蔵『こうして声も手足もお母さんヤギに似せた狼はしつこく子ヤギたちのいる家に赴きました。
さぁ、果たして三度目の正直になるか!?それとも二度あることは三度あるになるのか!?』
鈴駒「何でいきなり実況中継風なの!?」
黄「ただいま。帰ってきたよ。おみやげもあるぞ。」
飛「なら手足を見せろ。」
黄「いいとも、このファブリーズもいらないお母さんの足を存分に見るがいい。」
陣「ちゃんと白いだな。」
凍「どうやら今度こそ本物の様だな。」
蔵『子供達はすっかり信用してドアを開けてしまったのです。』
黄「はっはっはー!!引っかかったな!お前達全員食ってやる!!」
陣「あっ!狼だべ!」
黄「まずはお前からだ!(がぶっ!)うっ!酒&にんにく臭!!」
酎「あ、わりぃ。さっき餃子食ったんだわ。まぁがんばって食え。」
黄「まったくこれが子ヤギという設定か?(パクパク)次はお前だ!!」
陣「へ?オラだべか?食ってもおいしくないだよ〜。」
黄「いやたーっぷり脂がのってておいしそうだ。(がぶっ)いたっ!お前この角引っ込められないのか!?」
陣「そりゃ無理だべ。丸飲みにするだ。」
黄「・・・・・んぐんぐ・・・なんて食うのにこんなに体力がいるんだ・・・よし!次はお前だ!」
鈴木「うん?私か?仕方ない。では美しく食べろ!さぁ!!」
黄「・・・なんか食べたら食中毒になりそうだ。」
鈴木「失敬な!ならば嫌でも食べさせてやろう!とうっ!!」
黄「ふごっ!ひぬんはらふふぃひほひほんへふふふぁ!(訳:自分から口に飛び込んでくるな!)
はぁ、疲れる・・・ん?他の奴らは・・・くく・・・隠れてもにおいで分かるぞ。まずはここ!!」
死「ちっ・・・こんな足の臭い男に見つけられるとは。」
黄「ふふふ・・・お前は別の意味で食べたいぞvvvさっそく・・・」
死「腹の中で刺されたくなかったらさっさと食え。」
黄「はい・・・もぐもぐ・・・さーて次は・・・」
幽「にしてもどれだけ入るんだこの腹は。」
黄「気にするな。お前もぺろっといってやる。」
幽「おーすげぇ、こーなってるのか〜。」
黄「観察していないで早く胃に行け!!次はそこだ!」
凍「わー、食べられるー。」
黄「もう少し危機感のある演技はできんのか?」
凍「いいからさっさと食べろ。話が進まん。」
黄「なんてかわいげのない子ヤギよ・・・はぁ食った食った。」
飛「(次は俺の番か・・・)
蔵『ところが末っ子の飛影はちっちゃいので時計の中に隠れることが出来たのです。』
飛「なんか言ったか実況中継・・・」
蔵「いえいえ、ほら静かにしてないと見つかっちゃいますよ。」
躯「あの時計の中眠りやすそうだな。」
鈴駒「なんかああいう微妙な空間が魅力なんだよね。」
蔵『末っ子の飛影は自分も食べられてしまうのではと言う恐怖におびえ・・・』
飛「ふぁ・・・眠い・・・」
躯「恐怖におびえると言うより眠気に堪えてるな。」
黄「げふっ。たくさん食べたな。今日はこの辺で帰るとするか。」
蔵『満腹になった狼は飛影に気付かず狼は帰っていきました。』
飛「兄貴達全員食われたか。ざま・・・だらしのない兄貴どもめ。」
躯「自分の妹に兄とも名乗れない奴に言われたくないよな。」
飛「貴様見てたんなら助けろよな・・・」
蔵「まぁまぁ、躯、そろそろお母さんヤギの出番ですよ。」
躯「そうだった。あまり出番がなかったんで忘れていた。」
蔵『お母さんヤギが帰ってくると家の中が滅茶苦茶になっていました。』
躯「あの野郎・・・家の中メチャメチャにしやがって・・・」
黄「最初から散らかっていたではないか・・・」
蔵『お母さんヤギが呼んでも子供達の返事はありません。』
躯「おーい、息子達どこに行ったー?」
飛「ここだ・・・」
躯「ああ、飛影、見事に時計の中にはまって。」
飛「うるさい・・・さっさと引っ張れ。あいつら全員狼に食われた。」
躯「何だと?くそー、あの野郎オレの非常食・・・かわいい息子達を・・・」
飛「おい、今お前の目が子供を心配する母親の目じゃなくて獲物を狙うハンターだったぞ ・・・」
躯「気にするな。」
飛「それでどうするんだこれから。」
躯「弔い合戦でもするか・・・」
蔵『2人はどうしていいか分からず、とりあえず外に出ました。』
躯「ん?」
飛「どうした?」
躯「あの池のほとりで大口開けてヨダレ垂らして息子の抱き枕を抱きしめてみっともない姿で
寝てるのは狼じゃないのか?」
飛「ああ、あの狼だ。あのでかい腹が何よりの証拠なのだ。」
蔵『そこでお母さんヤギはキュピーンと来ました。』
修「んもー、パパったら何時の間にあんな枕作ったんだろ・・・恥ずかしいったらないよ。」
鈴駒「マネしちゃダメだよ修羅。この前蔵馬のも見たけど。」
躯「よし、食われたのがさっきならまだ消化されていないはずだ。」
飛「俺としてはあの腹の中にどうやって6人も突っ込んでるのかが疑問なんだがな。」
蔵『お母さんヤギは家から狼の腹を切るものと縫うものを持ってきました。』
躯「よーし!これで狼の腹かっさばいて息子達を救出するぞ!」
飛「目が輝いてるぞ躯・・・」
躯「この時を待っていたからな。それじゃ行くぞ!」
ぎゅいーん・・・・
黄「ちょっと待て!!」
躯「何だよ黄泉、ちゃんと台本どおり寝てろよな。」
黄「やかましい!どこに私の腹をチェンソーでかっさばけとあった!?お前はジェイソンか!?」
躯「何だそんなことか。ちゃんとオレが書き直しておいたから安心しろ。」
黄「できるか!!ハサミ使えハサミ!!」
躯「ふん、意気地の無い奴だ。」
黄「意気地でチェンソーで腹切られてたまるか!!」
蔵『お母さんヤギはハサミに持ち替え、狼の腹をかっさばきました。』
酎「ぷはー、やっと出られたぜ〜。」
陣「んー?朝だべか?」
鈴木「狼に食べられてもなお私は美しい!」
死「にんにく臭い・・・」
凍「全くだ・・・」
幽「だーっ!暑苦しい!」
躯「おー、お前ら無事だったか。心配したぞー。」
飛「さっき非常食と言いかけなかったか?」
陣「久しぶりだな母ちゃん、飛影。ご飯は?」
凍「陣、今の今まで俺達が飯だったんだぞ?」
死「居心地の悪さは天下一品だったぞ。」
躯「よし、じゃあ今度は狼の腹に石を突っ込むぞ。みんなその辺から石を拾ってこい。」
子ヤギたち「はーい!」
蔵『子ヤギたちはお母さんに言われて石を取りに行きました。狼が起きないうちに急がなくてはなりません。』
陣「母ちゃん、こんなんでどうだべ?」
躯「それ漬け物石じゃないか。これからも使うからダメだ。」
飛「用は重しになるものでいいんだろ?先週捨て忘れた生ゴミでどうだ?」
躯「なるほどその手があったか。」
幽「じゃあ昨日出し忘れたビンと缶もだな。」
黄「待て!私の腹はゴミ集積所か!?」
躯「だから起きんなって。気の利いたアドリブなんだから任せろ。」
陣「母ちゃん砲丸投げの砲丸があったべ!」
躯「いいなそれ、採用。」
黄「何故誰も陸上なんかやってないの砲丸があるんだ!?」
死「だから気にするな。このダンベルもどうだ?」
鈴木「それはダメだ。私の美容体操用のダンベルだからな。」
死「効果無いんだからいらんだろ。」
凍「全くだ。」
躯「いっそコンクリ詰めでいくか?てっとり早いし。」
黄「お前・・・それはもう殺人の領域だぞ!?コレは子供向けの童話なんだからもっと子供っぽくせんか!!」
躯「べらべらうるさいやつだ。要は修羅を楽しませればいいんだな?」
黄「そうだ。もっと子供に夢と希望を与えなければならん。」
飛「俺達に夢と希望を求める時点で無駄だと思うがな。」
躯「よし、じゃああの手で行くか。みんな聞け。」
酎「何だよ?」
ごにょごにょ・・・
凍「分かった。確かに倉庫にあったはずだ。」
躯「誰かコイツの腹縫ってくれ。オレは裁縫できん。」
鈴木「私に任せろ。洋服作るのが趣味だしな。」
黄(藪医者の手術を受けてるみたいだ・・・)
陣「お〜い、持ってきただよ〜、空気入れ。」
躯「よし。じゃあコイツの腹から空気入れろ。かわりばんこにな。」
黄「空気って・・・おお!?腹が膨らんでいる!?」
幽「空気満タン入りやしたっ!」
躯「よーし、池にぶち込めっ!」
黄「なっ!?うおおお!?」
バチャーン
陣「お〜、ちゃんと浮かんだべ!」
死「これぞ珍しい狼浮き輪。」
凍「普通はイルカとか鯨とかだからな。」
躯「ほら修羅、浮き輪作ったぞ〜。好きなだけ遊べ。」
修「わ〜い、浮き輪浮き輪vvv」
陣「オラも乗りたいだ!」
鈴木「はっはっは!全く陣は子供なんだから。」
死「それがしっかり海パンはいてるヤツの言うセリフか?」
凍「修羅、陣、ちゃんと水着に着替えてから遊ぶんだぞ?」
修・陣「は〜い!」
黄「修羅!パパで遊ぶんじゃない!!」
躯「心配ない。親と子の触れ合いに見えるから。」
飛「がんばれ父親。」
蔵『こうして狼は浮き輪にされ、この後この親子達は湘南の海に繰り出したそうです。めでたしめでたし〜。』
飛「相変わらず強引な締めだ・・・」
は〜い、童話シリーズ第三弾後編でした〜。最近ギャグの思いつきが悪くて・・・もっとギャグ精神を鍛えねば・・・