粗末にしちゃいけないいんだぞ!」
鈴駒「いいんだよ。アレ鈴木が作ったパンだもの。まぁアレじゃ不法投棄みたいだけど。」
躯「・・・ヒエゼル、オレのパンも使え。」
飛「お前な・・・」
蔵『こうしてヒエゼルはパンを道標がわりに落としていきました。』
鈴木「よーし、私達はコイツと木を切りに行って来る。終わったら迎えに来てやるからおとなしく待ってるんだぞ?」
飛「分かった。それじゃ寝て待つとするか。」
躯「天気もいいしな。」
蔵『しかし二人は夜になっても迎えに来ませんでした。ちなみにヒエゼルとムクーテルはこの時まで寝ていました。』
躯「ふわ〜・・・よく寝た。たまには外で寝るのも悪くないな。」
飛「やはり捨てられたようだな。しかしそれがちょっと嬉しいのは何故だろう・・・」
躯「深く考えない方がいいぞ?」
飛「よし、昼間落としたパンを目印に戻るとするか。ん・・・?」
躯「どうした?ヒエゼル。」
飛「・・・無い・・・」
躯「身長が?」
飛「違う!!(違わない)落としたパンが無いんだ。」
躯「なんで・・・」
陣「わーい!今日はいっぱいパンが落ちてるだな!(ぱくぱく)あっ!あっちにもあるだ!!」
凍「陣!落ちてる鈴木のパンなんか口に入れるな!腹壊すぞ!!」
飛「貴様らか・・・」
凍「ああ、これはお前達のだったか?すまない・・・全部食べてしまった・・・」
躯「かまわん。お前達を焼き鳥にするまでだ。」
陣「ほえっ?」
鈴木「いや!!焼き鳥より女体盛りがいいと思うぞ!!もちろん死々若もな!!」
飛「貴様俺達を捨てて家に帰ったはずだろうが!!」
死「劇の邪魔をするな!バカ!!」
鈴木「バカって言うな!美しいと言え!!」
蔵「鈴木、出番じゃないときに乱入しないでください。(もう出番無いけど)」
修「ねぇねぇ、女体盛りってなーに?」
死「・・・・・女性が作った刺身の盛り合わせの事だ・・・」
幽(嘘を教えて良いんだろうか・・・)
蔵『こうして2人は目印を失い、森の中をさまよいました。』
飛「くそっ・・・あのアホウドリめ・・・人のパン食いやがって・・・」
躯「アホウドリじゃなくてスズメだろ?仕方ないさ。終わったことはあきらめろ。」
飛「・・・ん?」
躯「どうした?ヒエゼル。」
飛「なんかいい匂いがする・・・」
躯「なんだ?この匂いは?」
蔵『2人は匂いをたよりに森の中を進んでいきました。するとそこにはもんじゃ焼きで出来た家がありました。』
鈴駒「もんじゃ!?お菓子の家じゃないの!?」
幽「しかも本当にセット作ってるし・・・」
飛「いい家だ!壁はもんじゃ焼き、屋根は豚焼き、窓は鉄板で出来ている!」
躯「ソースの噴水って・・・」
蔵『お腹の空いていた2人はその家を食べてしまいました。』
飛「ん、うまい。焼き加減もちょうどいい。」
躯「ソース臭い家だな。かつおぶしもっとかけよっと。」
蔵『そこにめっちゃ怪しげなおばあさんが現れました。』
黄「誰だねこんな夜遅くに。」
飛「ここは貴様の家か?うまいぞ、このもんじゃ焼き。」
黄「いや、他の食事をやるから我が家を食わんでくれ。よっぽどお腹が空いているのだな。」
躯「家庭の事情であまり飯を食わせてもらえんのだ。」
黄「いいともいいとも笑っていいとも。私がごちそうしてやろう。」
蔵『2人は出された食事をパクパクとたいらげましたが実はこのおばあさんは魔女だったのです。この魔女は2人を食べようとしていたのです。そしてヒエゼルは牢屋に入れられ、ムクーテルはこきつかわれたのです。』
黄「ふっふっふ・・・ヒエゼル、お前にはもっと太ってもらうぞ。旨そうに肥えるがいい。」
躯「やめた方がいいぞ。そいつ食うと腹の中でトゲ刺すぜ?髪でちくちくってな。」
飛「お前どっちの味方だ?」
黄「ムクーテル、お前は一生私の下僕にしてやろう。まずはこのスプーンでバケツいっぱいに水をくんでこい。」
躯「お前は姑か?」
黄「ぐだぐだ言ってないでくんでこい!でないとコイツを今すぐ三枚におろして食べるぞ!!
躯「ったく・・・この家には蛇口という文化はないのか?」
蔵『ムクーテルはぶつくさ言いながら水をくみに行きました。その頃・・・』
黄「どれ、お前がどれくらい太ったか調べてやろう。腕を出せ。」
飛「ん。」
蔵『そう言ってヒエゼルが差し出したのは牢屋の中で拾った孫の手でした。魔女は目が見えないので分からなかったのです。』
黄「何だ、まだこんなほそっこいのか。食べるのはもっと太らせてからだな。しかし身長もこんなちっこくて本当に不憫(ふびん)なやつだな・・・」
飛「余計なお世話だ。第一見えないのに何で俺の身長が分かる?」
蔵『その頃、水をくみに行ったムクーテルは・・・』
躯「あ〜あ、桃でも流れてこないかなー・・・」
幽「てか何で孫の手なんだ!?」
蔵「修羅と黄泉がけんかすると修羅が黄泉の背中をかいてくれないからっていじけて買ったんですよ。」
鈴駒「なっさけないパパだね・・・」
躯「ああ、早くヒエゼルを助けないと。いい加減ソースのにおいがしみついちまう。」
蔵『ムクーテルが水をくんで戻ると・・・』
黄「やっと帰ってきたか。このグズ。次はさっさとかまどの火を起こせ。」
躯「お前本音でやってるだろ?」
黄「何を言う、私はちゃーんと蔵馬の台本通りにやっているぞ?」
鈴駒「さっき赤ペンで修正入れまくってたけどね。」
幽「せこっ!!」
蔵『ムクーテルはしぶしぶいやいやダラダラとかまどに火をおこしました。そこで彼女はキュピーンと来ました。』
鈴駒「キュピーンって・・・」
躯(よーし、このかまどの中にぶちこんでやる・・・)
黄「どうした?さっさとやらんか。」
躯「火加減の見方が分からんのだ。」
黄「私だって目が見えないから分からんぞ?」
躯「・・・じゃあ、火の音で聞き分けてくれ。」
黄「まったくしょうがないやつだ。・・・ん〜、もう少し強くしろ。」
(ふっふっふ・・・かまどをのぞかせて突き落とそうって魂胆だろうがそうはイカの姿焼き!!)
躯「もっと近寄らなければ分からんだろ?」
黄「い〜や?私の耳は一級品だ。ヒエゼルの牢屋の前からでも聞き取れるぞ、ほら。」
躯「今だ!!ヒエゼル、そっから黒龍波ぶちかませっ!!!」
飛『炎殺黒龍波ーーーーーーーーー!!!!』
黄「ぐはっ!!!!!!!」
蔵『こうしてムクーテルの機転により、魔女をかまどの中にぶち込みました。』
黄「きっ、貴様ら!!何をする!!」
躯「ふっ!シナリオ通りにやったまでのこと!!」
修「ねぇ、邪眼使ったらダメなんじゃなかたっの?」
蔵「ん?ああ、あれは邪眼で遠くのもの見たりしちゃダメって事で、その他はOKだよ?黄泉も倒さなくちゃいけないし。」
死「魔女じゃないのか?」
幽「あわれ黄泉・・・」
躯「さっさと出るぞこんなトコ。いい加減ソースの匂いに酔いそうだ。」
飛「そうか?俺はいたく気に入ったがな。もんじゃ焼きだしな。」
躯「お前ホント好きな・・・」
蔵『こうして2人は黄泉・・・じゃなかった、魔女を倒し、もんじゃ焼きの家を出て走り出しました。』
飛「逃げてきたのはいいが結局帰り道が分からんな。」
凍「お前達無事だったか。」
躯「あ、この前のスズメ。」
凍「この間は陣がパンを食べてしまって申し訳ない。帰り道は俺が覚えてるので案内する。」
躯「そうか、それはありがたい。ん?陣はどうした?」
凍「腸の運動を活発にしてある個室に立てこもっている。」
鈴駒「つまり下痢ピーでトイレから出られないってコトね・・・」
死「あの陣の賞味期限お構いなしの鉄の胃袋を・・・」
蔵『こうして2人はスズメの案内により家に帰るコトが出来ました。』
躯「ただいまー。」
酎「おっ!帰ったか。お父さんはずーっと心配してたんだぞー。」
飛「子供を心配する親が樽酒(たるざけ)30本空けるのか?」
酎「心配のあまりにな。」
飛「マッドサイエンティ・・・母親はどうした?」
酎「あ?離婚されちまったよ。なんか美を極める!!とか言って旅に出ちまった。これからは3人<仲良く酒飲んで暮らそうな♪ さっ、ヒエゼル、早速スルメとカツオあぶってくれ♪」/p>
躯「ヒエゼル、オレにもな。」
飛「ふん、焼き鳥も付けるか?」
凍「へっくし!!」
陣「どうしただ?(←下痢完治)」
凍「いや、なんかイヤな予感が・・・」
蔵『こうして意地悪な義母を追い出したお父さんと子供達は末永く幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。』
鈴駒「相変わらずの『なんちゃって童話』だったね・・・」
修「あ〜、おもしろかった!パパもこんがり焼けたし。」
死「これでいいんだろうか・・・」
幽「いいんじゃねぇの?」
蔵「続きまして『狼と七匹の子やぎ』を上演いたします。」
一同「「「「「マジで!?」」」」
修「わ〜い!第二幕〜vvv」
は〜い、あとがきですね。菜月様から頂いたリクエスト
『飛影と躯様が中心で他に幽助や蔵馬も出てくる長めのギャグ小説』ということでしたが
如何でしたでしょうか?前回は六人衆を中心に書いたシンデレラでしたが
今回は飛影と躯様中心のヘンゼルとグレーテルという童話シリーズ!!
(いつの間にかシリーズ化したんだ!?)長めということでしたがこれは長いのでしょうか?
温泉よりは長くないですが(笑)。
この小説は菜月様に捧げます。キリ番リクエストありがとうございました。 〜殿〜