もしもシリーズvol.5 もしも百足が○○だったら・・・







カランカラン♪

躯「ようこそ、移動三つ星レストラン『MUKADE』へ。」

黄「・・・・・レストラン?食堂車みたいなものか・・・?いや食堂蟲・・・?」

飛「蔵馬が『人間と妖怪の交流の拠点となる場のデモンストレーションの一環としてレストランを開いてみてはどうか』と言う事で

こういう事になったらしい。」

黄「なるほど・・・人間と妖怪の交流、大いに結構、食文化は互いの文化を知るにはもってこいのテーマ。

・・・で?何故妖怪である私が招かれているのだ?」

躯「だから、まだこの企画が試作段階だからお前に食わせてやろうと言う事になったんだ。」

飛「心配しなくても料理は躯が作ったワケじゃないから安心しろ。店長は躯だがな。」

「急に腹が痛くなった。コレで失礼する。」

躯「本当に失礼な野郎だな。まだ食ってもいないのに。」

黄「私は好き好んでスケープゴートになる気はない!!」

躯「科学に犠牲は付き物だ。」

「料理じゃないのか料理じゃ!!」

躯「まぁ、そう青ざめた顔をするな。料理は本物だぜ?ちゃんとしたコースだからな。」

飛「だから貴様にも正装で来させたんだからな。ネクタイ未着用は入店禁止だ。」

黄「ほー、洗顔中に蔵馬に鞭で無理矢理縛られて着替えさせられてここまで連れてこられたのはそのためか。」

躯「何をそんな物騒な言い回しを。オレはただお前に素晴らしく美味い料理を食わせてやりたくて手厚く歓迎を

したまでよ。」

黄「ほー、さすがに魔界は広いな。お前の国では『無理矢理連行する』事を『手厚く歓迎する』と言うのか。」

躯「ちなみに『おもてなしをする』を『落とし前をつける』とも言う。さて、くだらない前口上はこのくらいにして

そろそろ料理を運ばせるとするか。飛影、運んでくれ。」

黄「ほー、予約した覚えも来る気も、ましてこんなプロジェクトが進んでた事も知らなかったのに

料理はもう出来ているのか?」

飛「手の込んだ料理の数々だ。それ相応に時間がかかるからな。」

黄「それはそうだが普通メニューを見てから注文するものじゃないのか?」

躯「今日は特別にお前のためだけのコースを用意した。」

黄「ほー、それはどんな嫌がらせが盛り込まれたコースかな。」

躯「そう突っかかるなよ。料理は本物だって言ってるだろ?

時雨の斧さばきは見事だぜ?薄切り飾り切りみじん切り何でもござれだ。」

黄「貴様・・・あんな斧を厨房で振り回させているのか?」

躯「さてと、早速オードブルから行こうか。蔵馬のオレと飛影による黄泉のためのフルコース、

『百足特製無国籍風胃薬スタンバイ』コースだ。どんなニーズにも対応出来るように各メーカーの胃腸薬を取り揃えてある。」

黄「無責任風だろ!!名前からして料理がどの国にも属していない所か料理の分類として属させられんわ!!」

飛「だから貴様特製だと言ってるだろ。」

黄「お前等・・・蔵馬からいくらもらったんだ・・・?」

飛「別に金品は受け取っていない。」

躯「純粋なボランティア精神だ。無償で引き受け、薬の用意はしたがお前の胃の保証は全くしない。」

黄「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

躯「まぁ、そう不安がるなよ。肉の加熱は焦げそうで焦げない所のギリギリまで焼いてあるし、デザートのケーキの生地は

泡立て器でへのへのもへじが描けるほどよくかき混ぜてある。」

黄「お前のプロデュースした料理への不安は加熱処理ぐらいじゃ消せないしケーキの生地は『の』だけでいいんだぞ・・・」

飛「ちなみにコックさんも描けた。」

「描いてどうする。」

躯「さてと、しっかり白スーツをバシッと着てご来店いただいたお前をもてなすとするか。」

黄「何からだ?スープか?それとも食前酒か?」

躯「お勘定。」

「まだ一口も食べてなければ一目も見てないぞ!!」

躯「冗談だよ冗談。ほら、本当のメインディッシュのカレーうどん。」

「どこまで嫌がらせが続くのだ!!それとも始まりか!?」

躯「そんな怒鳴ってばかりじゃ胃が持たんぞ?飛影、さっそく胃腸薬。」

飛「市販薬だが使用期限(昭和の忘れ物)前に使い切れず薬箱に残ってた胃腸薬と、

昨日作ったばかりの蔵馬の手製胃腸薬どっちが好みだ?」

「家に帰してくれ!!」













カポーン・・・




躯「ようこそ、移動温泉旅館『百足』へ。」

陣「何で躯が女将のカッコしてるだ?」

飛「蔵馬が『人間と妖怪の交流の拠点となる場のプロジェクトの一環として旅館を営んでみては

どうか』と言う事でこういう事になったらしい。」

凍「移動温泉旅館とは・・・寝台列車みたいなものか?」

躯「まぁまぁ、細かいことは抜きにして部屋へどうぞ。さっそくだが風呂にするか?それとも飯にするか?」

死「俺は風呂がいいな。旅の疲れと鈴木との今までの関係をきれいさっぱり洗い流したい。」

鈴木「はやるな死々若v好きなだけながしっこ付き合うからvv」

鈴駒「鈴木、あんま変な事言って湯船血の池地獄にしないでね。」

躯「当旅館自慢の源泉かけ流しの温泉があるから好きなだけ浸かると良い。飛影、ご案内。」

飛「そこの階段を下りて右だ。俺は準備してくるから先に行ってろ。」

鈴駒「準備・・・?」

凍「それより源泉がこの中にあると言うのがわからん・・・」







陣「温泉久し振りだべ〜。」

凍「何故だ・・・温泉と言ったら喜んでいいはずなのに素直に体が喜ぼうとしないのは・・・」

鈴駒「トラウマじゃない?」

酎「こまけぇ事言うなって。ほら、あったかそうな湯気が立ち上って・・・」

鈴駒「そうだねぇ、あったかすぎてお湯が何だかゴボゴボ言ってるんだけど。」

鈴木「ジャグジーでは無いのか?ジャグジーだとお湯が透明でも泡で不透明になるから死々若にちょっかい出しやすくて・・・」

斬!!!

陣「んー、ジャグジーって言うより・・・」

凍「マグマみたいだぞ・・・」

「みたいじゃなくてそのものだろ。」

鈴駒「ちょっと女将さん!温泉ってここじゃないの!?それともここマントルかどっか!?」

躯「ちゃんと男湯って書いてあっただろ?何が問題なんだ?」

凍「いろいろ問題だが温泉の温度の域を超えてるんじゃないのか?あれは・・・」

陣「あんまりあっちぃと凍矢溶けちまうべ。」

酎「せっかく持ち込んだ酒が蒸発しちまうじゃねぇか。」

鈴駒「いや、大抵の生物が溶けるから。大抵の物が蒸発するから。」

鈴木「わ、私は温泉で火照った死々若に発情す・・・」

斬!!!!!

死「おい、この温泉は本気か?それとも黄泉に対する仕打ちか?」

躯「そうじゃないさ。どんな客の温度のニーズに応えられるように工夫をしたまでだ。言っただろう?源泉かけ流しだって。」

鈴駒「源泉すぎるよ。マグマじゃアンタ。」

凍「確かに熱い風呂が好きな者もいれば熱い風呂が苦手と言う者もいるだろうが・・・」

躯「おーい、飛影、温泉の温度下げてくれ。少し熱いみたいだ。」

凍「少しじゃないだろ少しじゃ・・・」

飛「希望はどのくらいだ?体が溶けるくらいか?それとも影しか残らないような温度が良いか?」

鈴木「一般家庭の風呂の温度よりちょっと熱めな少々浸かりすぎると少々のぼせて自分一人ではふらついて部屋までまっすぐ

歩いて戻れないから私の肩に死々若が寄り掛かって来るような温度!!」

斬!!!!!!!!

鈴駒「42℃でお願いします。てか50℃からは絶対無理。」

躯「"温泉玉子体験"と言うのも企画してみたがどうだ?」

死「俺達は疲れを取ったり温まりに来たのであって沸騰を望んでるわけじゃない・・・」






鈴駒「あー、いいお湯だった♪・・・って言えたかな?あの温泉・・・」

陣「オラちょっと熱かったべ。」

酎「軟弱な事言ってんじゃねぇよ。風呂はちょっとぐれぇ熱い方がいいんだよ。」

凍「はぁ・・・のぼせた・・・」

陣「凍矢にそよ風〜。そよそよ〜。」

凍「ああ・・・気持ちいい・・・」

鈴木「死々若の耳に私の吐息〜。」

斬!!!!!!!

鈴駒「鈴木、その血付いたのすぐ洗わないとシミになっちゃうよ。」

死「いっそ血染めの服にしてしまえ。まったく・・・旅より疲れる・・・」

躯「そんな旅の疲れにはマッサージがオススメだ。どうだ?百足式マッサージを受けてみないか?」

酎「マッサージか、悪くねぇな。」

鈴駒「普通の旅館のならね。」

鈴木「うむ、私もマッサージを受けたいぞ。美しさは内面から磨くものだからな。」

陣「マッサージと美貌って関係あるだか?」

死「無縁では無いだろうが鈴木と美貌は無縁だな。」

躯「毎度あり。二名様マッサージご希望だ。」

時雨「お呼びでございますかな?」

飛「貴様・・・俺にボイラー係をさせてこの上まだマッサージをさせる気か・・・」

躯「文句を言うな飛影、これも立派なサービスだ。」

酎「あっ、先に聞いておくがコレはタダか?」

躯「整体師によりけりだ。」

飛「マッサージ料は貴様の命だ・・・」

時雨「拙者は客人の人生の一部をいただく。」

鈴駒「なんちゅーマッサージ料・・・」

陣「じゃあオラは凍矢にマッサージしてやるだ。時雨と飛影の見ながらやるだべ。」

凍「いい、俺は別にそんなに疲れてないしな・・・」

鈴木「そうそう、疲れるのはこれからだものなvv」

陣「これから?」

鈴木「若い二人が旅先の宿でする事と言ったら決まってるでないかv」

陣「枕投げ二人だけじゃつまんないべ。みんなでやるべ。」

鈴木「そうじゃなくて、夜中にする事と言ったら・・・vv」

斬!!!!!!!!!!!!!!!

死「ほぉ、鈴木、だいぶ老廃物が溜まってるな。今から俺が取り除いてやる・・・そのいかれた思考回路もな!!」

鈴駒「でっかい針でツボも刺激されまくりだね。」

飛「・・・足のここを押すと肝臓にいいんだ。しかし貴様飲み過ぎだぞ。」

酎「おお〜!!効く効く〜!さすがは炎殺拳の使い手だぜ〜。」

飛「フン・・・邪眼の力をなめるなよ・・・」

死「関係ないだろ・・・」

陣「じゃあオラもやるだ!えっとまずは・・・ここだべか?えいっ!」

凍「くっ・・・!!」

陣「あっ?痛かっただか?じゃあもう少し弱く・・・」

凍「いや、そうじゃないがっ・・・!!うっ・・・!!」

陣「やっぱ凍矢痛いだか?そんなにこらえて・・・」

凍「いや・・・痛くはない・・・痛くはないが・・・こそばゆい・・・」

陣「あっ、なーんだ。くすぐたかっただか。わりぃわりぃ♪」

凍「何で笑う・・・」

陣「じゃあめんどーだから全身マッサージだべvv」

凍「おいっ!のっかるな!やめっ・・・!」

陣「こちょこちょ〜♪」

凍「陣!マッサージはどうしたマッサージは!?」

陣「笑って全身のストレスをほぐすだ〜!!」

鈴木「こら!お前等二人だけの会話がしばらく続いて私達の出番が消えているぞ!」

死「お前が消えろ。消えたくなかったら黙ってマッサージ受けてろ。」

時雨「お客人、これにて拙者のマッサージは終了だ。次はそちらもいかがかな?」

死「そうだな、せっかくだからお願いしようか。」

時雨「承知した。では布団に寝そべって・・・」

鈴木「貴様!何の権利があって私の死々若を押し倒しあまつさえ・・・!!」

斬!斬!!斬!!!

死「その先を口にしたら五寸釘でくし刺しにしてやる・・・時雨とやら、マッサージ料はコイツで支払う。」

時雨「お客人、これは人生の一部と言えるのか・・・?」

死「俺の人生の汚点の総決算だ。」

鈴駒「大人っていろいろ大変だね・・・マッサージを受けるだけなのに。」

躯「ならお前のマッサージはオレがやってやろうか?」

鈴駒「えっ?オイラ若いから結構です・・・」

躯「まぁまぁ、遠慮するなよ。オレのマッサージも伊達じゃないぜ?」

鈴駒「どんな感じに伊達じゃないのでしょうか・・・?」

躯「オレの右手は疲れも空間も断ち切る事が可能だ。」

鈴駒「ご遠慮します!!お願いだからご遠慮させて!!」

躯「そんな逃げるなよ。別にお前を真っ二つにするわけじゃないんだから。まぁ、たまにちょっとチクッとするかもしれないがな。」

鈴駒「いいよ!!ハプニングは限りなく間に合ってるから!日常的だから!」

飛「洗剤もつけてやる。」

鈴駒「いらないよ!」  凍「もらう!」

死「・・・・・・」

「あっ!」

酎「どうした?」

陣「温泉入ってマッサージ受けてるから時間的に寝る前って感じだけどまだ晩飯食べてないだべ!」

鈴駒「忘れてたよ・・・そんな事すっかり・・・」

躯「うちは料理も自慢だぜ?産地強奪・・・じゃなかった、産地直送の素材ばかりだ。」

飛「この近くを流れる清流で泳いでる川魚、そこの山で採ってきた山菜、黄泉の家の厨房から獲ってきた食材その他諸々だ。」

鈴駒「へぇー、オチはその新鮮な食材だけを食卓に並べるとか?」

躯「まさか。ちゃんと調理もするぜ?捕まえたばかりの川魚を黒龍波で焼くとか。」

凍「また炭火焼きか・・・」

鈴木「炭なんて食べられないぞ!よし!ここは私が新鮮な素材を提供しよう!」

陣「鈴木なんかとってきたべか?」

鈴木「死々若を提供するから女体盛りを作ってくれ!」

死「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」







チュンチュン・・・

陣「はぁー、昨日の魚おいしかっただな〜。」

鈴駒「山菜の天ぷらもよかったね。蔵馬作のかもしれないけど・・・」

酎「酒も一級品だったしな。」

鈴駒「でもいいの?鈴木旅館の売店に置いてきちゃって。」

死「旅館にとっては迷惑だろうがな。」

凍「あいつを買うなんて物好きな奴がいるのか・・・」

死「魔界は広いからな。一人くらいそんな奴がいるかもしれない事を祈ろう。」







ピリリリリリ・・・




躯「移動教室百足へ。オレは算数を教えるのでよろしく。黄泉は月謝よろしく。」

黄「今度は塾講師か・・・大体今日は無料体験入学と聞いて来たんだが?」

蔵「黄泉はイけてない教師ですからね。」

黄「お前は教師になってはいけない・・・で?これはどういうコンセプトのもとに企画されたのだ?」

飛「スクールバスで学校に行くと言う固定観念を捨て、いっそバスの中で勉強してみては?と言う発想の転換だ。」

黄「発想の転換と言うより発想がバク転したみたいだぞ・・・」

躯「細かい事はさておいて。一時間目は算数だ。さぁ、修羅、わり算の問題だぞ。ここに長さが15cmの板チョコがある。

コレをお前一人で食べて鼻血が出てしまうといけないので蔵馬と黄泉に分けてやる事にした。

さぁ、どうしたら均等に三人分に分けられると思う?」

黄「なるほど、身近な物に例えて教えると言うわけか。」

修「うーんと・・・えーと・・・」

黄「修羅、そんな悩むような問題ではないぞ?」

修「僕一人でチョコ食べられるよ?どうしてパパにあげなくちゃいけないの?」

躯「それもそうだな。」

蔵「子供のおやつに手を出しちゃいけませんよね。」

黄「お前等は黙ってろ!!修羅、独り占めはいかんぞ!!」

修「パパだって魔界を独り占めにしようとしてたじゃない。」

「うっ・・・!!」

蔵「修羅、黄泉を鈴駒に置き換えてみてください。そしたら分けてあげられるでしょ?」

修「んー、でも僕陣と凍矢にもあげたいな。」

躯「でも人数増やすと一人分の分け前が減るぜ?」

飛「見つからないうちに一人で食べて証拠隠滅すれば問題無い。」

黄「それじゃ問題が解決してないだろ・・・」

修「うーん・・・どうしたら・・・あっ!分かった!」

黄「おお!修羅分かったか!?さすがは私の息子!」

修「パパがみんなに同じチョコを買ってあげればいいんだ!!」

躯「それもそうだな。」

蔵「それなら公平に分けられますね。チョコを厳密に同じ様に割るって結構難しいですから。」

「そんな解答あるか!!」」

躯「人生には臨機応変が必要だ。」

飛「邪眼の力をなめるなよ・・」

黄「チョコを分けるのにそこまで必要無い!邪眼も使わないだろ!」

蔵「時と場合によるんじゃないですか?下手に分けると血を見る方々も居ますし。」

黄「大体、↑の話は直接百足全く関係ないじゃないか!!」

躯「・・・お父さん、ウチの商売にケチつけられちゃ困るな・・・」

黄「ケチも何も私は真実正論を・・・!!」

躯「お父さんには世間の厳しさをお教えしよう・・・」













その後の黄泉様の運命やいかに・・・(笑)

久々の『もしもシリーズ』です。黄泉様は年末年始から大活躍しておりますねvv

直接は今回書いた小説と関係ないのですが、昔高校の礼法の授業で洋食マナーをやりましたて、

みんな普通に何も考えずにパクパクと食べてましたね。あの時食べたパンに付けたバターが丸っこくて可愛かった・・・

これも関係ないのですが、私結構くすぐったがりなのでマッサージ苦手です。美容師さんが終わった後にマッサージしてくれるんですが、

あの服とかに髪の毛が付かないように羽織るマント(?)の下は鳥肌全開です。

でもアカスリは受けてみたいなーと思ってる殿でした!