○月×日(月)天気:心はあの日のようなスカイブルー・・・
ようやく私の所にも日記のオファーが来た。
全く、何故奴らの様なめんどくさがりでも筆無精でも無いと言うに。
だが私は奴らみたいに日記帳には書かない。
やはり今の時代はパソコンに綴るのが主流だからな。
ふっ・・・やはり文明は癌陀羅が最も進んでいるのだ。
これなら奴らの様に誰かに読まれたりする心配は無いからな。
そもそもあいつら人の日記を盗み見過ぎだぞ・・・
そんなこんなで、疲れが溜まっているせいか物忘れが多くてな・・・
物をどこにしまったとか、おいたとか、やはり私には休息が必要なようだ・・・
黄「ん?おかしいな・・・確かこの辺に・・・」
蔵「何探してるんです?」
黄「耳がかゆくてな。耳かきを探しているのだが・・・前使った時はここにしまっておいたはずなんだが・・・」
蔵「貴方の耳を掃除するのが嫌で堪らなくて逃げたんじゃないですかね。俺が耳かきだったらそうします。」
黄「私はお前から逃げたいよ。」
蔵「心配無用。俺達は口座間で結ばれていますから。貯金も預金も。」
黄「勝手に結ぶな!それより耳かきを探すのを手伝ってくれ。でなきゃお前のを貸してくれ。」
蔵「何で俺のを貸さなきゃいけないんですか。どうせどっか別のトコに置いて忘れたんでしょ?」
黄「そうかもしれんな・・・最近物忘れが多くてな・・・最近は若くてもこうらしいからな。」
蔵「単に忘れっぽいだけと言う気がしますが若年性でない事だけは確かですよ。もうとっくに若くないんだから。」
黄「貴様と言う奴は同期の桜に向かって・・・」
蔵「えっ?俺はまだ満開だけど?」
黄「私は散ったとでも言いたいのか!?」
あいつは人を何だと思っているのだ・・・!!
△月▼日 (火)天気:パパはつらいよ・・・
修羅は父親の私に似て努力家さんなのだ。
黄泉のは『野心家』って言うんだと思うけど。by 蔵馬
・・・修羅には戦闘特訓だけでなく、私の様に賢くなるように勉学も疎かにしないように言ってある。
最近は字も覚え、いろんな本を読んで知識を吸収している様だ。
分からない事や言葉があったりすると歩く電子辞書の私に教えを請うのだ。うんうん、勉強熱心でパパは嬉しいぞvv
どんどん私に聞いて私の様に『頭脳明晰』と言う言葉が似合う男になれ!
むしろお前の様な男にならないために勉強してると思うんだが? by 躯
・・・何だか書いた覚えの無い一文がちらほらあるのは何故だ・・・?まぁいい・・・
今日も修羅がまた新しい本を読んでいる。冊数が増えていく度に新しい知識を吸収して行く。
うむ、とても良い事だ。
修「パパー、この言葉の意味がわかんないんだけど。」
黄「何だい、修羅。何でも聞いてごらん。パパは何でも知ってるから。」
蔵「一般児童が知ってはいけない用語とかも色々知ってますからね。良い意味でも悪い意味でもいい勉強になりますよ。」
黄「私の脳内辞書は健全かつ実用的かつ実践的かつ安全だ!」
修「へぇー、パパって物知りなんだねvv」
黄「はっはっは、修羅もパパを見習って博識になるんだぞv」
蔵「歩くトリビアって感じですけど。」
黄「黙れ。」
修「えっとまずねー、『さいしょくけんび』ってなーに?」
蔵「俺みたいな人の事を『才色兼備』と言います。」
黄「いたいけな私の子供に嘘を教えるな嘘を!!」
蔵「真実中の真実じゃないですか。意味もいいですけど実際の人物をあてはめた方が分かりやすい事もありますし。」
修「じゃあ『さいしょくけんび』は蔵馬みたいな人って意味でいいの?」
黄「違うぞ修羅!『才色兼備』と言うのはパパみたいな人を言うのだ!」
修「じゃああんまりほめ言葉じゃないんだね?」
蔵「修羅、黄泉に『才色兼備』って言っていいのはエイプリルフールの日だけですよ?」
黄「どういう意味だそれは!!」
修「じゃあ次はねー、『ゆいがどくそん』ってなーに?」
蔵「それは黄泉の事だよ。」
黄「お前だ。」
修「へー、蔵馬っていろんな事知ってるんだねー。じゃあ『びもくしゅうれい』は分かる?」
蔵「それも俺の事です。」
黄「冗談も大概にせんか。」
三つ子の魂は百までどころか千をも突破する・・・
□月■日(水)天気:ちっとも謎が解けてかない・・・
親子の会話もいいものだ。
何事にも負けず嫌いな修羅が今日はなぞなぞで私に挑戦してきたぞ♪
修「パパなぞなぞ出すよ〜。」
黄「いいぞ、どんな問題でもパパは答えちゃうぞv」
蔵「今後起こりうる親子問題はどうしようも出来そうにありませんけど。」
黄「やかましい。」
修「じゃあ問題ね。下は大火事、上は大洪水コレなーんだ。」
黄「はっはっは。簡単すぎるぞ修羅。答えは風呂だ。」
蔵「そんな単純な問題じゃないですよ魔界のなぞなぞは。答えは凍矢達の家計簿。毎月家計は火の車だしお金は滝のごとく
流れ落ちていくからです。」
修「ぶぶー。答えは一階には焼き肉屋さん、二階にはプールが入ってるビルでした!」
黄「何なんだそれは・・・」
修「じゃあ次の問題。パンはパンでも食べられないパンはなーに?」
黄「はっはっは。それも簡単だ。それはフライパンだ。」
蔵「考えが甘いですね黄泉。答えはルパンです。」
黄「だったらお前はフライパンが食えるのか・・・」
蔵「ガッちゃんは食べます。ガッちゃんは人間とゴム以外のあらゆるものを食べるそうです。」
修「ぶぶー。二人ともはずれー。答えは『ジャパン』。日本は食べられないもんね。」
蔵「なるほど。そういう考え方もありますね。」
黄「修羅、ちゃんとした問題を出しなさい。そんなのはなぞなぞとは言わないぞ。」
蔵「子供の出す問題に向きになるんじゃありませんよ。まぁコレがいわゆる男のつまらない意地と言う奴ですか。」
黄「悪かったな・・・」
蔵「ああ、間違えました。つまらない男のつまらない意地でしたね。」
黄「『つまらない』が一つ余計だ。」
蔵「そうですね、つまらない男の意地って言う方がよりベターですね。」
黄「・・・・」
修「パパー、コレが『めおとまんざい』って奴?」
黄「修羅・・・どこでそんな単語を・・・」
蔵「と言うか黄泉と夫婦ってのが大いに異議ありなんですけど。」
黄「こっちもだよ。」
あいつは『言いたい事が言い合える仲でいいじゃないか』と言うが
あいつは言い過ぎだ。
言わんでいい事まで言ってくるのだからな・・・
○月◎日(木)天気:私の彼は両手で鞭をビシバシ
今の時代は男も台所に立たせられる・・・いや立つ時代だ。
そういう事で、今日は私もちょっと料理をしてみた。
たまには普段しない事をすると言うのも気分転換にはもってこいだからな。
黄「修羅、今日の昼食はパパのお手製だぞ〜v」
蔵「黄泉!そんなモノを食わせて俺達をどうしようと言うんだ!?」
黄「ただ単にたまには父親の私が息子のためにおいしい料理でも作って喜ばせたいだけだ!!」
修「蔵馬ー、パパってお料理上手なの?」
蔵「一口で致死量です。」
黄「失礼な事を言うな。」
蔵「だって黄泉の『料理を振るう』は『暴力を振るう』って意味になるし・・・いや、それ以上か?」
黄「果てしなく失礼な奴だな・・・!私だってそこそこ料理は作れるんだぞ!それに、味はともかく安全度はお前の料理よりは
はるかに高いし食材は超一級品だぞ!」
蔵「せっかくの高級食材が一瞬で廃棄物に・・・」
黄「いいからリクエストを言え。何でも好きなものを作ってやるぞ。」
蔵「カップ麺でお願いします。」
黄「それは料理とは呼ばん。」
蔵「じゃあ黄泉の腕を信じてカップ焼きそばで。」
黄「どこを信じてカップ焼きそばなんだ・・・」
蔵「誰もが一度は経験した事があるであろう『湯切りの時うっかり麺も流しちゃったよ』な事にならないようにお願いします。」
黄「ほんの少しは人の腕を信用したらどうだ。」
修「ねぇパパー、ホントに何でもいいの?」
黄「ああ、いいともいいとも頼んでいいとも。何でも好きなものを食べさせてやろうv」
修「じゃあ僕○○デパートの地下のお総菜がいいvv」
どうしてかな・・・タマネギを切ったワケでもないのに目に涙が・・・うぅ・・・
▼月△日(金)天気:天使の寝顔悪魔の寝言・・・
何か書き綴れば書き綴る程胃が痛くなって来る気がするか・・・
とりあえずノルマは一週間だからな・・・
私は目が見えない分聴力はすこぶるいい。
普通の奴には聞こえない離れた部屋で寝ている者の寝言も普通の会話の如く耳に入ってくる。
今日は何やらあまり眠くならなくてな。
特にする事も無いので秋の夜長に虫の鳴き声を聞くが如く、耳を傾けてみる・・・
おっ・・・コレは修羅の寝言だな・・・ふっ、普段はあんなにも生意気だが、寝てる時は無邪気なものだ・・・
「んー・・・明日は・・・絶対・・・パパになんか・・・負けないんだからな・・・」
はっはっは・・・修羅め、夢の中でも私にまだまだ勝てない様だな。
まだまだ修行が足りんぞv
「もう少しでアガるトコだったのに・・・パパが・・・ぺー捨てて・・・くれないから・・・」
・・・麻雀?
息子よ・・・いつの間に麻雀に興味を・・・
・・・浦飯かな・・・?まぁいいとは言えないが・・・次は・・・
おっ・・・今度は凍矢の寝言が聞こえてきたな・・・
「五目半で・・・俺の・・・勝ちだ・・・」
・・・囲碁・・・?
む・・・こっちは死々若の・・・
「貴様・・・さっき待ったしてやっただろ・・・これ以上駄々を捏ねるなら・・・貴様の人生を詰みにするぞ・・・」
・・・将棋・・・?
げっ・・こっちからはあまり聞きたくもない酎の寝言か・・・
「だから言っただろうが・・・ここは2-7だってよ・・・コレじゃあハルウララじゃなくてヨミアララだぜったくよ・・・」
・・・競馬にまで興じているのか夢の中の私は・・・
その隣は・・・鈴駒か・・・
「はい・・・次黄泉の番ね・・・そーっとそーっと・・・あっ、崩れちゃったね・・・修羅との親子関係もこのジェンガみたいに
アンバランスに組み立てて崩れなきゃいいけどね・・・」
その間抜け面の寝顔にアンバランスなキスをしてやろうか。
くそ・・・何で私が負けてばかりなのだ・・・夢の中の事とは言え納得できん・・・
まさか、ゲームの弱そうな陣にまで負けてるのか・・・?
「へへ〜・・・ドンジャラでオラの勝ちだべ・・・」
・・・ドンジャラって・・・おい・・・
「ふん・・・貴様の手の中のババなどお見通しだ・・・邪眼の力をなめるなよ・・・」
なめるも何も完璧にズルだろ。
全く・・・誰か一人くらい可愛い寝言を言う奴はいないのか。
と言うか
何故お前等までここにいる。
「ん・・・」
ん・・・?この声は蔵馬の・・・ほぉ・・・あいつでも寝言なんて言うのか・・・
「黄泉・・・人の寝言・・・聞くなよ・・・スケベ・・・」
・・・もう寝よう・・・
余談だが今日の私の夢は雷禅と縁側で黒ヒゲ危機一髪だった・・・
一体何だと言うんだ・・・
♪月♯日(土)天気:雪が降るやもしれん・・・
何やら皆一回は日記に過去話を書いている様だ。
やはり・・・私も書かねばならんのだろうか・・・
そうだな・・・奴らが来た時の事でも語ろうか・・・
来るべき躯軍の戦いに向けての戦力補強を蔵馬に一任していたのだが、
今日はその六人と初顔合わせだ。
蔵馬の事だから、躯のトコの『ラッキーカラーは赤』と言われたら青い服を着る様なひねくれた奴とはワケが違うだろう。
蔵「と言うわけで、この六人を肉体的・精神的・味覚的に徹底的にトレーニングさせました。」
黄「ふむ。なかなか良さそうだな。どれ、軽く自己紹介してもらおうか。」
鈴木「私は美しい魔闘家鈴木、美しい魔闘家鈴木!死々若の相棒相方にして保護者的精神安定剤的存在だ!!」
黄「何が何だかよく分からんが、ワケの分からん奴と言う事だけは理解できた。じゃあ次。」
死「コンビ解散悪霊退散太田胃散。」
黄「・・・・・次。」
凍「凍矢だ。元魔界の忍びで呪氷使いだ。」
黄「ほぉ。呪氷使いとな。」
蔵「下らないオヤジギャグを飛ばそうものなら一瞬で氷付けになります。まぁ貴方のオヤジギャグは言っただけで絶対零度ですが。」
黄「・・・次。」
陣「オラ陣て言うだ。風使いだべ。オラも元魔忍だよ。」
黄「ほー、お前も忍びか。次、お前は?」
酎「酎だ。俺は酒は人の100倍は飲むからよろしくなv」
黄「何がよろしくだ何が・・・じゃあ最後は・・・」
鈴駒「オイラは鈴駒。悩みは一滴だって飲んでないのにコイツのせいで体に酒臭がしみついてとれない事かな。」
黄「若いのにそんな悩みを・・・まぁ確かに酒臭すぎるが。」
鈴木「時に。貴様はこの国の中の会話が聞こえるそうだが。」
黄「いかにも。」
鈴木「弱ったな死々若。どうする?私は聞かれてもたいして困らんのだが、お前のあえぎ声は・・・」
斬!!!!!
死「簡単な事だ。一生貴様口をきかなければすむ事だ。」
陣「一生口きかないって無理だべ。オラ静かにしろって言われると逆にしゃべりたくなるだ。」
凍「陣、お前は忍びのくせにおしゃべり過ぎるぞ。」
陣「だってオラ凍矢に話したい事いっぱいあるだよ。」
凍「一から十全て聞かなくてもお前の言いたい事は大体分かる。」
陣「それでも全部言いたいだよー。」
鈴木「そこっ!自分達ばかりのろけてずるいぞ!私も混ぜろ!」
陣「のろけ?」
死「人の事にまで口を出すな。」
鈴木「全く、どうしてお前と言う奴はのろけも色気も出さないのだ!」
死「のろける必要も色気を出す必要も皆無だからに決まってるだろ!!」
酎「だったら酒飲ませろ酒〜v飲んだら死々若も脱いでくれっかもしんねーぞ。あーはっはっは!!」
鈴木「それもそうだな!鈴駒、酒を持ってきてくれ!死々若が脱ぎたくなる様な奴を!!」
鈴駒「あるか!!そんな脱衣系アルコール!!」
陣「へ?飲まないと脱げないだか?オラ素面でも脱げるだよ?」
凍「脱いでどうしようと言うんだ。」
黄「・・・・・・」
蔵「どうです?これならM-1出場出来るんじゃないですか?」
黄「いつお笑いの覇者になると言った。」
・・・実際、躯軍と一騎打ちになっていたらどうなったんだろうな・・・
Δ月β日(日)天気:ふと考え込んでしまうそんな晴れた午後の一時
魔界トーナメントを終え、少しずつではあるが魔界も人間界も互いに歩み寄りを始めた。
正直、こんな風になるなんて少し前までは想像すら出来なかった。
この何百年と言う月日は何だったのだろうか。
浦飯幽助・・・あの男の出現で、あっという間に魔界が変わってしまった・・・
力こそまだまだ魔界で君臨出来る程ではないが、奴は人を変えてしまう何かを持っている。
私にも躯にも、ましてや雷禅でさえも持っていなかった何かを持っているのだろう。
私の息子も、そんな世界を動かす様な器になってくれればいいがな・・・
「何ぼーっと考えてるんだ?」
「ん?いや、将来修羅はどんな男に成長するかなと思ってな。」
「こういう感じの男にだけはなって欲しくないかなー。」
「お前の希望なんてどうでもいいんだがな。」
「まさか黄泉が父親になるなんてな・・・千年以上生きても世の中って分からないものだな。」
「私だってお前が孝行者の息子になるなんて想像出来なかったぞ。まぁ、ウチの息子の可愛さには勝てないがな。」
「今は『パパー』なんて呼んでくれてるけどそうのうち『オヤジ』って呼ぶ日が来るぞ?それとも一緒にお風呂入って
くれなくなるのが先かな。」
「・・・・・寂しいな・・・」
「背なんかぐんぐん黄泉を追い越してさ・・・」
「・・・お前の親も大変だったろうな・・・こんな小生意気な息子じゃ。」
「失敬だな。俺は親不孝な真似はしなかったよ。」
「どうだろうな・・・」
この限りなく広大な魔界をどうやって支配するかは考えられたのに、
息子一人の将来がこんなにも想像出来ないものだったとはな・・・
どんな男になるか、父親の私にも分からない。
だが将来は雷禅も躯も、そして私をも越えていって欲しいものだ・・・
とは言っても、まだまだ甘えてもらいたいものだがな。
久々の日記シリーズで、今回は黄泉様でした!
年末年始の限定小説は黄泉様大活躍でございましたね。
三竦みの好きな順番は躯様→雷禅→黄泉様ですが、黄泉様は書くのが楽しいな♪
不思議と冨樫先生作品のキャラって敵でも嫌いなキャラって出ないのです・・・
主役級にはもちろん、悪役にも魅力満載でたまらんです。
今の私の願いはハンターと闇末の再開です・・・(願)