-LOST MEMORY REVIVE MEMORY-







凍「ふぁ〜・・・朝か・・・さて、今日も一日頑張るか。」




トントントン・・・

凍「ほぉ、さすが死々若が研いだだけの事はある。包丁の切れ味が抜群だ。」

死「おはよう、凍矢。今日は大根のみそ汁か。」

凍「ああ、昨日特売してたからな。死々若、お前に研いでもらった包丁切れ味がとてもいいぞ。」

死「ふっ、鈴木を刺すんならそれ位の切れ味でないとな。」

凍「包丁を料理以外に使うなよ・・・?」

鈴駒「朝の台所で随分物騒な会話してるねぃ。まぁ、オイラが斬られるんじゃなきゃいいけどさ。」

凍「おはよう鈴駒。酎達はまだ起きないか?」

死「鈴木は未来永劫永久不滅に起きなくていい。」

鈴駒「同感だね。」

凍「はは・・・酎は二日酔いだろ?」

酎「凍矢〜、水くれ水〜・・・」

鈴駒「あ〜あ、朝っぱらから何てむさい顔してんのさ。いつもむさいけど。」

鈴木「全く、酎の顔なぞ朝一番で見るモノではないな。」

死「お前のもな。」

鈴木「何を言う!朝一番の私のフェイスと来たら元旦の初日の出にも勝る神々しい光を解き放っていると言うに!!」

鈴駒「神々(こうごう)しいんじゃなくて、禍々(まがまが)しいんだよ。」

凍「お前ら台所で騒ぐな。鍋がひっくりかえる。」

鈴木「そうだ!お前達は出て行け!私はここでゆっくり死々若と凍矢の裸エプロンを拝むから!!」

「お前が消えて無くなれ!!」

鈴木「ぎゃあああ!!私は本当の事を言っただけなのに!!」

鈴駒「なおさら人間失格だよ!!」

凍「死々若!台所で刀振り回すな!!」

酎「お前ら大声出すな・・・頭に響くだろうが・・・」

鈴駒「ちょっと、酎ふらふらしないでよ!あっ!凍矢!!みそ汁沸騰してる!!」

凍「何!?みそ汁は煮すぎてはいかん!!」

陣「おっはよー!!うーん!みそ汁のいい匂いがするべ♪今日の具は何だべ?」

凍「陣!!いきなり全力疾走でみそ汁の具確かめに来るな!!って、うわっ!?」

陣「あっ!!みそ汁の鍋が!!」

酎「俺・・・もう・・・ギブミーチョコレート・・・」

鈴駒「ワケわかんない倒れ方するなー!!って、うわっ!?

鈴木「死々若!!こんなトコと状況で刀振り回すなと言うに!!どわっ!!

死「鈴木!!俺の袖掴むな!!」




小兎「えー、突然ですが、この六人衆の面々に起こった状況を解説させて頂きます。

えー、まず凍矢選手が沸騰したみそ汁の鍋を火から下ろそうとして手を滑らせ、

陣選手がひっくり返った鍋と凍矢選手を受け止めようとして凍矢選手の上に倒れ込み、

その上に二日酔いの限界が来た酎選手がのしかかるように倒れ込み、

鈴駒選手がこぼれたみそ汁に足を取られ転び、滑り込みセーフのスタイルでのっかり、

死々若丸選手の猛攻に追い立てられた鈴木選手が無駄に華麗に転んで尻餅をつきながら

倒れ込み、そのまま鈴木選手が死々若丸選手の着物の袖を引っ張って巻き添えを食った

死々若丸選手が倒れ込んだのであります。以上、解説の小兎でした。」(ギャラは無し)




死「ちょっと待て・・・今の説明でいくと・・・」

鈴駒「凍矢一番下!?」

鈴木「むっ!!早くよけなくては!!」

死「そう言いつつ俺の尻撫でてるこの手はどいつの手だ!?」

鈴木「私のビューティフルハンドに決まっているではないか!!」

鈴駒「どさくさに紛れて何セクハラしてんだよ!!」

鈴木「どさくさなんかではない!!神が与えてくれたチャンスだ!!」

鈴駒「神様がセクハラの手助けなんかするかー!!」

陣「あのー・・・そろそろよけてくんねーべか・・・」

鈴駒「あっ!ゴメン!!凍矢大丈夫!?」

死「一番下が鈴木だったら良かったのに・・・」

鈴駒「酎でもね。」

陣「凍矢ー、大丈夫だべか!?みそ汁もかかったから火傷してねぇだか!?」

鈴駒「圧力はともかく、凍矢は氷使いなんだから火傷はしないでしょ。」

酎「そうだそうだ。俺に惚れたら火傷するぞ?」

死「心配無い。誰も惚れん。」

陣「凍矢?」

凍「ん・・・俺は・・・」

鈴駒「どっか打った?」

陣「凍矢どっか痛いだか?」

凍「とう・・・や・・・?」

死「・・・凍矢?」

陣「凍矢?どうしただ?」

凍「俺・・・お前は・・・誰だ・・・?」

陣「・・・・・・・っ!凍矢!オラだよ!オラだべオラ!!」

凍「と言われても・・・」

酎「まさか・・・」

鈴駒「コレって・・・」

死「記憶喪失・・・の様だな・・・一時的なものだと思うが・・・」

鈴木「凍矢!私が分からないのか!?」

凍「すまない・・・誰だ?」

鈴木「お前の婚約者の美しい魔闘家鈴木を忘れたと言うのか!?6月に式を挙げて(教会スタイル)

軽井沢に5LDKの庭付き一戸建ての家(ログハウス風)を買って、

朝はクロワッサンと紅茶、昼はクリームスパゲティ、

夜は洒落た高級なワインを片手にフランス料理!!

子供は女の子と男の子一人ずつ!!

ここまで人生設計を立てたパートナーのこの鈴木を忘れたと言うのか!?」

凍「そ、そうなのか?」

ザシュッ

死「この一大事に何をふざけている・・・」

鈴駒「こんな時に記憶ねつ造すんじゃないよ!!」

鈴木「私はいたって真面目だ!!」

酎「どこがだよ!!」

死「心配無用。最初からそんな話は無い。そして未来にも無い。」

鈴駒「あ・・・凍矢火傷してるよ!肩のトコ!!」

死「記憶無くなって妖気もうまく出せていないのか?」

酎「とりあえず手当すんぞ。救急箱どこだ?」

鈴木「ここの所斬られてばかりで包帯だの湿布だの全部使ってしまった!!」

酎「えばって言うな!!」

死「仕方がない。蔵馬の所に行くぞ。薬草か何かあるだろ。」

鈴木「心配無い!!この鈴木印の『火傷にはこの薬使ったら治るんヤケド』を使えばすぐ治る!!」

鈴駒「心配だらけだよ!!成分も作った奴も!!」

酎「しかもギャグつまんねーよ!!」

陣「とにかく早く冷やすべ!氷は・・・」

鈴駒「氷はいつも凍矢が作ってるからストック無いよ。」

陣「じゃあオラの風で・・・!!」

凍「・・・っつ・・・!」

陣「・・・・・・凍矢?」

酎「とりあえず水ぶっかけとけ。」

死「酎、鈴木の頭にも熱湯ぶっかけといてくれ。」

鈴駒「じゃあ行こうか。酷くならないうちにさ。」

凍「あっ・・・」

死「ああ・・・俺達の事か、俺は死々若丸だ。」

鈴駒「鈴駒だよん♪」

酎「酎だ。」

鈴木「美しい魔闘家鈴木だ!!美しいにアクセントを付けて呼んでくれたまえ!!まぁ、『あなたvv』と呼んでくれても・・・

ザシュッ

死「コイツのことは一生忘れてていい。むしろ消せ。

凍「そ、そうか・・・お前は何て言うんだ?」

陣「ん?ああ、オラ陣だべ・・・陣だべ・・・」

凍「そうか、陣か。いい名前だな。」

陣「オラは凍矢の名前の方が好きだべ。」

酎「じゃあ行くとすっか!凍矢の『記憶カムバックツアー』!!」

鈴駒「何そのツアー名。あと添乗員。」

陣「・・・・・」

死「陣?行くぞ?」

陣「ん?ああ・・・」










陣「凍矢・・・」










ついさっき・・・オラの名前呼んだのに・・・