〜『死々魚姫』〜





蔵『どんぶらこーどんぶらこーと流れていった王子が意識を取り戻すと、そこはとある海の浜辺でした。』


黄「・・・ん・・・ここは・・・?」

躯「ちっ・・・もう起きやがったか・・・」

黄「ここは・・・砂の感触・・・波の音・・・どこぞの海辺か・・・?」

躯「東京湾だ。この時期はもうクラゲが出るから泳いだ方がいいぞ?」

黄「何故クラゲが出ると知ってて泳がなくちゃならんのだ・・・いや・・・別に泳いでた覚えは・・・

何故私がこんな場所に・・・私は船に乗っていたはずだが・・・」

躯「今朝の地引き網に掛かったんだろ。酔っ払うにも程があるぜ。」

黄「いや・・・確かお前のその声にそっくりな声の持ち主に川に投げ出された記憶が・・・」

躯「は?何故オレがお前なんぞを川に投げ落とさねばならんのだ。オレは潮干狩りに来ただけだぜ?」

黄「いや・・・確かにお前だった様な・・・」

躯「さぁ、オレの声に似た奴なら月〜金の教育テ○ビでも聞けるぞ?それはそうと、

屋形船から蹴り落とされて川下って嵐で荒れ狂う海の中で波に飲まれて漂流すれば

多少記憶も混乱するさ。確実にそのせいだろ。」

黄「・・・やけにリアルな状況説明だな・・・デジャブ・・・?」

躯「なかなかいい川下りだったろ?やっぱり隅田川は川下りに限る。」

黄「トラウマにしかならなかった気が・・・まぁいい、とりあえず籠捕まえて城に戻るか・・・」

躯「今時籠って・・・」

黄「ん・・・?おかしいな・・・ここに財布を入れてあったはずだが・・・ハンカチもちり紙もいつサイン頼まれてもいいように

持ってるペンもあるのに何故財布だけが無いのだ?」

躯「財布?ああ、そういえばお前が寝てる間にその辺に何かプカプカ浮いてたな・・・でも波で随分流されてったな・・・」

黄「何だと!?どっちの方角だ!?」

躯「確かあっちだったな。南南東よりちょっと北にいったトコかな?」

黄「待ってろ我が財布!」


躯「・・・なーんてな。」←すでに拾ってます


蔵『王子が再び海にダイブしたその頃、死々魚姫達は朝食の漁に出ていました。』


陣「さかなさかなさかな〜♪・・・ん?なぁ、何かあっちに昆布みたいなの見えるんだけど。」

凍「昆布?わかめじゃないのか?」

鈴駒「違うよ、アレ人型生物じゃない?」

酎「どうやらオッサンみてぇだな。魚釣りにでも来て海に投げ出されたか?」

死「こんなだしに使えない昆布やみそ汁の具にならないわかめみたいな髪のオヤジが海に浮いていても一銭にもならん。」

鈴駒「でも漂ってれば鮫が食べるんじゃない?」

死「それもそうか。なら放っておこう。」

「はぁっ!?そんな展開シナリオに無いだろ!!と言うよりシナリオ関係無く助けるべきだろ!?」


蔵『アドリブ万歳。てか起きないで下さい。』


凍「とは言ってもそんなのに海中を漂われても海の環境に良くない。陸に捨てて来た方がいいな。陸の物は陸で処理すべきだ。」

鈴駒「そうだね、金目のものも特にないし。」

陣「んじゃ陸まで運ぶべか?でもオラ両手ふさがってるだ。」

凍「俺も食事の支度があるからな・・・悪いが死々魚姫そいつを陸まで運んでくれないか?」

鈴駒「てか魔法使いの所に運んだら?実験材料が欲しいって言ってたから。」

死「あいつの所に行く位ならコイツを陸に運ぶ方がマシだ。」

酎「全く世話の焼けるオッサンだ。」

鈴駒「お前も飛影に焼いてもらいたくなるくらい迷惑掛けてるの自覚ある?」


蔵『と言うわけで死々魚姫は嫌々王子を陸まで届けてあげました。』


死「はぁはぁ・・・ちっ・・・何だって俺がこんな事を・・・無駄に長い髪が絡みついて気色悪いったらありゃしない・・・

絶対着払料金払わせてやる・・・」

黄「み、水を・・・」

死「水?すぐそこに海がある。好きなだけ飲むがいい。」

黄「の、飲めるか・・・」

死「ならあっちに20Km行った所にコンビニがある。」

黄「さ、財布を・・・」

死「くれるのか?中身だけでいいぞ?」

黄「誰がやるか・・・海に落としたらしいのだ・・・あの嵐の日に屋形船から落とされて海まで流れてきたのだ・・・」

死「嵐・・・?ああ、あの時か。それよりここまで運んでやったんだ、礼をよこせ。」

黄「ああ・・・頭がぼーっとしてまだよく意識が戻らないな・・・」

死「ふん、白々しいボケをかましおって。まぁいい、俺は早く家に帰って貴様からうつされた加齢臭を洗い落とさねばならん。」

黄「あっ・・・!待ってくれ!お前の名前を・・・!!」

死「二度と海を汚すなよ。じゃあな。」





蔵『死々魚姫は名前も言わず海に戻っていきました。一方、海の中では・・・』


陣「うー・・・昨日のカラオケでハッスルしすぎたべ・・・喉が痛い・・・」

凍「だから程々にしておけと言っただろ。困ったな、のど飴がきれている・・・」

死「ただいま。」

鈴駒「あっ、おかえり。」

凍「ご苦労だったな。」

酎「あー・・・俺も昨日は死々魚姫を祝いまくろうと思って飲み過ぎたな・・・」

鈴駒「盛大に祝うのはいいけど最後はお祝い通り越して酔って抱きついて嫌がらせオンパレードだったけどね。」

凍「そして床が血だらけに・・・と言うわけで、死々魚姫、俺は床を拭くから、帰ってきて早々済まないが、

のど飴と二日酔いの薬買ってきてくれないか?」

死「それこそ近所に暇な魔法使いがいたろ。あいつに買わせに行けばいいじゃないか。」

鈴駒「あれも薬屋なんだけどね。」

陣「死々魚姫頼むべ〜・・・」

死「鈴駒は?」

鈴駒「オイラは今日流石ちゃんと海中デートなんでねv」

死「仕方ないな・・・」

凍「あまり遅くなるなよ?鈴駒、クラゲや電気鰻には気を付けろよ?あとくれぐれも深海には行かないように。

伊勢エビ見つけたら是が非でも捕って来てくれ。」

陣「あっ、うにもっ!」

酎「ホタテ〜。」

鈴駒「はーい。いってきまーす♪」

死「それじゃ俺も行くとするか。やれやれ、朝から疲れる・・・」


蔵『人間の世界に行くには尾ひれを隠さなければなりません。死々魚姫は尾ひれが人間の足になる薬を奪・・・もらいに、

魔法使いの所へ行きました。』


死「おい、陸に上がるからヒレが人間の足になる薬をよこせ。」

鈴木「おや、初詣で『いつもとんかつ肉はロースだからたまにはヒレ肉で食ってみたい』とお願いしていた

姉妹の末っ子の死々魚姫では無いか。願いは叶ったか?やっぱり肉はヒレに限るからな。」

死「やかましい。いらん事言うと三枚に下ろすぞ。いいからさっさと薬よこせ。」

鈴木「何を言う、ここは薬屋だぞ?わざわざ陸に上がらなくてもウチにだって喉の薬や酔い冷ましの薬や媚薬くらい常備しているぞ?」

死「誰が買うか。」

鈴木「全く・・・素直の欠片も無いんだから。」

死「お前が言うな。それと、何か香水無いか?さっき中年男を陸まで届けてきて加齢臭が少しついてしまったんでな。」

鈴木「何だと!?お前の体からは私の華麗な移り香しか残ってないはず!!」

斬!!!

死「えーと・・・コレが血止めでこっちが痛み止めだな。良かったな、傷は浅いぞ。」

鈴木「塩水が傷口にしみる・・・」

死「まぁ海の中泳いできたからほとんど臭いは取れたがな。」

鈴木「全く、コレだから中年は・・・ほら、コレが人間の足になる薬だ。あっ、その薬飲んだら尾ヒレは足になるが副作用として

しばらく声が出なくなるからな。あと完璧には無理だから

一時間位正座した後程度のしびれ状態で歩く事になるから頑張ってくれ。」

死「何故足に関する効用で副作用が声帯に来るんだ?」

鈴木「何でって、その方が※♪☆◆*♭♯じゃないか!」

蹴!!

死「貴様そろそろ表から消されるぞ・・・」

鈴木「今から陸に上がるんだろ?なら今飲めば陸に着く頃には人間の足になってるから・・・」

死「そうか、それじゃ飲んでやるとするか・・・んっ・・・やけに変わった味だな・・・薬っぽく無いのはいいんだが・・・」

鈴木「飲みやすい様にとイチゴシロップを入れてみたんだが、コレで虫歯になったら困ると思ってイチゴ歯磨きを入れてみたんだが

あんまり甘くしすぎても薬っぽく無いからハッカ入れたりとかして色々混ぜたらこんなのが出来たのだ。」

死「わけがわからんわ。」

鈴木「正直自分でも作っててよく分からなくなった。」

死「あのな・・・」


蔵『そんなこんなで死々魚姫は薬を飲んで、陸へ向かって泳いでいきました。魔法使いの言った通り、陸に着いた頃には足になっていましたが、

声も出せなくなっていました。』


死(くそっ・・・上手く歩けん・・・まるでつった時みたいだな・・・これも副作用か・・・)

鈴木「死々魚姫、今は薬の副作用で口が利けないと言うに、お前の言ってる事が分かるのは相思相愛だからだな!

私に任せろ!整体も性感帯もバッチリだから!!」

蹴!!!

死(息止めて海に沈んでいけ・・・)


蔵『死々魚姫が陸に上がろうとすると、浜にはまだ王子がうろついていました。』


死(ちっ・・・まだ居たのか・・・)

黄「おお!お前であろう、私を助けてくれたのは!」


蔵『運が悪い事に死々魚姫は王子に見つかっちゃいました。』


死(気が触れても助けるか!海の中に漂流されると迷惑だから陸に返してやったんだよ!)

黄「何だかお前に助けられる前にここでもう一人に会ったんだが、あんな奴が人助けをするワケないものな!」

死(俺もだよ!!)

黄「よしよし、助けてくれた礼をたっぷりさせてもらうぞv城に連れ帰って介抱してやる♪よっこいせと。」

死(姫だっこするな!)

黄「おお、その息づかいだとよほど危険な目にあったのだろう。心配するな、城で私が手厚く介抱してやろうv」

死(お前の息づかいの方が危険だろうが!!介抱してくれなくていいから解放しろ!!)

黄「仕草から察するに和風好きだなvフローリングより畳が好みだなvなら和室に布団を敷いてやろうv私もどっちかと言うと和風が好きだからなv」

死(聞いとらんわ貴様の嗜好なんざ!!)


蔵『その頃、海の中ではみんながなかなか帰ってこない死々魚姫の事を心配していました。』


陣「なぁなぁ大変だべ!死々魚姫が王子にさらわれちゃったみたいなんだべ!」

酎「展開早いな。」

鈴駒「前半余計な会話が多かったから時間押してるんだね。」

凍「陣、それは確かな情報か?」

陣「ご近所の磯野さん家の息子さんが言ってたから間違いねーだ!」

酎「あいつは俺に似て美人だからなー。男がほっとかねーんだよコレが。」

鈴駒「いや、共通点性別だけだから。それ以外は別の種族だから。」

陣「あの王子さん婚期とうに逃したから死々魚姫と結婚するつもりだって・・・」

凍「それは困る。一刻も早く助けに行かねば死々魚姫の身が危ない。」

鈴木「分かっている!死々魚姫は私が助ける!そして私が死々魚姫と結婚するのだ!!あんないい年してロン毛にしてる中年男になぞ

死々若をくれてなるものか!!」

鈴駒「アンタも行ったら危ないって。」

陣「でも結婚って個人の自由だべ?」

鈴駒「離婚もね。」

鈴木「ああ・・・!今頃死々魚姫があいつにあんな事やこんな事されてるかもと思ったら居ても立っても居られん!」

鈴駒「いやー、王子の方がそんな事やそこまでやる事無いだろ!!な目に遭ってると思うけど?」

陣「でもあの王子さん何だかんだで結構強いって話しだべ。死々魚姫大丈夫だべか・・・」

鈴駒「それじゃ何か武器でも持っていく?」

鈴木「そうしたいのはやまやまなんだが、ここ最近の景気の傾きやら資源の高等でそうやすやすとは作れなんだ・・・」

陣「早くしねーと死々魚姫が結婚させられちまうだよ。」

凍「大事な妹を中年の人身御供として捧げるわけには行かない。何とかならないか?」

鈴木「分かっている・・・!そうだ!貴様等の髪の毛を寄越せ!それでカツラを作って金に代える!」

鈴駒「えー?オイラまだ生え盛りなんだから。」

凍「俺も髪短いしな・・・」

陣「長いって言ったら死々魚姫だけど・・・あっ、酎いっぱい髪生えてるだから後ろ髪バッサリ行くべ!」

酎「男だって髪は命なんだよ!将来の事考えてやんねーとなんねーだぞ!?つーか自分の捧げろよ!」

鈴駒「まぁ確かにウチらの中では最もカツラと早くお付き合いするかもしれないのは酎だからね。」

鈴木「そもそも酎の毛ではモップにしかならん。」

凍「と言うかお前魔法使いだろ?魔法で何とかならんのか?」

鈴木「凍矢魔法で何でも出来たら株価は暴落なんてしないんだぞ?環境破壊なんて言葉は無いんだぞ?」

凍「何故いきなり現実的に・・・」

鈴駒「とにかく今あるので何とかしようよ。何かないの?」

鈴木「今あるのはこの剣だけだ・・・待っていろ死々魚姫!今この美しい魔法使い鈴木が愛と魔哭鳴斬剣を届けにいくからな!」

鈴駒「愛は突き返されるって。」

陣「返品受け付けてるだか?」

凍「クーリングオフは確か八日以内だったな。」


蔵『こうして姉達は船上結婚式としゃれ込もうとしている王子の所へ向かいました。王子は勇んで紋付き袴を身に纏い、

死々魚姫は豪華絢爛な十二単を着せられていました。死々魚姫よくお似合いでv』


死「話しかけるなナレーター・・・」

鈴木「くそっ・・・あんな艶やかで華やかな十二単を着せるとは・・・!!何て羨ましい事を!!」

バキッ

鈴木「くっ・・・!死々魚姫、ホタテ貝を投げちゃいかん・・・」

死「心配いらん。中身は食った。」

黄「何だ貴様等は。人の結婚生活を邪魔せんでもらおうか。死々魚姫、どんな結婚生活にしたいかな?」

死「離婚したい。」

凍「俺達は死々魚姫の姉だ。妹を奪還しに来た。早く死々魚姫を返せ。」

陣「結婚相手が欲しいなら酎と交換でいいから返してくれだべ。可愛い末っ子なんだべ。」

酎「何で俺なんだよ。」

鈴駒「陣、ちり紙交換じゃないんだから。」

「いらない。この世の全てのちり紙をもらってもいらない。」

死「おい、誰か代わってくれ。俺はこんな中年と結婚出来る程物分かりは良くないし諦め癖は無い。」


蔵『悲惨な事に、死々魚姫は王子様と結婚できないと泡になって消えてしまうのです。』


死「むしろ結婚させられたら泡になって消えてしまいたいよ。」

躯「と言うより黄泉が泡になって消えてくれれば一件落着なんだがな。」

黄「また出たか貴様・・・」

鈴木「世迷い言を!死々魚姫を貴様にやるくらいなら私が貴様の元に嫁いでやる!」

黄「お前も血迷ってるわ!!」

鈴駒「自分を捨てるにも程があるね。」

陣「鈴木すげぇだな・・・自分を犠牲にしてまで死々魚姫を守るだなんて・・・これが愛だべか・・・」

凍「陣・・・珍しく感動的な発言をしてるかの様だが実際大打撃喰らうのは黄泉の方だぞ?」

鈴駒「致命傷だよね。」

酎「独身も悪くねぇって。」

鈴木「そもそも黄泉×死々若なんてカップリングは聞いた事が無いわ!」

陣「カップリングって何だべ?」

凍「・・・・・・分からないままでいろ・・・」

黄「はっはっは!本当は結婚なんぞどうでもいいのだ!お前等のうち一人でも私の手中に収めれば少しは従順な態度を示すだろ!」

躯「甘い考えだな。」

鈴駒「だね。」

陣「でも何で死々若・・・じゃなかった、死々魚姫なんだべ?」

黄「どうせ人質を取るなら美しい方がいいじゃないか!」

鈴木「なら何故私にしない!?」

鈴駒「アンタ生まれてから鏡見た事ある?」

鈴木「当たり前だ!いつも正視出来ないほどの美しい顔が映っているぞ!」

鈴駒「それ故障してるんだよ。」

黄「うちに来て損は無いぞ?いつもメインのおかずはイワシとかだろ?うちに来れば平目が食えるぞ平目が。」

鈴木「平目がなんぼのもんだ!!私なんぞいつも死々魚姫の平手ビンタ喰らってるわ!!」

凍「そんな事声を大にして言わくても・・・」

陣「平目とカレイの違いはよくわかんねぇけどカレイだってすっげぇうめぇだ!!」

飛「左平目右カレイ・・・」

黄「とにかく!ウチに来れば食い放題飲み放題だ遊び放題だ!」

酎「それもいいな。じゃあ俺が嫁に行ってやるよ。」

「全財産も魔界もやるから勘弁してくれ。」

陣「なぁなぁ、頼むから死々魚姫返してくれだべ〜。」

凍「お前の様な男では嫁いでくれる奴もいないのは重々承知してるが死々魚姫は俺達の大事な妹だ。頼む、返してくれ。」

黄「重々に承知せんでもいい所を承知するんじゃない。」

躯「事実なんだから仕方がないだろ。」

黄「貴様だって同じだろうが!貴様なんぞ誰も嫁にもらいたがらんわ!と言うより毎度毎度どこから沸いてくるんだ貴様は!?」

躯「お生憎様。ウチは婿入りなんでな。」

「え。」

幽「良かったな飛影。あとで鯛の尾頭付きやっからなv」

蔵『式には是非呼んで下さいね。何なら飛影に俺の母が結婚式で着たドレス着せてあげましょうか?』

飛「何で俺が着るんだ!?」

躯「いいじゃないか。オレは見てみたいぜ?」

酎「祝いの酒はたんまり用意しとけよ?」

凍「祝儀の金額は・・・」

黄「えーい!口やかましい外野は下がってろ!」

躯「お前が一番口やかましいと思うが?」

鈴駒「自覚無いんでない?」

黄「それに、私と死々魚姫が結婚しなければ死々魚姫は泡になって消えてしまうんだぞ。それでもいいのか?」


蔵『おっと、ここでアタックチャーンス。死々魚姫が王子の心臓をぐさっとやればOKです。』


死「さっさとそれを言え。」

鈴木「死々魚姫!この剣を、魔哭鳴斬剣を使え!本当は髪の毛を代償に頂くのだがお前の場合は身体でいいぞ!と言うか身体がいいな!!」

斬!

死「ふむ、切れ味はいいな。ではさっさと貴様の心臓を突き刺して思ってたより長引いた小説に終止符を打ってやる。」

黄「甘いな!いくらコレがデタラメを極めた童話シリーズでも実力で言えばお前達など私の足下にも及ばないわ!

そして話しが長くなったのは私のせいでは無い!!」

鈴駒「そりゃそうだけどさ。」

飛「いや、長くなったのは前半で素直に川に落ちなかった黄泉が悪い。」

黄「知るか!始まりがどうであれ今回こそ私のハッピーエンドにしてみせる!!」

陣「ありゃー、王子さん本気になっちゃったべ。」

酎「ココが威厳見せつけられる絶好の場だと思ってんじゃねぇの?」

死「とんだ勘違いだな。」

黄「さぁ!やれるものならやってみろ!そんな剣より息子の『パパ嫌い』の方が致命傷だぞ!」

鈴駒「そこは恥じるべきでは?」

死「それより息子がいるのに何故お前が王子なんだ?」

黄「お前こそ何故喋っている。薬の副作用で声が出せないんじゃなかったのか?」

陣「この際細かい事はおいとくべ。」

凍「おい・・・」

死「とにかく、これでコイツと鈴木の心臓を刺せば俺は自由の身なんだろ?」

鈴木「私を巻き込むな!」

黄「そこの魔法使いがどうなろうと知った事では無いが私を刺せるものなら刺してみろ!」

躯「貸せ、オレがやる。」


蔵『おーっと、ここで最強の助っ人です。』


黄「お前今回役無いだろうが!!」

躯「友情出演だ。さぁ、素直に心臓を突き刺されるか、泡になって消えるか、修羅への隠し事を暴露されるか、どれでも好きなのを選ぶがいい。」

黄「役でも司会でもない何故貴様が主導権を握ってるんだ!」

躯「演出だ。あと国家を解散しようが魔界と人間界の垣根が消えようが個人的にお前がむかつくのは変わらんからな。」

鈴駒「修羅に知られたくない事って何?」

躯「色々あるんだが、まぁ確実に『パパ大ッ嫌い!!』って言われる事だな。」

死「俺も貴様の城にいて修羅の耳に入れたくない事を幾ばくか知っているんだが薬の副作用で喋れん。」

躯「ならオレが代わりに・・・おい、拡声器よこせ。」

黄「言うな!泡の力で油汚れがよく落ちるこの食器用洗剤やるから!!」

躯「オレは洗い物なんぞせん。」

鈴駒「新聞の勧誘じゃないんだから。」

死「洗剤だけはよこせ。」

凍「出来れば油も・・・」


蔵『じゃあ黄泉、死々魚姫との婚約はきれいさっぱり解消と言う事でいいですね?』


黄「どう転んだって私が喜ぶエンディングにはならんのだろ・・・」

「黄泉は昨日修羅の・・・!!」

「黙れぃ!!」


蔵『こうして、死々魚姫の黄泉親子の関係にも何とかヒビが入らずに済みましたとさ。めでたしめでたし♪』


躯「それじゃ打ち上げと行こうか。海からの贈り物もあるし。」

黄「私の財布だろうが!」






黄「蔵馬!何だこのロマンスの欠片の微塵もない様な『人魚姫』は!?」

鈴駒「ここのサイトにそんなの求められてもね・・・ぷはー。炭酸はやっぱこのしゅわしゅわがいいね。」

蔵「今思ったんですけどタイトル『陣魚姫』でも良かったと思いません?何か響きが。」

黄「タイトルなんぞどっちでも良いわ!!どっちにしたってこの展開だろうが・・・!!」

躯「分かってるなら聞くなよ。飛影、ビール追加。」

蔵「まぁまぁ、ほら、終わった事いつまでもぐちぐち言わないで、黄泉も飲みましょうよ。ビールの缶よく振っておきましたから。」

「いつまで嫌がらせすれば気が済むんだ?」

蔵「泡まみれになって終われば『人魚姫』っぽいじゃないですか。」

凍「そうか・・・?」

鈴駒「要はいかにその題材とかけ離れてるかって事なんじゃないの?」

死「離れてると言うより完全に別物だろ・・・」

酎「いいんだいいんだ!このビールが美味ければなんだってよ!」

鈴木「死々若ーv泡になって消えるわけにはいかないから二人で泡風呂に入って・・・v」

斬!!!

死「泡にはしてやれんが粉々にはしてやれるぞ・・・」

凍「ふー・・・結局、今回もドタバタで終わったな・・・」

陣「『終わりよければ全て良し!』だべ♪」

飛「終わりすら良くないだろうが・・・」






−Fin−







思っていた以上に長くなってしまいましたが、ここまで読んで下さってお疲れ様でしたv

長々と書いておいて何ですが、正直に言うとあんまり人魚姫の話を知らなかったりします。

先日勉強しようと本屋さんで人魚姫の絵本を立ち読みしたんですが、(絵本が入ってるグルグル回せる本棚にあるタイプの)

挿し絵があんま幼児向けじゃないんじゃ・・・と思ったり。

裸なのは仕方ないんですがせめてうつぶせに寝かせた方が・・・とか色々と関係ない事ばかり考えてました。(笑)

何だか分からないままに始まってそれ以上に不可解に終わる『童話シリーズ』なのでしたー。