もしもシリーズvol.3 もしも六人衆が家庭を築いていたら・・・朝の部




父親:鈴木 母親:死々若 長男:陣 次男:凍矢 三男:鈴駒 祖父:酎




チュンチュン・・・



鈴木「う〜む、やはり朝はモーニングコーヒーに限る・・・のに何だこのブレックファーストは!?」

死「何って白飯とみそ汁とあじの開きと納豆と漬け物のごく一般的な日本の朝の食卓だろうが。それぐらい見て分かれ馬鹿。」

鈴木「朝からこんな粘っこいもの食えるか!!」

死「俺はお前以上に粘っこいものを知らないが文句があるなら死ね。」

鈴駒「ダイレクトだよ母ちゃん・・・」

凍「俺の作った朝食にケチを付けるのか?」

陣「うまいだよ?おはよう納豆。朝はやっぱこれだべ。」

鈴木「私の朝はクロワッサンと半熟目玉焼きとコーヒーと英字新聞と決まっているのだ!!」

死「俺の朝は和食でお前のいない食卓と決めている。これ我が理想の朝食なり。」

陣「母ちゃん、朝からケンカしちゃダメだべ〜。」

凍「心配するな。母さん親父には百戦百勝だから。(みそ汁ずー・・・)」

鈴駒「負けるワケがないもんね。(たくあんポリポリ)」

酎「うちの息子もいい嫁をもらったもんだ。(新聞ガサガサ)」

死「お義父さん、ご飯食べながら新聞読まないで下さい。」

鈴木「そもそも私は小粒よりひきわり派なのだ!なのにこれは小粒ではないか!!

貴様と言う者は愛しい夫の好みさえ分からんのか!!」

死「愛しくないからな。(みそ汁ずー・・・)」

陣「そういえば何で父ちゃんと母ちゃん結婚しただ?」

鈴駒「政略結婚以上に無情な結婚だよね。」

死「・・・・・・誰だって人生の中で一度くらい過ちと言う物があるもんだ・・・」

凍「過ちだったのか・・・」

死「第一俺は印鑑押した覚えもなければ婚姻届けを書いた記憶も無い。」

鈴木「死々若何を言っている!!結婚に必要なのは書類や印鑑ではない!!

二人の煮えたぎるがあれば結婚出来るのだ!!!」

死「なら結婚出来ないじゃないか。俺達。本当にそういう婚姻制度だったら良かったのに。」

酎「若さんよ〜、頼むからうちの息子見捨てないでやってけろ〜・・・うぅ・・・」

死「お義父さん朝から飲まないで下さい。」

陣「じいちゃん泣くなだべ〜。」

鈴木「つい死々若への愛を燃やしてしまったが本題に戻らねば。何故夫のためにひきわり納豆を買って来ないのだ!!」

鈴駒「愛してんなら喜んで小粒食べなよ!!」

凍「全くだ。」

死「お前の発言は全国の小粒派の人間を不快にした。貴様の死をもって詫びを入れてもらおう。(しゃきーん←刀スタンバイ)」

鈴木「だいたいお前はいつもそうだ!!私が絹ごし豆腐が好きなのに木綿豆腐買ってくるし、

いくらがいいって言えば筋子買ってくるし子供はJリーグチームを構成出来るくらい作ろうって言ったのに

三人で停滞してるし!!」

死「俺を殺す気か!?」

鈴駒「てゆーかJリーグ作ってどうすんのさ!?」

鈴木「無論一部J1を目指す!!そしてゆくゆくは私が監督となりチーム全員でNYヤンキースを目指す!!」

鈴駒「競技ごっちゃすぎてるよ!!」

凍「だからってレアルマドリードを目指すとか言われても困るがな・・・」

酎「俺は一人くらい女の子が欲しかったな。かわいい孫にお酌してもらいてぇよ。」

陣「オラも兄ちゃん欲しいだな。」

凍「あまり無理を言うな。俺は母さんがこの男と結婚した事はキュリー夫人がラジウムを発見をした事より

偉大だと思っている。」

陣「それってスゴイだか?」

凍「お前が東大に入る様なものだ。」

陣「じゃあ無理だべ♪不可能だ。」

死「天地が反復横飛びしたって無理だ。」

鈴駒(てゆーかオイラ達どうやって生まれたんだろ・・・母ちゃんも男なのに・・・)

鈴木「とにかく私はひきわりでなければダメだ!!」

死「だったら食べなければいいだろうが!!」

酎「おいおいあんまりヒートupすんなって。豆が大きいか小さいかだけの話じゃねぇか。」

鈴木「甘い!!その大小にこそ納豆の全てが詰まっているのだ!!」

鈴駒「いいじゃないそれくらい。陣なんか大豆(だいず)と小豆(あずき)の違いも分かってないんだから。」

凍「この間納豆と間違えてご飯にかけてたな・・・」

陣「珍しい紫の納豆だと思ったべ。」

凍「お前の感覚の方が珍しいぞ・・・」

酎「あーもー、お前らが大だの小だの言うから(←一番最初に言ったヤツ)便所行きたくなったじゃねぇか。ちょっくら・・・」

鈴駒「ちょっとタンマ!じいちゃんが先に行ったら後続部隊続けないじゃんよ!!」

酎「ダメだ!牛乳と納豆の相乗効果パワーが俺の腹ん中で革命起こしてやがる!!」

鈴木「待て!トイレが生命体生息不可地帯になる前に私が・・・」

鈴駒「オイラ5分で終わるから!!」

酎「ああダメだ!!もう俺の肛門が便器とこんにちわしたがってる!!」

死「誰でもいいからさっさと黙って行けー!!」

凍「母さん大変だな・・・毎日毎日・・・と言うか毎秒毎秒・・・」

陣「母ちゃんがんばるだ!!」

死「頼むからお前達だけは良い子でいてくれ・・・俺の生き甲斐はもう子供だけだ・・・」

鈴駒「みんなしばらくトイレ近づけないから・・・」

凍「今朝はすばしっこさで鈴駒が勝ったか・・・」

陣「昨日は父ちゃんが何かの薬ぶちまいて勝ち取ったべ。あっ、母ちゃんゴハンおかわりっ。」

死「陣、もうコレで5杯目だぞ・・・ラーメンどんぶりで・・・」







凍「と言うワケで今日は土曜日で天気もいいので一家総出で掃除&洗濯をしたいと思う。」

鈴駒「今日土曜日だったんだ。」

陣「オラ達毎日が日曜だべ。」

鈴木「こういうのは妻の役目ではないのか?食事の支度も凍矢がやってるし。」

死「今時そういう考え方は古いぞ。それに俺が作ってもいいが俺が作るとお前に一服盛りたくなるからな。」

凍「盛りたくなると言うか盛っていたから俺が作る様になったんだが・・・」

酎「んで何をすりゃいいんだ?」

死「それを今悩んでいるのだ。洗濯をするにしても鈴木とお義父さんの危ないパンツを

子供達に触らせたくないし俺も触りたくもないし見るのも嫌なのだが、

だからといって鈴木に触らせるのはもっと物騒だ。」

酎「俺達のパンツは危険物扱いかよ・・・」

死「お義父さんはパンツだけが危険だが、鈴木はセットで危険だ。」

鈴木「何を言う!!私がはいた下着はフローラルな香りを漂わせるんだぞ!!」

凍「耳鼻科行け耳鼻科!!」

死「と言うワケでお義父さん洗濯お願いします。陣はろうかの雑巾がけ、鈴駒は庭の草むしり、

凍矢は台所の整理、鈴木はトイレと風呂掃除を。俺はお前の監視をしながら部屋の掃除をする。

鈴木、風呂場に盗撮カメラを仕掛けようなんて思うなよ?」

鈴木「失敬な!!私はそんな刑事訴訟になる事はしない!!」

鈴駒「へぇ、一応少しだけまともな精神あったんだ。」

鈴木「私なら脱衣所に仕掛ける!!」

鈴駒「ダメじゃん!!このダメ親父の模範!!」

凍「そのうち捕まるぞ・・・この男・・・」

死「そんな夫に捧げる一冊太宰治『人間失格』・・・」

凍「と言うより鈴木失格だな・・・」

陣「ほんじゃあ掃除するべ♪」





酎「フンフーフ〜ン♪うーし、今日はマジでいい天気だな〜。このお天道様を浴びたら

いくらラフレシアをも凌駕(りょうが)する匂いの俺のくつ下だって・・・(匂いクンクン)・・・

やっぱくせーな・・・どんな足してんだ俺・・・」





鈴駒「はぁ〜、むしってもむしっても草は伸びるねぃ〜。まるでじいちゃんのすね毛だねこりゃ。

臭くないだけいいけどさ。(草ぶちぶち)」





陣「ヨーイ・・・ドン!!とおっ!!(ろうかの雑巾がけ)・・・・・・うぉっ!?

ドッカーン(壁に正面激突)」

凍「陣!!壁は大丈夫か!?」

陣「角が刺さっただー!!抜けねぇだよ〜!!」

死「前を見てないからそうなるんだ・・・何とかして引っこ抜くぞ。」

凍「せー・・・の!!」

陣「うぎぎぎぎぎぎ・・・(スッポーン)」

凍「良し、抜けたな。」

陣「ふぅ、角も取れるかと思ったべ。」

死「見事に角型に穴が空いたな・・・鈴木でも突っ込んで塞ぐか。とりあえず。」

凍「素直に左官屋を呼んだ方が・・・」

死「陣、次はスピード落としてやれ。」

陣「ほーい!!」←三分後に再び衝突





凍「そろそろ油が切れそうだな。しょう油も買っておくか・・・その前に換気扇周りの油汚れも気になるな・・・」

鈴木「油汚れにジョイ!!」

凍「ああ、別にびっくりしない。」

鈴木「油汚れが気になるそんなあなたにこのどんな汚れでもきれいさっぱり落ちる鈴木特製洗剤を提供しよう!!」

凍「そんな認可の下りない物なんぞ使えるか。」

死「鈴木、トイレと風呂掃除が終わったんなら換気扇とコンロ周りを掃除しろ。」

鈴木「何を言う!!この美しい私がお前の頼みと言う事でこの私にふさわしくないトイレを掃除してやったのだぞ!!

その愛する夫にまだやらせようと言うのか!?」

死「トイレにふさわしい奴なんかいるか。俺を愛してるなら黙ってやれ。」

鈴木「はい・・・」

凍「情けないぞ父親・・・」





凍「何とか一段落着いたな。」

陣「結局オラ5回ぶつかっただべ。」

鈴駒「オイラてっきりダンプカーでも乗り込んできたかと思ったよ ・・・(どーすんだろこの壁・・・)」

死「よし、午後は買い物だ。いろいろと買う物もあるしな。」

鈴木「死々若、お前ほとんど掃除してないだろ・・・?」

死「貴様を監視監督操縦するので手一杯だ。」

酎「息子よ・・・しっかりだらしない男になったもんだ・・・」

凍「情けなさ過ぎるぞ・・・」





と言うわけでお買い物



凍「いろいろ調味料も切れてきたからそれも買わないとな。」

陣「なぁなぁ、お菓子買っていいだか?」

死「それは後だ。順序に従って買って行くぞ。」

鈴駒「今日の晩ご飯どーすんの?」

凍「そうだな・・・何がいい?」

陣「うーんと、とんかつとハンバーグと唐揚げと春巻きと餃子と・・・」

凍「・・・今日のって言っただろ・・・」

陣「ほえ?これ今日のリクエストだよ?」

鈴駒「陣の場合満願全席でも足りないもんね。」

鈴木「たまには鍋なんかどうだ?家族仲良しこよしに鍋をつつき合おうではないか!」

死「お前と同じ鍋と言うだけで闇鍋みたいなものだから嫌だ。」

陣「いいだな〜。オラも鍋食いたいだ!!」

凍「・・・鍋そのものは食うなよ?」

鈴駒「陣なら『この土鍋のフタ最高ーvv』とか言って食べそうだよね。」

凍「じゃあ鍋と言うことで。と言っても何鍋だ?」

鈴木「死々若の女体鍋vv」

鈴駒「自分の母親食えっつの!?」

死「その前に俺を煮るな!!」

陣「母ちゃんってうまいだか?」

「食う気か!?」

酎「俺ぁしゃぶしゃぶがいいな〜。日本酒付けてよ♪」

陣「しゃぶしゃぶ〜vv」

死「俺はコイツを熱湯にさらしたいがな。」

鈴木「そんな、火照った(ほてった)私を食べたいなんてvvお前にならいくらでも食べさせてやるのにvv」

死「いらんわそんなもん。」

鈴木「全く、どうしてお前は私の愛を素直に受け取らないのだ!こんなに私が一方通行で愛情をほとばしらせているのに!」

死「それは俺の前に『鈴木通行止め』の看板があるからだろ。」

鈴駒「どっちかって言うと『道路閉鎖』って感じだよね。」

凍「通行再開のめどは立ちそうもないな。」

死「最初からないだろうが。」

陣「じゃあしゃぶしゃぶの材料買うだ♪」

鈴木「ならばこの私にふさわしい高級霜降り牛肉を買わなければな!!」

死「そんなもったいない事出来るか。お前は灰汁(あく)でも食ってろ。」

凍「じゃあ肉と春菊と白菜と・・・」

鈴駒「タレもなきゃね♪オイラゴマだれ〜。」

死「鈴木は馬鹿たれ。」

鈴木「・・・・・お前はどうしてそう口が悪いんだ?」

死「生まれつきでな。」

陣「なぁ、肉コレで足りるだべか?」

酎「もう一パックいっとくか?」

陣「いや、ここはやっぱ牛一匹だべ!」

鈴木「陣、牛は一頭二頭数えるのだぞ?」

鈴駒「いや、そこ突っ込みどこじゃないないから!!」

酎「そうだぞ、牛はスーパーでは売らねーんだぞ?買うなら牧場行かないとな。」

鈴駒「買う気すかっ!?」

凍「無理を言うな。」

陣「オラ牛一匹食える自信あるだよ?」」

凍「買うのが無理だという意味だ・・・」

鈴駒「あれ?父ちゃんどこ行った?」

陣「ありゃ?そういやいねーべ。」

死「知らん。あいつの行き先なんて出しすぎた歯磨き粉をどうしたらいいかぐらいどうでもいい。」

凍「俺達は歯磨き粉以下の男の申し子か・・・」

酎「どーせ化粧品コーナーだろ?」

鈴木「死々若ー、どっちの化粧水が私の美肌に合うと思う?うるおい保湿かしっとりさらさらか・・・」

死「知りたくもない。」

凍「そんな無駄な物ばっかり買ってるから我が家の経済は赤字パラダイスなんだぞ。」

酎「パラダイスって・・・」

死「別にそんなもん付けなくとも変わりはないだろ。」

鈴木「何を言う!!こういうのを付けるのと付けないのではミドリ亀とガラパゴスゾウガメくらい違うのだぞ!!」

死「お前の説得力なぞ磯野波平が育毛剤のCMやるくらいに説得力が無いわ!!」

鈴駒「ちょっと、こんなトコで夫婦ケンカしないでよ〜。」

凍「ケンカと言うか一方的な攻撃だがな。」

陣「あっ、お菓子買わなきゃな。」

酎「相変わらず変なトコで冷静だな。」

死「こんな馬鹿リサイクルボックスに突っ込んでさっさと買い物すますぞ。」

凍「それは環境破壊になってしまうぞ。」





死「はぁ、何故買い物だけでこんなに疲れるんだ・・・」

凍「夕飯まで時間があるな。陣、鈴駒、少し勉強す・・・」

鈴木「いなくなってしまったな。」

凍「勉強したらエサやるぞー。」

酎「エサかよ。」

陣「エサっ!?欲しいだべ!!」

凍「ちゃんと勉強したらな。鈴駒もな。」

鈴駒「ちぇー・・・」

死「たまにはおとなしく鈴木みたいにならないように勉強しろ。」

鈴木「何を言う!!この頭脳明晰な脳味噌をつかまえて!!」

死「その脳ミソに詰まってんのは煩悩(ぼんのう)と欲望のかたまりだろうが!!」

鈴木「バレたか!!」

酎「いばんなよ!!」





凍「・・・だからここで2が繰り上がって・・・」

鈴駒「ああ、なるほど。んー・・・あっ、解けた解けた。」

凍「陣、そっちはどうだ?」

陣「うー、ムズカしい漢字だべ〜・・・」

凍「どれだ?」

陣「んーと、コレ『儚い』って字。」

凍「ヒントはうちの母さんの父さんに対する愛情だ。」

鈴駒「それじゃあ『存在しない』って読むんじゃあ・・・」

凍「ヒントの出し方を間違えたな・・・」

陣「むー・・・お手上げだべ〜。」

凍「これは『はかない』だ。人の夢と書いて儚いと読むんだ。」

陣「ふーん・・・オラだったら人の夢って書いて『あきらめない』って読むけどな。」

凍「・・・・・そうだったらいいな・・・」





夜の部に続く