『七夕ドッタバッタバッタリ伝説』








幽助達とどんちゃん過ぎる宴を終え、(多分まだ一部続行中)飛影と躯は百足に帰った。

時計はいつもならとっくに寝ている時間を指していた。

百足にはあいつらの様なお気楽な奴がいないから静かでいい・・・

こういう時、騒ぎ事にあまり興味のない百足内同僚はありがたい。

ふらふらになりながら躯の部屋まで部屋の主と自分を運んだ。

毎度の事だが、躯の言う日本の伝統文化なんて全く感じる事はなかった。(メンバーのせい)

だいたい自分の周りに風情とか情緒と言う言葉が似合う奴は皆無だ。

「幽助の奴・・・無理矢理酒押し込みやがって・・・」

躯も大分飲んだのか、顔がほのかに赤い。

あのメンバーで飲んだ酒の缶やビンの残骸の量は明日ゴミ収集の人間をさぞ驚かせるだろう・・・

とても世間一般の家庭から出る量ではない。

この酔いを醒まそうと、百足の外に出た。風が心地良い。

「全く・・・あいつらといるとろくな事にならん・・・」

ふとのどを触ると何かひもの様なものに触れた。

先程躯にくくりつけられた短冊のひもだ。

短冊は背中の方にあった。

そういえば躯の奴・・・何を書いたんだ?

背中に手を回し、短冊を取ろうとした。が・・・

ふん・・・あいつの願いなどどうでもいい事だ・・・

なんて心では思っていても、やはり一番気になる奴の気になる願い。

背中の短冊に手をかけた。













飛影、ずっとオレの傍にいろよ?













「そんな事・・・直接言えばいいものを・・・」

なら自分なら言えるのか?












ま・・・言われなくてもここにいてやるし、

出て行けと言われて出ていく程俺は素直じゃないがな・・・・










お前が一番知っているだろう?















そして俺の事を一番知っていて欲しい・・・















「躯。」

「・・・ん?何だ飛影こんな時間に・・・この時間はお前が寝ていなければおかしい時間だぞ・・・」

「お互い様だろ。パトロールに行って来る。」

「・・・いつもあーだこーだ文句言って最終的にはサボるお前がどういう風の吹き回しだ?」

「働かないでいると一年に一回しか会えなくなるらしいからな。」

「・・・飛影・・・?」

行っちまった・・・

いつもならこんな朝っぱらに起きてるなんてあり得ないのに・・・

眠い目をこすろうと、人差し指を顔に近づけ様としたが、

「ん?指に何か・・・」

指に違和感を感じ、自分の手を見た。

「・・・短冊?」

小指に短冊がくくりつけられていた。

あいつが付けたのか・・・

それともオレの短冊を突き返して来たのか・・・?

飛影に自分の想いは伝わるわけもないのか。

それとも、またお得意の「くだらん」の一言か?

だがその短冊は躯が書いた短冊ではなかった。

そこには







人に頼む前に俺の言う事も聞け







「何だよ、偉そうに・・・」

少々苦笑いをしながら、飛影らしい、そう思う。

飛影の書くような願い事と言ったら手合わせ位しか思いつかない。

まさかお小遣いよこせじゃないだろうな?

「何だ?また手合わせしろとかか?」

大体そんなもんだと予想していたのだろう。短冊の裏も見た。

だがそこに書いてあったのは自分にとっては予想外の事だった。







お前がずっと俺のそばにいろ

これは命令だ








「くくっ・・・あいつ、いつからオレに命令出来る立場になったんだ?」

嬉しい。純粋に嬉しい。

「でもな飛影、こんな頼み方じゃ叶えてくれる物も叶えてもらえないぜ?」

まぁ、あいつは死んでも口が裂けても

『お前の傍にいたい』なんて言う奴じゃないのは百も千も万も承知だ。

もちろん、オレも言わないがな。

可愛い部下の願いだ。ましてや飛影の願いだ。

叶えてやらないわけは無い。だが・・・

「残念だったな、飛影。七夕は当日でなくては意味がない。それに、

オレは当日のみ有効だ。この願い、いや、命令は聞いてやれねーな。

どうしても聞いて欲しいなら・・・














来年またお願いしてみな?














おしまい・・・








七夕に間に合わなかったらアップしないつもりだったのが何とか間に合ったので御蔵行きならず。(笑)

七夕なんてもう何年やってないですかね・・・近くの林からよく失敬して笹を取ってきたものです。

そして間に合ったと思ったらリンクミスでup出来ていなかったし・・・(泣)

いいんです・・・七夕には出来上がってたし、仙台の七夕は8月だもん・・・