ちゅんちゅん・・・
凍「ん・・・朝か・・・ってうわっ!!」
陣「・・・んにー?どうしただ・・・?」
鈴木「どうした凍矢!?暴漢か!?」
斬!!
死「暴漢は貴様だ。何凍矢の布団でちゃっかり寝てやがる。」
鈴駒「凍矢大丈夫?何もされてない?」
凍「いや・・・ただびっくりしたな・・・」
陣「ふへー、何事かと思ったべ。」
死「陣、お前もお前で少しは気付け。」
鈴木「私はただ・・・記憶を無くして寂しいだろうと思って添い寝をしようとしただけだ・・・」
鈴駒「そんな危ない心遣いは止めなよね。」
鈴木「名付けて!!『びっくりどっきりときめき記憶カムバック作戦』!!」
鈴駒「いちいち作戦名付けなくていいって。」
酎「オメェら、人が二日酔いの時に朝っぱらから騒いでんじゃねぇよ〜・・・頭に響くぜ・・・」
鈴駒「いい加減お酒控えなよ。歳なんだからさ。」
酎「馬鹿野郎!俺はいつだって永遠の二十歳なんだよ!!」
死「何世紀前の話だ。」
陣「なぁなぁ、オラ腹減っちまっただ。」
鈴駒「あ、そっか。もう朝ご飯の時間だもんね。いつも凍矢が作ってるんだよ、ゴハン。」
凍「そうなのか?俺はてっきり交代交代で作ってるものだと・・・」
鈴木「何を言っている・・・毎朝私のおはようのキスをして挽きたてのコーヒーを入れてくれたではないか・・・」
斬!!
死「だから刷り込むなと言っておろうに・・・」
鈴駒「若さん、若さん、角がにょきにょき生えてらっしゃるわよ。」
酎「何か作ろうにも冷蔵庫ン中何にもねぇな。」
死「昨日の朝で全部食材使ってしまったからな。」
陣「んじゃー、何か取ってくるべ。」
鈴駒「そだね。この辺一帯山だし、川もあるし。」
死「じゃあ、陣と凍矢で魚捕り、鈴駒と酎で飯炊き、俺と鈴木で山菜採りだ。」
陣「わかっただ。」
鈴駒「珍しいね、死々若自ら鈴木と一緒に行動するなんて。」
死「何、毒きのこの試食にでも使うさ。」
鈴木「私を毒味係りにするな!!」
死「黙れ俺の毒的存在。」
鈴駒「いいじゃない。毒を以って毒を制しなよ。」
陣「よっと!!今の時期でも結構魚いるだな。」
凍「・・・・・・・なぁ。」
陣「ん?」
凍「俺って・・・どんな奴だったんだ?」
陣「どんなって・・・凍矢は凍矢だべ。」
凍「だから・・・性格とか・・・そう、お前達との関係とか。」
陣「凍矢は優しくて、何か頼れる兄ちゃんって感じだべ。」
凍「俺が?」
陣「うん。んで、オラと凍矢は昔から一緒に修行したり、暗黒武術会ってのにも出たべ。
そこで幽助や酎達と出会ったんだべ。」
凍「修行・・・?」
陣「オラ達魔界の忍びだべ。その修行。」
凍「そうか・・・で?暗黒武術会と言うのは?」
陣「優勝したら何でも望みを叶えてくれるってんで、腕試しも兼ねて参加したんだべ。
オラ達が優勝したらその島をもらうつもりだったんだべ。」
凍「そうか・・・」
陣「結局負けちまったけどな。でも、優勝してももらえないようなモノもいろいろ見つけたし、
出てみてよかったべ。」
凍「・・・・・・」
陣「あー!!しゃっけ!!やっぱ冬の水は冷たいべ〜。」
凍「そんなに冷たいか?」
陣「手凍りそうだべ〜。」
凍「じゃあ、後は俺に任せてくれ。俺は冷たいのは平気な様だ。」
陣「・・・・・・・なぁ、凍矢。」
凍「ん?何だ?」
陣「昨日の朝さ、オラが・・・」
凍「お前が?」
陣「んにゃ!何でもないだ!そろそろ戻るべ。オラもう限界だべ〜。」
凍「そうだな。これだけあれば足りるだろ。」
陣「たっだいま〜。」
鈴駒「おっかえり〜。ゴハンちょうど炊けたよ〜。そっちもいっぱい捕ってきたね。」
酎「大漁大漁〜vv」
死「こっちも結構採れたぞ。みそ汁やおひたしに使える。」
鈴木「げふっ・・・死々若、やっぱりさっきのきのこは毒入りじゃないか・・・?」
死「そうかもな。やはりお前に試食させて良かった。おかげで我々の食卓は安全だ。」
鈴木「あ・・・美しく目眩が〜・・・」
凍「わっ・・・!!」
斬!!
死「だからどさくさに紛れて凍矢に抱きつくな。」
鈴駒「アンタ何回斬られた懲りるのよ?」
鈴木「むっ!!今凍矢に抱きついてキュピーンと思いついたぞ!!」
鈴駒「何?過去の前科でも思い出した?」
死「思い出すも何も存在自体が犯罪だ。コイツの場合。」
鈴木「違うっ!!凍矢の記憶を戻す方法だ!!」
酎「何だよ?」
鈴木「いいから黙って朝食食べて私に付いてこい!!」
凍「・・・・・・ここは?」
鈴木「近所のスーパーマーケットだ。」
鈴駒「うちらにとってはお買い物の場と言うより戦場だけどね。」
酎「家計を賭けて戦うからな。」
死「鈴木が変な研究さえしなければ多少は家計も助かるのに。」
鈴木「陣の食費の方が甚大だ。」
陣「だってオラ食べ盛りだし〜。」
鈴木「私だって食べ盛りだ。なのに死々若が素直に食べさせてくれないんだもーん。」
斬!!
死「お前の下半身の食べ盛りなど知るか!!」
鈴木「お前と私の関係も成長期なんだから好き嫌いせず私を食べろ!!」
死「どういう理屈だそれは。」
鈴駒「はいはいはい。お宅らの木綿豆腐より崩れやすい関係はどうでもいいとして、ここに来てどうしようっての?」
鈴木「決まっている!今から始まる特売に凍矢を突っ込むのよ!!」
陣「突っ込んでどうするだ?」
鈴木「もちろん!!この特売で戦わせてお買い得品と記憶をゲッチューするのだ!!」
死「凍矢はついでか?」
鈴駒「まぁ、今夜の晩ご飯も大事だよ。」
凍「・・・・・・懐かしい・・・」
鈴駒「はい?」
凍「何だ・・・この胸躍る躍動感と言おうか鼓動の高鳴りは・・・」
鈴駒「と・・・」
陣「凍矢?」
凍「俺は行かねばならない・・・一割二割等手ぬるい!俺が狙うのは半額以上だ!!今日のチラシを持て!!」
陣「コレだべ凍矢!!」
酎「おお!!凍矢が燃えている!!」
鈴駒「ちなみに明日は燃えるゴミの日だけどね!!」
死「じゃあ明日鈴木捨てないと。」
鈴木「捨てちゃいやん!!」
凍「いざ尋常に・・・勝負!!」
酎「おお!!凍矢が群がるおばちゃんの大群に突っ込み割引商品をGETして行く!!」
凍「お前ら!!今日はお醤油がお一人様二本までだ!!」
鈴駒「あいよ!まかして!!」
陣「凍矢!次のタイムサービスが始まるだ!!」
酎「精肉コーナーで豚ロースが半額だ!!」
鈴駒「でももうおばちゃんみんな肉コーナーに行っちゃったよ!!」
凍「いいか!スーパーと言う物は大抵入り口から野菜・果物、魚、肉と並んでいるものなのだ!!
しかるに逆にお総菜コーナーの方から回り込めばまだ入る隙はある!!」
鈴木「凍矢ナイスプランだ!!」
凍「このままチラシのお買い得品全てGETするぞー!!」
一同おおおおおおおおおお!!
凍「あー、すっきりした。やはりお買い得品をGET出来ると気分が良い。」
陣「凍矢いつもの凍矢みたいだべ。」
凍「ん?何を言って・・・あれ?」
鈴駒「凍矢何か思い出したの?」
凍「あ・・・何だ、俺はどうかしていたのか?」
陣「凍矢記憶喪失になってただよ?」
凍「記憶喪失?」
鈴駒「覚えてないの?」
凍「そういえば昨日一日の記憶が無いような・・・」
陣「大変だっただよ?蔵馬ントコに行ったり躯のトコ行ったり幽助のラーメン食ったり。」
凍「ラーメンの食べるのは大変じゃないだろ。」
酎「とにかく!!記憶が戻って良かった良かった!!」
凍「記憶喪失って・・・また何で・・・」
死「昨日の朝かくかくしかじかな事があってな。」
凍「何だか覚えてないとは言えずいぶん迷惑をかけてしまったみたいだな。」
陣「そうだべ。凍矢オラの事も忘れちまってオラすっげぇ寂しかっただよ?」
凍「分かったわかった。じゃあ今日は迷惑をかけたお詫びに久々のごちそうと行くか。」
陣「ごちそう!?やったべーvv」
凍「のわっ!?陣、こんなダシ昆布と煮干しの乾物コーナー前で抱きつくんじゃない!!」
陣「へへーんvvだって嬉しいんだもーんvv」
酎「そいじゃ早いトコ会計済ませて帰ろうぜ。凍矢今夜は熱燗なvv」
凍「ったく、注文の多い奴らだ・・・うん?」
死「どうした凍矢?」
凍「あれ・・・?財布が無い・・・忘れて来た・・・」
鈴駒「持ってきても大して中身無いんだけどね。」
陣「てことは・・・」
鈴木「買えないと言う事だな。」
陣「うえっ!?ってことは今夜の晩飯・・・!!」
鈴駒「冷蔵庫にあるの味噌くらいだし・・・」
死「鈴木!!全部脱げ!!脱いで金目の物を出せ!!」
鈴木「そんな!!こんなレジの前で裸体をさらせだなんてvv」
凍「お前らこんなトコで騒ぐな!近所で噂になるだろう!!」
鈴駒「でもお金無いと今夜のおかず買えないよ!」
酎「パンツの裏ひっくり返してでも探せ!!」
鈴木「何で私がそんな場所に金をしまっておくのだ!わたしのパンツにはわたしの分身しか入らんわ!!」
死「ちっ・・・役立たず・・・仕方ない、凍矢コレ使え。」
凍「コレは?」
死「キャッシュカードだ。蔵馬にもらった。」
凍「蔵馬に?」
蔵「はい、はい、そうですか、凍矢治りましたか、じゃあ俺から躯達に知らせておきますから。それじゃ。」←電話中
黄「無い・・・無い・・・無い・・・ぬわーい!!!」
蔵「うるさいですよ。黄泉、何が無いんです?残金ですか?髪の毛ですか?それともカルシウムですか?」
黄「私名義のキャッシュカードが無いんだ!!ここに入れておいたはずなのに!!」
蔵「ああ、それなら死々若達に渡しましたよ。凍矢が記憶喪失だといろいろとお金がいるだろうし。」
黄「記憶喪失に金がかかるか!!」
蔵「上司として何も貢献出来なかったんだからこれ位の事はやって頂かないと。ね?黄泉様?」
鈴駒「っと。蔵馬に知らせてきたよ。凍矢治ったって。何か電話の向こうがごたごたしてたけど
カード好きなだけ使っていいって。」
↑蔵馬が言った
陣「へぇ〜、黄泉も結構いいトコあるだなvv」
鈴駒「お金と父親としての威厳は無いけどね。」
死「鈴木、お前が荷物持て。」
鈴木「何故私が!この手は死々若と手を繋ぐために空けておかなければならないのに!!」
死「誰が繋ぐか。」
鈴木「酎が持てばいいではないか。一番むさいのだから。」
酎「何でむささで持たなきゃいけねーんだよ。」
陣「じゃあオラが持つだ。」
鈴駒「ダメだよ。陣が持ったら家に着くまでに食材減っちゃうもん。」
凍「まったくだ。」
陣「・・・・・・」
凍「何だ?陣。人の顔見てにやけて・・・」
陣「ん?えへへ〜vv内緒vv」
凍「隠すんなら今日のごちそうは無しだぞ?」
陣「それは困るだ!!」
凍「なら言え。」
陣「ぶー・・・」
まぁ、何はともあれ・・・
お帰りだべ、凍矢v
はい!小説ネタアンケート第一位小説でした!
如何でござったでしょうか?
久し振りの長編でしたね。感覚忘れてるぜ殿さんよ・・・