飛影の『百足漂流記』 前編



☆月★日(月)天気:ハリセンボン時々オニオコゼ所によりピラニア

桑原が高校とか言う物に受かったらしい。

蔵馬をはじめあの能力者の海藤とか言うヤツと柳沢とか言うヤツも通ってる場所だと言っていたな。

共通点を探すと全員特殊な髪型をしているヤツと言う事だが、そういう意味ならば桑原が合格するのも納得がいく。



そんな基準なら貴方も合格できますよ。特待生で。by蔵馬



遅くなったがその合格祝いをやるから来いと無理矢理強制的に強引に力ずくで呼び出された。


蔵「こんにちはー。」

桑「おーおー、よく来てくれたな。何だ、飛影までお祝いに来てくれたのかよ?こりゃあ今日はマンボーが降るな。」

飛「無理矢理連れてこられただけだ。世界がもうすぐ終わるから来いってな。」

「俺が高校受かった位で世界が滅びてたまるかよ!!」

幽「んー・・・ノストラダムスも予言不可能な事をやってのけたからな・・・滅びても不思議はねぇな・・・」

蔵「二人とも失礼ですよ。俺が徹底的に家庭教師したんですから受かって貰わないと。」

幽・飛((試験官に薬盛ったんじゃ・・・))

蔵「んー?二人とも何ですか?二人も勉強教えて欲しいんですか?」

幽「いや・・・」

飛「俺には必要ない・・・」

蔵「さっそくじゃあ記念に写真撮りましょうか。桑原君合格通知持って。飛影はそっち、幽助はこっちで。」

飛「俺はいい。」

蔵「大丈夫ですよ、魂抜かれたりしませんから。」

飛「桑原と写ったらそれだけ心霊写真になるだろ。」

桑「てめーだってぼーっとつっ立ってりゃ背後霊みたいなモンだろ!」

蔵「はいはい、五十歩百歩ですから並んで並んで。」

飛「俺はいいと言っている。」

蔵「分かりました。じゃあ飛影はシャッター押してください。ここですよ。ここ。」

飛「ちっ・・・」

桑「ちゃんと格好良く撮れよ。後で雪菜さんにも見せるんだからな。」

幽「ハリウッドクラスの合成技術でなきゃ無理な事言うなって。」

飛「いいからさっさとしろ。行くぞ・・・・・・・む、目を瞑ってしまった。撮り直す。」

幽「あん?誰か目瞑ってたか?」

飛「いや俺が。」

蔵「あなたは瞑ってもいいんですよ・・・ピントが合ってれば・・・」




蔵「こんなもんですね。飛影、なかなか上手じゃないですか。」

桑「俺写真写りあんま良くないんだよな。俺がちゃんと男前に写ってるといいんだけどな。」

幽「お前が男前に写ってたらそれ背後霊だろ。じゃあ飛影わりぃけどこれ焼き増しして来てくんね?」

飛「焼き増し?」

蔵「俺達仕事やら何やらあるのでお願いしますね。」

飛「ちっ・・・・面倒な事ばかり押しつけやがって・・・」





焼き増し・・・?焼いたら増えるのか・・・?不思議なものだな・・・

まぁ、水をかけたら大きくなるタオルもあるし、水に戻せば乾燥ワカメもあんなに大きくなるしな・・・





飛「幽助。」

幽「おっ?出来たか焼き増し。」

飛「焼いたら消えたぞ?炭と灰になった。」

幽「あん?」

飛「こっちが煉獄焦で焼いた奴、こっちが炎殺剣で焼いた奴。増えなかったぞ?」

幽「・・・・・・増えるワケないだろ・・・焼いたら・・・」

飛「?」






焼いたら消えるに決まっている。だったら何故俺に頼んだんだ。

同じ写真が欲しいのなら同じのを何枚撮ればいいものを。






Δ月θ日(火)天気:いい日旅立ち

ちっ・・・大事な用があるからと幽助達に呼ばれて行ったら

札遊びに強制参加させられた。

ふん・・・何でこの俺がそんな子供じみた事をせねばならんのだ・・・

蔵「んーと・・・じゃあコレにします。あっ、上がりです♪」

飛「ちっ・・・さっさと引け。」

幽「オメェが引くんだよオメェが。」

飛「いちいちごちゃごちゃと五月蠅い奴だ・・・フン・・・コレに決まっている。ぐっ・・・ババ・・・」

幽「あっがり〜と!じゃあ飛影罰ゲームな♪」

飛「ちっ・・・何故俺がそんな事をせねばならんのだ・・・」

桑「お前が負けたからだろうが。」

飛「貴様が遅出しをしたからだ。」

桑「ババ抜きに早いも遅いも今井さんもあるかっ!!」

蔵「今井さんは分かりませんが、飛影、負けは負けですからね。」

飛「ちっ・・・」

幽「そんじゃー飛影ちゃんにお昼ご飯おごってもらいましょうね〜。」

桑「飛影ちゃんおつかいできるっかな〜?」

飛「気色悪い顔で気色悪いしゃべり方をするな。」

桑「んだとぉ〜!?相変わらずオメェの台詞はその髪の毛よりとげとげしいな!あーん!?」

蔵「まぁまぁ、パックに入ったシラス干しが何匹いるか数えられそうな位暇してるんだから買ってきて下さいよ。

はい、コレお金と、今朝のチラシにクーポン入ってたのでマックで買ってきて下さいねv」

飛「ちっ・・・」







蔵「遅いですね、飛影。もう一時間位経つのに・・・」

桑「ちっさすぎてカウンターの店員に気付いてもらえてねーじゃんね?」

幽「そんでもってその店員に斬りかかってたりしてな♪」

蔵「ちょっと、二人とも失礼ですよ。飛影はむやみやたらに刀を振り回したりしませんよ。

とりあえず最初は脅すだけですから。」

幽・桑((お前もハチャメチャ失礼だろ・・・))

蔵「にしても、遅いですねー、飛影・・・」






◎月○日(水)天気:憧れの偉大なる航路

蔵「・・・いくら何でも遅すぎますよ・・・もうあれから三日ですよ?」

桑「三日間律儀にあいつの帰り待ってる俺等も俺等な気がすんだけどな。魔界に帰ったんじゃねーか?」

幽「いや、飛影は頭はツンツンしてるが意外とアレでくそ真面目なトコあるからなー。」

蔵「いくら飛影が道に迷ったって一週間も掛かりませんよね・・・邪眼もあるし・・・もしかして・・・」

幽「飛影に身に何かあったってのか?」

蔵「どっちかって言うと飛影の方が何かしでかしそうですが・・・」

幽「確かにその可能性は牛丼特盛りサイズだけどよ、兆が一って事もあるかもしんねーしな。」

蔵「吹雪の中裸で寝ててもくしゃみ一つしないくせに、

冬に夏バテしてもおかしくない程のズレっぷりの持ち主ですからね・・・飛影は。」

幽「ズレ方が人並みじゃねぇからなあいつ。『出血大サービス』って言ったら絶対血をサービスする事だと思うべ?

そんで『目玉商品』って見たら目玉が商品だと思うんだぜ?」

桑「まぁ、マグロの目は体にいいって言うしな。つーかあいつが人並みのモンって何だ?」

蔵「そう言えば、少し前にも仕事のデータをCDに保存しようとしたんですけど容量がいっぱいで

買いに行く暇も無かったんで飛影に買ってきてって頼んだんですよ。」

桑「ああ、それでCD-RとCD-RWを間違えて買ってきたとか?」

蔵「それならまだ良かったんですが、思いっきり間違えてどこかの銀行のCD(キャッシュディスペンサー)持って来ちゃった

んですよね・・・」

桑「それ強盗じゃねぇか・・・」

幽「でも飛影一応盗賊だぜ?」

蔵「たまにいるじゃないですか。酔っ払ってバス停持って帰っちゃったりカーネルおじさんの人形持って帰っちゃったりする人」。

幽「俺はまだお目に掛かった事ねーな。お袋がどっかから等身大サイズの木彫りの熊持って帰ってきた事ならあるけど。」

桑「俺の姉貴と浦飯の母親は絶対素手でヒグマに勝つな。」

蔵「あははは。もうリアルですよ桑原君。」

ガチャ

静「失礼な弟ね。ゴジラだってあんたの顔見たらマッハで逃げるわよ。やっほー。幽助君、蔵馬君いらっしゃーい。」

幽「お邪魔してまーす。」

蔵「すみません、何日も滞在しちゃって。」

静「いいわよいいわよ。あっ、今飛影君から電話来てるよ。」

蔵「えっ?あっ、飛影?三日間も何してたんですか?今どこに・・・えっ?インド洋?何で・・・は、はぁ・・・」

幽・桑「インド洋!?」

蔵「飛影、オーストラリア領のマクドナルド諸島に向かってるみたいです・・・」

幽・桑「はぁっ!?」

蔵「あの島無人島なんだけど・・・」






ちっ・・・あいつら・・・人に物を頼んでおきながら地図も寄越さんとは・・・

何が早くて手軽に食えるだ・・・

こんな所まで来ないと買えないもののどこがファーストフードだ・・・





△月▼日(木)天気:木の上で昼寝日和

暇だから邪眼であいつ等のくだらない会話を傍受していた。

人の事毎度散々からかいやがって・・・



蔵「昔、ウォークマンの電池切れたんで飛影に『単三』買ってきてって頼んだらよーく冷えたファンタを買ってきてくれましたね・・・」

幽「単三と炭酸を間違えたか・・・」

蔵「しかも思いっきり振った様で・・・開けたら・・・びしゃーっ!!って・・・」

桑「何でまた振ったかな・・・」

蔵「丁度その前日にテレビで野球の優勝チームの祝勝会を見たらしくて・・・飲み物はとりあえず振るんだと・・・」

幽「文化の違いってこえーな。」

蔵「飛影のおつかいって『はじめてのおつかい』に匹敵しますよね。」

桑「すでに出演依頼来てんじゃねぇの?」



あいつら・・・人がいないと思ってベラベラと・・・!!

だいたい俺は魔界の住人なんだぞ・・・人間界の事なんてろくに知ってるワケ無いだろ・・・

躯「にしても限度ってものがあるんじゃないのか?」

飛「うるさい・・・!」







後半へ