凍矢の『陣育児日記』



○月○日(月)天気 洗濯日和


どうも最近俺は陣を甘やかしてしまうようだ。

皆にも「陣を甘やかしすぎでは?」と言われているし・・・

自分ではあまり自覚は無いのだが

これからは少し厳しくしないと、陣のためにならないな。

よし、ここは心を鬼にして・・・



手始めに陣の三時のおやつのショートケーキは三つから二つに減らしてみた。

「凍矢ー、何で今日ケーキ二つだ?」

「普通は一人一個なんだぞ。今日からケーキは二つにする。三つは贅沢と言うものだ。」

「うぅ〜・・・」

ああ・・・そんなしょんぼりした顔で食べるな!

ああ・・・そんな恨めしい顔してイチゴ食べるな!

ああ・・・そんな子犬みたいな目をして口の周りにクリーム付けて・・・!!

「陣、口の周りを拭け。クリーム付いて・・・」

「・・・・・」

そんな訴えかけるような目で俺と俺のケーキを見るな!!

「陣・・・俺の・・・ケーキも食べるか?」

「えっ・・・だっ、ダメだべ!それは凍矢のケーキだべ、オラが食べるワケにいかないべ!」

「いいんだ・・・お前が食べた方がケーキも喜ぶだろう。」

「凍矢・・・じゃあ遠慮なくもらうだ!凍矢大好きだべ〜vv」

「いいのか?凍矢・・・」

「いいんだ死々若・・・」

この笑顔が見られるならイチゴショートの一つや二つ・・・

おっと、陣の口の周りに付いているクリームを取ってやらねば・・・

何?それが甘やかしているだと?だが鈴駒、クリーム付けたまま外に出すわけに行かないし・・・

いや、付けてても陣なら可愛いと言われる気が・・・

いや、やはり大の大人の男がクリームを付けたまま外歩くわけには・・・

※エンドレス








△月△日(火)干物日和

甘やかさないと宣言したその日に甘やかしてしまった・・・

だが今日はそうはいかない。今日は本気で心を鬼にして陣を躾る!!(しつける)

ふっ・・・現にこうして台所で夕飯のおかずの唐揚げを作っているが警戒態勢は万全だ!

いつもならおかずをつまみ食いしたら

「こらっ!陣、それは夕食のおかずなんだぞ。勝手に食ってはいかん!」

「だっておいしそうだから・・・つまみ食いするなって方が無理だべ〜。」

「全く・・・いつになったらお前は大人になるんだ?」(デコピン)

「えへへ〜vvおいしいだよ、このウィンナーvv」

「仕方のない奴だ。鈴駒達には内緒だぞ?」

なーんて軽く受け流して(受け流されているとも言える)いるが今日の俺はひと味違う!

定石通りつまみ食いしようものならいつもはデコピンだが、今日は魔笛散弾射が炸裂するぞ!

「凍矢〜。」

来たか!

「陣!今日はいつもの様にはいかんぞ!!魔笛・・・!!」

「食卓拭いて箸並べて来ただよ〜。しょう油も切れてたから足しておいただよ。」

「えっ・・・そ、そうか。ありがとう・・・」

「他に何か手伝える事あるだか?」

「いや、もう後はおひたし作るだけだから・・・」

何で今日に限ってつまみ食いしようとしないんだ・・・

いや、お手伝いをして俺を油断させてつまむ作戦かもしれない・・・!気を抜くわけには・・・

「いつも凍矢にご飯作らせて悪いだなー・・・前は当番制だったのに。」

「一回り当番でやってみたが一部の奴のは食べられな・・・あまり料理が得意じゃなさそうだったからな。

代わりに掃除をやっているだろ?」

「でも凍矢掃除もちゃんとやってるべ。本当はオラもちゃんと料理出来たらいいんだけどな。

そしたら凍矢も少しは楽出来るし・・・でもオラ凍矢みたいに上手にできねぇだ・・・」

陣・・・・・

「陣っ!」

「ん?」

「ホラ、みんなで分けると一個余るから・・・見つからないうちに食べろ。」

「えっ・・・いいだか?」

「俺が言わなくても手伝いをした礼だ。」

「やったべ〜vv凍矢の出来たて唐揚げ〜vv」

・・・本当は六人で分けられる分しか揚げてないが・・・

コレはご褒美だ!断じて甘やかしではないぞ!?コレは何と言うか、感謝の気持ちと言うか、

お裾分けと言うかだな・・・

まぁ、確かに六人分の食事(六人のはずなのに十人分は作ってる・・・)を作るのは楽ではないが、

陣が・・・みんなが美味しいと言って食べてくれるなら苦では無い・・・

それに、俺が料理してる時に

「凍矢ーvv今日の晩ご飯何だべ?」

って、後ろから抱きつかれるのも嫌いでは・・・

って、日記に何を書いてるんだ俺は!?はっ!!コラ!人の日記を見るんじゃない!!

明日だ!明日こそきちんと陣を教育してだな・・・

違う!鈴木、調教ではなく教育だ!と言うか貴様人が日記を書いてるのを覗くんじゃない!

あと風呂も覗くな!!








□月■日(水)特売日和

今日は近所のスーパーの特売日だ。ちなみに俺達はちょくちょく買い物には行かず、

特売等の安い日に買いだめする様にしている。

何?『どんなに買ってもその日で食材使い切ってるのでは?』だと?

・・・そう一概に言えなくなくも無い・・・

いや、その話は今はおいといて・・・

とにかく今日は買い物の日だ。

さて、今日の特売のチラシはと・・・

「凍矢ー、今日買い物行くだか?」

「えっ?ああ・・・特売だしな・・・」

まずい・・・このシチュエーションは陣も行きたいと言う展開だ・・・

いや、誤解しないでほしい。陣との買い物は楽しい。楽しいけどねだる。

特にお菓子コーナーやアイスコーナーでは特にな・・・

どうしよう・・・陣を連れて行けば今月始まってまだ三日目の家計簿が絶叫する・・・

ああ・・・そんな連れてけオーラを発するな・・・誰か・・・!!

「陣、暇なら俺と手合わせしてくれないか?」

「陣、暇なら私の実験台になってくれないか?」

おお、助け船と駆逐艦!

「すまんな。陣、おとなしく留守番しててくれ。」

「うぅ〜・・・凍矢〜・・・」

「そんな声出すな。死々若、相手してやっててくれ。」

「ああ。陣、こっちで鈴木が逃げない様に抑えててくれ。」

「鈴木また何かやっただか?」

「またとは何だまたとは!私はただ死々若に服を作ってやろうと採寸しようとしただけだ!

メジャーが見あたらないから手でさわさわして測ろうとしただけだ!!」

「犯罪だ馬鹿者が!!」

・・・よし!買い物に行こう!!





さてと、野菜も買ったし、魚も買ったし、肉も安いの買ったし・・・(特売の肉を買ったのであって、

安い肉そのものを買ったワケではないぞ!断じて!!)

陣のお土産を・・・

いやいや!こういうのを甘やかしてると言うのだな!

だから!

今日は一個だけだ!

さて、その一個は何にしよう・・・

やはりお菓子か・・・たまにはアイスとか・・・

でもアイスなら俺がかき氷でもシャーベットでも作ってやればいいし・・・

ここはゼラチン買ってってゼリーを作るか・・・

でもコアラのマーチ好きだしな・・・

眉毛コアラ探してる時なんか本当に一生懸命で・・・

はっ!また俺は何を書いてるんだ!!








♪月♯日(木)お風呂日和

うーむ・・・やはり俺はどうも陣を甘やかしてしまうらしい・・・

どんなに厳しくしようと心掛けても陣のあの笑顔には勝てない・・・

「じゃあお風呂に一人で入れるとか?」

と鈴駒に言われた・・・

「確かにその歳で一緒に風呂に入ると言うのはな・・・」

と死々若にも言われた・・・

・・・おかしい・・・かな?一人で風呂に入らないのは・・・

魔忍時代は結構皆で沐浴していたものだが・・・

「やはり変なのかな・・・」

鈴駒は

「酎が入ると天然のガス(おなら)を蔓延させるから絶対入りたくない」って言うし、

死々若も、

「鈴木と入るくらいならピラニアと入った方が安全だ」って言うし・・・

・・・まぁ、分からなくもないがな・・・

二人で入ればお互いの背中もしっかり洗えるし、

陣のシャンプーもちゃんと落としてやらないと・・・

ち、違うぞ鈴木!お前みたいに不純な動機で一緒に風呂に入ってるワケじゃない!

俺は鈴木とは違う!

ただ、俺と違って背も高いし、筋肉もしっかりついてて羨ましいなんてちょっと思ってるだけだ!

えっ?し、知るか!そんなトコまでじっくり見たりはせん!

そ、そりゃ成人男子だから・・・やはり大き・・・

って!!だから鈴木人の日記を見るなと言ってるだろう!

斬!!



※このページには多少血が付着しております








√月∫日(金)過去振り返り日和

ふー・・・何だか日記と言うより暴露本みたいになっているような・・・

いや、日記は自由だ。思った事を素直に書けばいいんだ。

しかし・・・また変な事・・・いや、個人的すぎる事を書いてしまうな。

今日は別にテーマをおいて書いていこうと思う。

何がいいかな・・・

はっ?俺達の出会いについて書けだと?

鈴木・・・出来ればお前との出会いなど忘れるか遠い昔に置き去りにしたいものなのだが・・・

えっ?そんな口に出来ない事を書くのが日記だと?

だが日記は形に残ってしまうぞ・・・

あっ!!こら!勝手に人の日記帳に・・・!!

斬!!!

・・・ああ、ありがとう死々若。そうだな、たまには陣の事から離れた事を書くのもいいかもしれん・・・

では、俺達と死々若達が直接交流する様になった頃の話でも・・・







「えー、この度は『癌陀羅戦力強化合宿』にお集まりいただきまことにありがとうございます。」

「蔵馬、何そのバスガイドさんみたいな言い回しは。」

「酒は出るんだろうな酒は。出さなかったら屁出すぞ。」

「特訓頑張るだー!!」

「落ち着け、陣。お前はまず冷静さを養う事が先決だ。」

「陣はりきってますね。それと、この二人も紹介しないとね。」

「二人?」

「はーはっはっは!!御存知!美しい魔闘家鈴木だ!!」

「鈴木?知らないだな。」

「俺もだな。」

「オイラも。」

「ンな銘柄の酒あったけかな・・・」

「貴様ら!この美貌と美麗と美酒爛漫を司る美しい魔闘家鈴木を知らないとは!!

何たる無知無学無教養!」

「何たるも何も知らないモノは知らないよ。」

「だったら海馬にしっかり私の美貌を焼き付けておけ!!そして!コイツがその美しい魔闘家鈴木の

美しきラバー、死々若丸だ!!」

斬!!

「初めまして、コイツとは生涯あかの他人の死々若丸だ。」

「よろしくだべvv」

「先に言っておく。俺はお前等とつるむ気も無いし、黄泉に協力するつもりも無い。

俺は自分の腕を上げるために来ただけだ。」

「死々若!初対面で何て事言うんだ!今日から団体生活をするのにそんな協調性が無くてどうする!!」

「俺は浦飯達にやられた借りを返したいだけだ。」

「全くお前と言う奴は・・・夜は二人っきりだから我慢しろ!!」

斬!!!

「お前と二人っきりと言うのが我慢できんのだ・・・」

「とまぁ、こんな感じの二人です。後でゆっくりお互いの分かり合ってください。」

「うん。今の数回のやりとりでその二人の主従関係と性格が完璧に理解出来たよ。」

「むっ・・・私には敵わないが・・・お前も綺麗な顔をしているな。」

「はっ?」

「どうだ?私の愛人に・・・」

斬!!!!

「初対面から3分の奴を口説くな・・・」

「ぐっ・・・だってお前が私の愛をないがしろにするから・・」

「何だかよくわかんねぇけど凍矢はダメだべ!凍矢はオラんだべ!!」

「陣・・・」

「愛人って意味よくわかんねぇけど!!」

「知らねぇのかよ!!」







・・・・・・やはり思い出さない方が良かったな・・・

死々若とは『世話の焼けすぎるペットがいる』と言う共通項があって

徐々にうち解けていったな。

陣はチビ若バージョンの死々若がえらく気に入った様でいつも遊んでたな。

死々若も徐々にそれに慣れてしまった様だったな。

俺も可愛いなと思ってちょっと遊んだり・・・ちょ、ちょっとだからな!?

鈴木に関しては・・・ノーコメントだな・・・

ちなみに、酎は酔っぱらって死々若にお酌をせまって斬られていたな・・・

やはり今日のは日記とは言わない様な・・・








◇月◆日(土)チョコ日和

昨日の日記があのようになってしまったので方向修正。

以前に陣にチョコレートをもらった。

だが実はお返しをしていなかったのだ・・・

どうやら陣はホワイトデーの事は知らなかった様だ。

なので今年のバレンタインは俺からやろうと思う。

※家計の圧迫により強制的にホワイトデーをスルーしたのだった



と言うわけで今チョコを選んでいる真っ最中だ。チョコ売りのコーナーで日記を書いているが

気にしないでくれ。家で書くと鈴木が覗くからな。覗いて死々若に斬られて血が付くし・・・

さて、どんなのがいいだろうか・・・どんなのと言っても基本的に陣は何でもいける。

ここで言う『どんな』は『何円ぐらいまで買えるだろうか』と解釈してくれ。

量より質か、質より量かと問われれば陣は後者だろう。

手作りすればいっぱいチョコをやれるが・・・

だがせっかくの行事だ。たまには高級志向でも・・・

ええい!!コレが男の生きる道!!




「すまん、この千円のチョコを包んでくれ。」




「陣、ほら。」

「チョコ?くれるだか?オラに?」

「ああ。去年のお返しだ。高いチョコで無くて悪いが・・・」

「・・・・・・」


やっぱり・・・もう少し頑張って高級チョコにした方が良かったかな・・・


「陣・・・すまん・・・あんまり高いチョコ買えなくて・・・気に入らないなら・・・」

「ん?いや、そうじゃなくて、凍矢の手作りだったらもっと良かったなぁって。」

「・・・・・・・」

「うんvvおいしーだよ、このチョコvv」

「じゃあ来年は手作りのをやろうか?」

「作ってくれるだか?じゃあ今!材料買って作るべ!!」

「来年って言っただろ!!」←結局作ってあげる



・・・いいんだ・・・陣が喜んでくれればそれで・・・うぅ・・・(涙)








℃月%日(日)雪だるま日和

雪が降った。庭が一面銀世界になった。

陣に雪が積もったと教えたら喜色満面で庭に飛び出して行った。

そんなに好きならいつでもこの庭を白銀に変えてやるのに。

白銀の世界にも極寒の世界にも・・・闇の世界にも・・・



−雪がそんなに嬉しいか?−



−そりゃあ嬉しいべ!こんなに積もるの見るの久し振りだべ!凍矢は雪嫌いだかー?



−・・・間に合ってるからな・・・−



−ふーん・・・オラは雪好きだけどなー。−



−・・・どこがいいんだ?好きになる理由も嫌いになる理由も俺には解らん・・・−



−凍矢みたいに白くてきれーなトコ!!−



−・・・・・・・・・・−



−凍矢ー、一緒に雪だるま作るべー!!−



相変わらず・・・とんでもない事をさらっと言う奴だな・・・



−凍矢早く早くー!!−

−おっ!雪か!私の美白如き美しき銀世界!−

−お前は雪に触るな。雪が汚染される。−

−こいつぁ、美味い熱燗で雪見酒だな♪−

−雪と言ったら雪合戦でしょ!−

−むー、雪合戦もいいけど雪だるま用に雪残るだかな?−

−心配いらん。雪玉の的も鈴木でいいし、雪だるまも鈴木に雪ぶっかければ問題無い。−

−死々若!そんな札幌の雪祭りの雪像のモデルは私しかいないなんて本当の事を言うんじゃない!!−

−ちょっと、死々若に刀振り回させるような事言わないでよ?せっかくの雪が鮮血に染まっちゃうよ。−

−凍矢ー、早くやるべ雪合戦!−

−チームは鈴木一人対残り五人でいいな。−

−馬鹿な!私と死々若と凍矢のビューティフルチームを結成せねば美しくない!!

−鈴木ー、気を付けないと刀飛ぶよー?−

−凍矢ー、早くこっちこねーと狙われるだよー!!−






本当に・・・変わらないなお前は・・・






「ああ。今行く。」






こんな日々が続いたなら・・・

















たった一週間なのに一年間書いたような感じだったな・・・

まぁ、言葉に出来ない事も、したくない事もたくさんあるからな、

そう言う意味では日記も悪く・・・あっ!コラ!陣読むな!鈴木音読するな!!

以上 報告 凍矢







日記編第二弾!凍矢編でございます。随分凍矢が崩れてますね・・・

私が書くとみんな崩れますがね。(汗)

いつも会話調の小説しか書かないからいざ一人でくっちゃべってる様な感じで書くのは慣れて無いので

難しいですね。(※限りなく乱入者が紛れ込んでいる)