『狼と七匹の(かわいくない)子ヤギたち』 前編

蔵「ハイ、と言うわけで第二幕を上演したいと思います。」

飛「だから何でそういきなりなんだお前は・・・」

鈴駒「隣の晩ご飯だってもう少し前振りあるよね。」

蔵「ぶつくさ言わないでください。修羅を喜ばすためです。」

黄「修羅ー!パパの活躍ちゃんと見てたかーい!?」

修「うん!パパがこんがり焼ける所ばっちり見たよー。」

躯「単に黄泉を痛ぶりたいだけなんじゃないのか?(熱烈賛成だけど)」

飛「全くだ。(心の中で激しく同意)」

陣「んーと、次何やるんだっけ?」

蔵「陣は忘れっぽいんだから。次は『狼と七匹の子ヤギ』改め『狼と七匹の(かわいくない)子ヤギたち』をやるんです。」

幽「蔵馬ー、今度は俺の出番あるのか?」

蔵「ええ、もちろん。何せ今回は役が多くて。」

鈴木「私の役は美しいか?」

蔵「子供のいたいけな童話にルネサンスを追い求めないでください。」

飛「さんざんねつ造した話のどこにいたいけがあると言うんだ?」

蔵「だからねつ造じゃなくてアレンジですよ。それにしても飛影よく『ねつ造』って言う言葉知ってましたね。」

躯「なぁ、奴は昔からこうだったのか?」

黄「何千年生きようとそう簡単に人は変わらないと言うコトだな。」

陣「なぁなぁ、配役はー?」

蔵「あ、はいはいコレです。どうぞ。」

狼:黄泉

子ヤギのお母さん:躯

子ヤギ

長男:酎

次男:陣

三男:鈴木

四男:死々若丸

五男:幽助

六男:凍矢

末っ子:飛影

薬屋&パン屋:鈴木



修「わ〜いvv第二幕ー!」

黄「また悪役か・・・」

鈴駒「まさに適材適所じゃない。」


蔵『それでは『狼と七匹の(かわいくない)子ヤギたち』を上演致します。』


修「パパがんばって〜!」

躯「任せろ。しっかり殺ってやる。」

飛「当然だ。」


蔵『昔々、あるところにヤギの親子が住んでいました。この少子高齢化社会にしては珍しく7匹も子供がいました。』


躯「・・・・・」

陣「母ちゃんどうしただ?いきなりセリフ忘れただか?」

凍「陣じゃあるまいし・・・」

躯「いや、いくら劇の中の話だからって、"こんな子供産まねぇよ!!ってかおまえ何回成人式行ったよ"的子供が

一人混じっているのがどーもな・・・」

酎「何だ?俺のことかよおふくろ。」

凍「確かに子供というより父親という感じだな。」

飛「こんな飲んだくれ親父はパスだがな。」

鈴木「まぁいいではないか。年齢や見た目など関係ない。世の中にこんな老けた顔の子供が一人くらいいてもいいではないか!」

死「お前みたいな変態はいない方がいい。」

陣「そういや父ちゃんどこ行っただ?」

死「蔵馬の『なんちゃって台本』によると母君との壮絶的な夫婦げんか(母親の一方的攻撃)の後に実家に逃げ帰ったらしい。」

幽「つえーな躯・・・」

飛「おい・・・」

幽「何だ?末っ子の飛影。」

飛「この兄弟の順番はどうやって決めた・・・」

蔵「いえ、何となく。インスピレーションで。」

飛「・・・なら六男に変更しろ。」

凍「七と六なんて大差ないだろ?」

飛「これ絶対背の順で決めただろ・・・」

蔵「いや〜、だから何となくですってば。それに酎が末っ子の方が不気味でしょう?」

酎「不気味って・・・」

躯「それじゃあオレは昼寝・・・買い物に行ってくる。オレが出掛けてる間に狼や変なセールスや

変な宗教や新聞勧誘が来るかもしれないが決してドアを開けるんじゃないぞ?」

凍「母さん妙にリアルだぞ・・・」

躯「新聞勧誘の場合は洗剤だけもらっとけ。」

幽「せこいって・・・」

死「すでに身内に危ない薬屋がいるがな。」

飛「来る者全て切り刻めばいいだろう。」

躯「黄泉だけにしとけ。」

凍「狼じゃないのか?」

躯「まぁ狼は手足黒いし声もガラガラだからすぐ分かるだろう。」

凍「ああ。」

陣「母ちゃんおみやげな〜。」

酎「俺酒〜♪」

鈴木「マミィ、私には化粧品をお願いしよう。資○堂のな。」

死「俺キン○ョール。強力なやつを頼む。」

凍「露骨だぞ死々若。」

幽「俺ポマード〜。」

飛「もんじゃ焼き買ってこい母親。」

躯「もんじゃ焼きってみやげに買ってくるようなものか?まぁいい、行って来る。黄泉・・・じゃなかった、

狼にはくれぐれも気を付けるんだぞ。」

一同「「「「「「「は〜い。」」」」」」」

躯「どーでもいいが呼び方統一しろ・・・」



蔵『こうしてお母さんヤギは子供達を残し、一抹の不安も抱かず街に買い物に行きました。』



鈴駒「にしてもやたら濃ゆい家族だよね。」

修「にぎやかそうではあるけどね。」



蔵『残された七匹の子ヤギたちは思い思いに遊んでいました。長男は酒に浸り、

次男は六男に絵本を読んでもらい、三男は母親すら全く使用しない鏡台の鏡を見つめ続け、

四男は愛刀の手入れをし、五男はPS2の格闘ゲームに夢中になり、末っ子はすやすやひたすら眠っていました。』



鈴駒「なんか劇の中と言うよりめっちゃ日常風景に見えるんですけど・・・」

蔵「そうですか?」

黄「とても母親の帰りを待ちわびる子供達の姿には見えんな。ちっとも微笑ましくない。」



陣「母ちゃん早く帰ってこないだかな〜。」

酎「何でも良いがお前絵本読んでやる立場なのに読んでもらってんじゃねぇよ。」

陣「だってこれ【源氏物語】って言ってちょっと難しいだよ。」

死「というかそれ絵本じゃないだろ!陣にはまだ早い!!」

鈴木「私は光源氏〜♪死々若は藤壺〜♪凍矢は紫の上〜♪」

死「変な歌作詞作曲編曲プロデュースするな!」

酎「バックコーラスもあるよ〜♪」

死「つけるな!」

凍「じゃあ三年寝太郎にするか。」

酎「極端だな、おい。」

幽「てかそこにいるし。三年寝太郎。」

死「三年で済めばいいけどな・・・」

幽「飛影はいつでもどこでも何があってもよく寝る奴だからな。」



蔵『さーて、子供達だけになってしまった彼らを狙う姑息で陰険で小賢しくて大人げない狼が

電柱の影からヨダレを垂らしながら様子をうかがっていました。』

黄「おい・・・その言い方は酷すぎないか?」

蔵「え?そうですか?だってここは狼の悪役さを強調しないと。」

黄「これではただのストーカーではないか・・・」

躯「お前の姿そのもじゃないか。」

黄「やかましい!貴様はさっさと買い物に行け!!」



蔵『こうして狼はお母さんヤギが出掛けたのを見計らって子ヤギたちのいる家に向かいました。』



黄「ふっふっふ・・・今日はたらふく子ヤギが食える・・・ん?なんだこの看板は?」

・変態狼断固お断り

・洗剤くれない新聞勧誘熱烈拒否

・変な宗教回れ右

・ヤクルトならもらいます(うちは8人家族)

黄「よくもまぁ主婦くさいことを・・・洗剤とヤクルトだけもらおうなんて何てせこい一家だ。

さりげなく人数アピールして・・・それにしてもこの地域には変態狼が出るのかー。」

蔵『(ていうかあなたですよ。)そして狼は子ヤギたちがいる家の前まで来ました。

少々発声練習などをして扉に手を掛けました。』



黄「あー、お母さんよ、帰ってきたからドアを開けておくれ。」

陣「むー、お前は母ちゃんじゃない!!」

幽「うちのおふくろはそんな女言葉つかわねぇし。」

凍「うちの母さんの声はそんなしわがれた声ではなくて高山みなみ氏の様な凛とした声だ。」

死「3秒以内に去れ。でないとすっぴんの鈴木を見せるぞ。」

鈴木「なるほど私の素顔で悩殺と言うワケか!」

死「いや、吐き気を催させて追い返す。」

飛「どーでもいいが俺の安らかな眠りを妨げるな。」

黄「くっ・・・奴に似てなんてかわいげのない子供たちめ・・・」



鈴駒「だからタイトルに(かわいくない)ってあるんじゃない。」

躯「ふん。ウチの息子達は一筋縄ではいかんぞ?」

黄「だから貴様買い物はどうした!?」



蔵『子ヤギたちに簡単に見破られてしまった狼は街の薬屋に駆け込みました。』



黄「おい、しわがれた声を治す薬を売ってくれ。」

鈴木「ふっふっふ。お安いご用だ!この薬を飲めばあっ!と言う間に宝塚歌劇団男役トップスターの声になるぞ!」

黄「おお!なんだかよく分からないがその薬を頂こう!」

鈴木「ただし顔まではトップスターにはならんからな。」

黄「お前の薬に美容効果がないのは証明済みだ。」

鈴木「・・・・・しめて108$頂こう。」」

黄「何故ドルなんだ?円高か?」

鈴木「別に何となくだ。何だ、フランがよかったか?」

黄「そうか・・・(この薬大丈夫か?)」


鈴駒「昔オイラが読んだのだとチョークで声変えてたっけ。」

修「へぇ〜、チョークで声変わるの?」

蔵「修羅、試そうとしてチョーク食べちゃダメですよ?試すんなら黄泉でね。」

修「はーい!」

躯「さりげなーく嫌がらせしてるな・・・(大賛成だけど)」


黄「ごっくん・・・あー、あー、あー・・・ほぉ、コレはすごい。本当に声が変わった。」

躯「多分お前の人生にも劇的な変化をもたらすと思う。」

鈴駒「たぶんね。鈴木の薬だもんね。」

蔵「麻薬より危ない薬売ってたって違和感無いですもんね。」

修「危ない男だねー。」


蔵『こうして声を変えた狼は宝塚・・・じゃなかった。再び子ヤギたちのいる家に向かいました。』


黄「(こんこん)お母さんだぞ。買い物を終えたからドアを開けてくれ。おみやげもあるぞ。」

陣「おみやげ!?」

凍「待て陣!声は確かに母さんに似ているが・・・」

幽「オメーがホントのおふくろなら手足を見せてみろ!」

黄「うっ・・・」

陣「あー、母ちゃん足黒いだべ!」

飛「鼻が曲がりそうな悪臭だ。」

死「汚い爪だ。ちゃんと切れ。」

凍「ちゃんと風呂入ってるのか?」

酎「おー、ごつい足。」

幽「すげー濃いすね毛。」

鈴木「見るに耐えない美しくない足だ。私の脚線美を見習え。」

黄「人の足の考察は良いからどーなんだ!?」

飛「帰れ。このなんちゃって狼風情が。」

黄「くそー!!」


蔵『こうしてまたもや見破られてしまった狼は街のパン屋に飛び込みました。』


鈴木「ウェルカム!ようこそベーカリーBeautiful Suzukiへ!」

黄「別にそんなくどい店名は名乗らなくていいから私の手足に小麦粉をまぶしてくれ。真っ白になるようにな。」

鈴木「その前に足を洗ってきてくれないか?臭くてたまらん。」

黄「ごちゃごちゃいっとらんでさっさとまぶせ!」

鈴木「全くやかましくて美しくない男だ。これでどうだ!」

黄「うむ、コレであの憎たらしい母親と一緒になった。」

躯「どこが。全然違うだろうが。」

黄「やかましい!!お前さっきから何をしているんだ!?子ヤギたちが食われるのを黙って見ている気か!?」

躯「いや、早くお前の腹をかっさばいて石ぶち込んで池にぶちこむのを待っている。」

黄「オチを言うんじゃないオチを・・・」

後半へ続く・・・



はーい、いかがでしたでしょうか?童話シリーズ第三弾です。ちなみにどの童話にするかはほとんど直感です。後半へ続きます!