飛影の『百足漂流記』後編



◆月◇日(金)天気:怒りの雨霰

今日もまた招集をかけられた・・・コイツらはよっぽど暇なんだな・・・

↑一番暇な人

桑「ほれ、飲みモンと菓子。」

蔵「あっ、いただきます。」

幽「桑原ー、お茶菓子出してくれんのはいいんだけどよ、もっとこうお前らしいのねぇの?」

桑「あん?イチゴ○ッキー嫌いか?」

幽「嫌いじゃねぇけどオメェのイメージは堅焼き煎餅とかかみなりおこしだろ。」

蔵「それでもってアイスはガリガリ君。」

桑「まぁ確かに俺は硬派だけどよ。菓子まで硬派にする事ねぇだろ。」

幽「いや、イメージ的じゃなくて顔の形的に。」

桑「・・・・・俺今から浦飯と煎餅は粉々にしてから食う事にしよっかな〜♪・・・」

蔵「桑原君、顔とお菓子の関係はともかく、こういうの食べてるとは思いませんでしたよ。」

桑「何だよ蔵馬まで。いいんだよ、コレは雪菜さんと一緒に食べるためにストックしてんだよ。

雪菜さんにはこういう系の菓子が似合うからなv俺はコアラ○のマーチとかが好きだなv」

飛「・・・・・・」

蔵「あっ、コアラの顔確認しながら食べるタイプでしょ?」

飛「・・・・・」

桑「あったりまえよ。この間も雪菜さんと一緒に食べてよ、雪菜さんが『あっリボンのコアラさんですv』なーんて、

もう可愛いったらありゃしねーよv」

飛「・・・・・」

幽「血迷ってもオメェは今と同じ台詞吐くなよ。」

桑「はぁ・・・しっかし・・・雪菜さんのお兄さんはどこにいるんだ・・・」

飛「・・・・・」

桑「雪菜さんにお兄さんを見つけだす約束をした以上あんま待たせたくないし、お付き合いの挨拶もせねばならんと言うに。

俺いつでも雪菜さんのお兄さんにご挨拶出来る様にいつも菓子折用意してんだぜ?」

飛「・・・・・・・・・・」

蔵「準備が良いと言うか何と言いますか。ちなみに桑原君は雪菜ちゃんのお兄さんってどんな感じだと思います?」

飛(蔵馬・・・余計な事を・・・(怒))←心の叫び

桑「えっ?そうだなー・・・まず雪菜さんと血が繋がっていらっしゃるんだから、顔は可愛い系かな?」

幽「可愛い系ね・・・まぁ確かに目はくりっとおっきなおめめかな?」

飛(殺すぞ幽助・・・(怒))←怒りの心の叫び

桑「そんでもって、雪菜さんと性格も似てて、こうおしとやかって言うか、物静かで、静寂を纏う森林の様な・・・」

蔵「確かに・・・物静かと言うよりは常に嵐の前の静けさみたいな静かさではあるかもですね・・・」

飛(吹き荒れてやろうか・・・(怒))←怒濤の心の叫び

幽「まぁよく森林にいるわな。蜂蜜塗っておけば来るかもな。」

蔵「いやいや、もんじゃでも来ますよきっと。」

飛(・・・・・・)

桑「浦飯、雪菜さんのお兄様をカブトムシと一緒にすんじゃねぇよ。」

飛(いつの間にかお兄"様"になってやがる・・・!)

桑「今はお顔も分からんが雪菜さんのお兄様の事だ!きっと俺の事を認めてくださるはずだ!」

幽「そいつは・・・どうかな・・・」

蔵「宇宙が認めてもお兄さんだけは認めない可能性が・・・ねぇ?」

飛(俺を見るな!!)

幽「その前に雪菜ちゃんの気持ちがどうよって感じなんだけど。」

桑「愚問だぜ。俺と雪菜さんの心は青森と北海道を繋ぐ青函トンネルの様に深い所でドッキングしてるんだよ。」

蔵(やっぱり飛影がお兄さんだと知ったらショッキングなんだろうな・・・)

飛「・・・あれだな・・・今日はいい天気だな。」

幽「今大雨・雷・強風・波浪警報出てるけどな。」

蔵「ナスダックの動向より北京ダックの貴方がいきなり何言ってんです?」

(飛影、話題転換しようとしても無駄ですよv)

幽「まっ、アレだな。恋は当たって砕けて粉々になれって言うし?」

飛(雪菜に万が一何かあったら塵にしてくれるわ・・・)

蔵「言い過ぎですよ幽助。雪菜ちゃんは人相で判断したりしないでちゃんとその人の良い所が分かる子ですよ。ね?飛影?」

飛「・・・何で俺に振るんだ・・・」

桑「そりゃオメェの人相が悪いからだろ。」

飛「貴様に言われる筋合いは無い。」

蔵「はいはい、目くそが鼻くそ笑わない。」

幽「お前の言葉ってバラのトゲより突き刺さるな。」

蔵「そうですか?俺羽毛布団ばりに優しく言ったつもりですけど?」

飛・桑((真綿で首締めてる様なモンだろ!))

幽「まっ、頑張れや。骸工大附属入るより難しいだろうけどよ。」

桑「ンだとコラ。でも俺ちょっとだけ飛影が羨ましいんだよなー。飛影と雪菜さん身長同じ位だから目線があっていいなってよv」

飛「・・・・・・」

雪「こんにちは。静流さんからコレ差し入れの焼き芋です。今日は寒いからあったりますよ。」

桑「雪菜さんがいれば俺の半径100Kmは春真っ盛りです!」

幽「つーかオメェ湯気出てるぞ。」

蔵「と言うか蒸気ですね。」

雪「飛影さんもどうぞ、ホクホクして美味しいですよ。」

飛「・・・・・ああ。」

桑「コラッ飛影!雪菜さんが勧めてくださったのに何だその不遜な態度は!!」

飛「焼き芋一つでそこまでする義理は無いだろ。」

桑「しかもてめぇ一番大きい奴取りやがって!」

飛「手前にあったのを取っただけだ。」

雪「和真さん、まだたくさんありますから。」

桑「いえ雪菜さん、コイツは行儀とか全くなってないんです!躾は大事です!」

幽「犬かよ。」

蔵「目つき的に猫じゃないですか?(てかサイズ的に?)」

飛「主人ならちったぁ客をもてなしたらどうだ!」

桑「オメェは何気に食い物にがめついからな!」

飛「いかつい顔の貴様に言われたくは無い!」

桑「分かった分かった!たーくさん食って身長伸ばしましょうね飛影ちゃん!」

飛「貴様こそ食った栄養少しは脳味噌に回したらどうなんだ!」

雪「ふふっ、和真さんと飛影さんっていつも仲がいいですねv」

幽「雪菜ちゃんの目にはそう見えるのね。」

蔵「見方によっては微笑ましいかもしれませんね。漫才の練習みたいで。」

飛・桑「「違うっ!!」」




雪菜・・・

口を挟む気は無いが・・・

自分を大事にしろよ・・・







♀月♂日(土)天気:雨の日は毛のとがりが少し弱い気がする

躯と喧嘩した。

言っておくが俺が悪いんじゃないからな。

あいつが勝手に機嫌を悪くしただけだ。

だから今蔵馬の家に上がり込んでいる。

蔵「貴方達二人とも普段会話なんてろくにしないんだからせっかくの会話で喧嘩しちゃダメですよ。」

飛「俺は別に喧嘩しようとか思ってたワケじゃない。行き当たりばったりでこうなったんだ。」

蔵「計画的に喧嘩する人レアですよ。で?原因は何なんです?」

飛「くだらん事だ。話すまでも無い。」

蔵「でも話し聞かせて貰わないとどっちが悪いか判断出来ないでしょう?」

飛「だから、俺は悪くないと言っているだろう。」

蔵「お二人はこれまた特殊な理由で喧嘩しても何の不思議もありませんからね。」

飛「人の趣向にごちゃごちゃ突っ込んでないで、日記シリーズとか言いながら台詞だらけで日記になってないし、

一週間続けて書いてるのに何で日付の何月のトコまで毎日変わってるんだとか言う事に突っ込んでれば良いんだ。」

蔵「飛影、それは言わないお約束です。で?何があったんです?」

飛「・・・今朝・・・飯食ってたら・・・」





飛「はぁー・・・朝はやっぱりみそ汁だな。この湯気と味噌の香りがたまらん。」

躯「日本人じゃないお前が何言ってんだ。」

飛「うるさい。雰囲気だ雰囲気。」

躯「雰囲気はともかく、何で朝飯に『ゆうげ』飲んでるんだよ。」

飛「いいだろ別に。」

躯「しかも晩飯に『あさげ』飲んでるだろ。」

飛「俺の勝手だろ。俺の事とやかく言うな。」

躯「別に悪いなんて言ってないだろ。」

飛「俺は口を出すなと言ってるんだ。」

躯「ったく、小さい事でいちいち突っかかってきやがる。」

飛「貴様がいらん事を言うからだ。」

躯「別にただ何となく思ったまま言っただけだろ。何ムキになってんだよ。」

飛「ムキになってるのはそっちだろ!貴様が横でごちゃごちゃ言うからみそ汁が冷めてしまったではないか!」

躯「お前が絡んできたからだろ。オレのせいにするなよ。」

飛「ちっ!貴様なんぞラーメンにコショウかけすぎてむせ地獄を味わえば良いんだ!!」

躯「お前こそカレー屋に行って意地はって自分の許容範囲を超えた辛さのカレー注文して

水が足りなくなって店員呼びたいのに近くにいなくてこんな辛いの頼むんじゃなかったと若さを後悔して自分の未熟さを知るがいい。」

飛「フン!こんな所いられるか!!実家に帰る!」

躯「帰る実家なんぞ無いくせに。帰れるモンなら帰ってみやがれ。」

飛「黙れ!実家くらいいくらでも帰ってやるわ!」





飛「・・・と言うわけだ。しばらく居させろ。」

蔵「いつからウチは貴方の実家になったんでしょうね。桑原君家行ったらどうです?雪菜ちゃんもいますよ?たまには兄妹水入らずで。」

飛「ふざけるな。雪菜はともかく桑原はいらん。」

蔵「全く、売り言葉に買い言葉に投げ売り言葉なんだから。それで?俺にどうして欲しいんです?

喧嘩の仲裁をして欲しいんですか?吉本に連れて行けばいいんですか?」

飛「知るか。好きにしろ。」

蔵「じゃあ吉本に・・・」

飛「おい・・・」

蔵「冗談はさておき、仲裁して欲しいんでしょ?」

飛「・・・俺は女の機嫌の取り方なんぞ知らん。だから女みたいな顔したお前に聞きに来たんだ。」

蔵「・・・飛影、俺にまで喧嘩売る気ですか?買いますよ?」

飛「・・・どうしたらいいんだ・・・?」

蔵「そうですねー・・・何かあげたらどうです?躯ってどんな物が好きなんです?」

飛「あんな熊のぬいぐるみより本物のヒグマの方が好きな奴の好みなんぞ知るか。」

蔵「確かに白馬に乗った王子様より競走馬にまたがったジョッキーの方がお好みでしょうけど。何かきっかけが

あった方が謝りやすいでしょうしね。」

飛「別に俺は謝罪がしたいんじゃない。」

蔵「ああ、告白がしたいんですか。どうです?ここは平安風に和歌を贈ってみては。はい、コレ季語集。」

飛「・・・くぅ・・・らぁあ・・・まぁ・・・・!!」

蔵「ちょっと、人の家で妖気メラメラさせないでくださいよ。冗談ですよ。冗談。」

飛「貴様の冗談は質が悪すぎる・・・!」

蔵「そんな事無いですよ。まぁせっかく来たんだし、すぐ帰れとは言いませんけどね。そうだ、暇でしょうから

ちょっとお手伝いしていただけません?」

飛「・・・・・手伝い・・・?」

蔵「さっき取り寄せした植物が魔界から届きましてね。・・・ちょっと・・・実験体を・・・探してましてね・・・」

飛「そんな目で俺を見るな。」

蔵「飛影だって人の家にタダで厄介になるのは気が引けるでしょ?」

飛「お前の得体の知れない植物は血の気が引くぞ・・・」

蔵「嫌なら帰るしかないですねv」

飛「・・・・・」

蔵「と、言うわけで、手ぶらで帰るのも何でしょうからお花でも持っていきません?お土産って言えばいいですよ。」

飛「花・・・?」

蔵「これなんかどうです?ペチュニアって言うんですけど。可愛いでしょ?」

飛「まぁ・・・」

蔵「花言葉は『君といると心和む』ですv」

「却下!」

蔵「そうですか?じゃあこれは?カルセオラリア。」

飛「・・・花言葉は?」

蔵「ダイレクトに『我が伴侶』です。」

「却下!!」

蔵「じゃあ・・・あ、ちょうど今庭に咲いてるんですけど向日葵はどうです?コレは飛影にピッタリですよ♪」

飛「・・・・・・で?」

蔵「ズバリ!『私の目はあなただけを見つめてる』です。」

「却下あああ!!!」

蔵「折角目三つあるのに。もー、アレもダメコレもダメ。よしっ!とっておきのバラの花束を見繕ってあげましょう!」

「絶対にいらん!!帰る!!」






結局、あの後蔵馬の家の庭に生えている花を適当に摘んで帰って躯に渡した。

どんな花だか、と言うか植物なのか花なのかも分からないがプレートにはリナリアだとか書いてあった。

躯も思ったより機嫌が悪くなかったし、俺も何故こんなに不機嫌になったか忘れていた。。

躯「飛影、この花どこで摘んできたんだ?」

飛「忘れた。」

躯「・・・相変わらずだな。」

飛「ふん・・・」

躯「狐の所に行ってたんだから持ってくるなら薔薇じゃないのか?」

飛「バラなんぞあいつだけで十分だ。俺も貴様もバラなんて似合わん。」

躯「お前のくれた花ベッドの横に飾ってみたがなかなかいいな。」

飛「・・・そうだな・・・」






あれは『私の恋を知ってください』ですよ飛影v by蔵馬







†月£日(日)天気:甘ったるくて気怠い曇り空

俺にとって魔界と人間界の境界が無くなろうがそのままだろうがどうでも良かった。

どうでも良かったが魔界に好んで来る人間はそうはいないが人間界のくだらない知識は好き勝手に入ってきやがる。

ちっ・・・おかげであいつも変な事ばかり覚えやがる。




「ほら。」

「・・・・・何だコレは。」

「チョコレート。」

「それくらい見れば分かる。いつ買ってきたんだ?こんなもの・・・」

「魔界通販。最近人間界の商品でも通販出来るんだと。時代は変わったな。」

「・・・・・・」

「それでな、飛影、コレ百足の乗組員に配ってくれ。少し多めに買ったから全員に行き渡るはずだ。普段の労いを込めてな。」

「・・・」

「ん?ああ、余ったらお前にやるよ。」

「・・・ふん。余りモンなんぞいらん。」

「残り物には福があるって言うぜ?」

「残り物は所詮残り物だろうが。」

「そう言うなよ。この行事は本命にだけじゃなくて義理でもくれてやるのもあるんだろ?」

「さぁな。これは女の方が騒ぐ行事らしいからな。俺は分からん。」

「本命にくれてやりたいのはやまやまなんだが、生憎オレの本命はチョコを溶かしちまうからな。」

「・・・・・」

「だからお前には9月になったらやるよ。」

「9月・・・?」

「9月の14日は好きな奴に下着を贈って告白するんだと。お前何色が好きなんだ?やっぱり黒か?」

「なっ・・・!」

「冗談だよ。お前フェイントにはあまり引っ掛からないくせにこういうのには面白いぐらい引っ掛かるな。」

「お、俺はお前と違って冗談や戯れ言の類は言わんのだ!!」

「行事的には本当にあるらしいぜ?まぁ、それはそれとして、頼んだぜ飛影。ちゃんと配れよ。つまみ食いするなよ。」

「誰がするか・・・」







ちっ・・・何故俺がこんな事を・・・自分で買ったんなら自分で配れってんだ・・・

面倒だから適当に百足内を歩いてすれ違った奴らに適当に投げて寄越した。

確か人間界では家を建てると屋根からこんな感じにおひねりとか言う物を蒔く習慣があると言ってたな・・・

それに人間界では女が男にチョコレート渡す行事の前に豆をまく行事があると蔵馬が言ってたな。それに似てる。

厄を祓うとか・・・今度桑原にありったけの豆投げつけてやるか。

全員に行き渡らせる前に何人ここにいるか知らないし調べる気もないが、

とりあえず持っていたチョコは無くなった。

『躯からだ』と言う説明はしなかったから、もらった奴らは何とも言えないと言うか何と言えばいいと言った顔をしていたが

それもどうでもいい。

適当なヤツに適当な数を渡して部屋に戻ってきた。

一つも貰ってないヤツもいれば複数回もらったヤツもいるだろうがどうでもいい。

ちっ・・・体力なんざ全く使ってないのに、下らない事をするだけで何でこんな疲れるんだ・・・

さっさと寝ようとベッドに向かうと枕元に小さな袋が置いてあった。

さっきまで俺が無理矢理配らせられたあの袋と同じ柄の袋・・・

さっきまで俺の周りにまとわりついていた匂い・・・

ほんのり匂ってくる甘い香り・・・


ふん・・・どうせ盗賊だから金がいい。金とかけてコインチョコでもやろうって事だろ。


別に・・・欲しくもないし・・・もらっても何も嬉しくなんかないんだからな・・・

第一人が配ってる間に勝手に部屋入りやがって・・・

疲れた時は甘い物がいいって言うから・・・

丁度・・・よかっただけだからな・・・











カサコソカサコソ・・・














五円チョコかよ。















どうも、五円チョコ大好きな管理人の殿です。

マーブルチョコとアルフォートときのこの山とポッキーが大好きです。

飛影はどんなに強くて強がっても躯様や蔵馬に比べたら遙かにお子様なので

二人に頭が上がらなければ楽しいななんて思ってます。

一応全員七日分、日曜はちょっとギャグ要素を抜いていたのですが、

今回は最終章だし、やっぱりオチはギャグで締めないと落ち着かないので。(笑)

さてさて、ひとまず日記シリーズ編は飛影をもって終了です♪

飛影無口な方だから日記短いだろと思って、油断して周りを喋らせまくったらとってもロングになりました。

続けば続くほど『これ日記じゃないね』シリーズと化しましたが、

最後までお付き合い頂ければ幸いですv