死「と言うわけなんだが何とかならんか?」
蔵「忘れさせるのはあっても思い出すと言うのはちょっと・・・と言うわけで。」
鈴駒「と言うわけで?」
蔵「黄泉、凍矢に慰謝料払ってください。」
黄「何でそうなるんだ!!」
蔵「きっと過労が原因なんですよ。だから上司の責任として慰謝料払いなさい。」
黄「だったら私だってお前に慰謝料請求したいわ・・・」
鈴駒「無理でしょ。」
酎「即棄却だな。」
陣「蔵馬〜、何とかならねぇべか?」
蔵「うーん・・・俺も医者の類では無いですからね・・・」
鈴木「むっ?お前マッドサイエンティストではなかったのか?」
蔵「それはあなたでしょ。」
一同(いや・・・二人ともだろ・・・!!)
蔵「凍矢?陣の事も覚えてないんですか?」
凍「すまん・・・分からん・・・」
蔵「別に気にしなくていいんですよ。陣の事覚えてないと言うと陣と会う以前の記憶と言う事ですね。」
黄「と言うことは知能の方も・・・」
蔵「それは大丈夫みたいですね。あなたと違って。」
黄「・・・・・」
蔵「とりあえずコレ飲んでみてください。」
凍「・・・・・この色はオレンジジュースだが匂いはキムチとわさびとマスタードが
混じり合おうとして反発しあうが如く化学反応を起こしている液体らしき物体のコレは何だ・・・?」
蔵「『思い出せ草(そう)』と言う野草のエキスを抽出したモノです。ちょっと辛いとは思いますが。」
死「コレはちょっとやそっとどころの話じゃないだろ・・・」
酎「コレ飲んだら余計記憶吹っ飛ぶんじゃねぇか・・・?」
鈴駒「てか命が吹っ飛ぶよ・・・」
鈴木「しかし飲んでみなければ始まらん!!凍矢!」
陣「凍矢!根性とかで飲むだ!!」
凍「とかって何だ、とかって・・・」
酎「もしかしたら世紀末的にも美味かったりして・・・」
鈴駒「次の世紀末まで90年以上あるけどね。」
凍「・・・・・遺書書いておいた方がいいかな・・・?」
鈴木「仕方がない!!私が口移しで・・・!!」
斬!!
死「凍矢、迷ってる暇は無い。友情・努力・勝利で飲め。」
凍「そんなジャンプ三大テーマで飲めると言うのかコレは・・・」
一同「凍矢ファイト!!」
凍「ぐっ・・・!!虎穴に入らずんば虎児を得ず!!」
黄「そうだ!!預金しなければ利子は増えん!!」
凍「はぁぁぁ!!」
3秒後
酎「う〜ん、凍矢しっかり燃えつきちまったな・・・」
鈴駒「あんな漢(おとこ)な凍矢初めて見たよ・・・」
陣「『根性で記憶戻そう作戦』ダメだったべ・・・」
蔵「そうですね・・・じゃあ、躯のトコ行ってみたらどうです?百足も性能の高い医療マシン
搭載してますから。」
陣「凍矢治るかな・・・」
鈴駒「とりあえず行ってみようよ。今はとにかく何でもやってみないと。」
蔵「ああ、治療に掛かるお金は全部黄泉に請求する様に躯に言っておいてください。」
死「言わなくても請求するだろう。」
鈴駒「他の請求書もセットでね。」
鈴駒「と言うわけでかくかくしかじかエトセトラなワケよ。」
躯「エトセトラなワケか。とは言ってもウチのはケガを治すのが専門なんだが・・・」
飛「くだらん。記憶なぞガッツと根性で何とかしろ。腹痛はさっさと便所行け。」
鈴駒「そういう抽象的な治療法は如何かと・・・」
鈴木「もっとこう美しく治る方法は無いのか。」
躯「記憶戻すのに美しいも何もないだろ。」
陣「躯何とかしてくれだべ〜。」
躯「何とかと言われてもな・・・」
飛「時雨にでも診せるか?」
躯「あいつは外科だ。」
陣「飛影、邪眼で何とかならないべか?」
飛「催眠術でいいのか?」
鈴駒「やってみてよ。今は何でもためしてガッテンだよ!!」
飛「凍矢、俺の目を見ろ。」
凍「目・・・?」
じー・・・
-30分後-
躯「・・・・・・もう止めろ。何か終わりのないにらめっこやってるみたいだ。」
陣「凍矢にらめっこ強いだからな。」
死「この場合は相手によると思うんだが。」
鈴駒「酎の顔見たら一瞬で吹き出すよ。」
鈴木「して!!凍矢何か思い出せたか?美しい私との思い出とか!!」
死・鈴駒「最初から無い無い。」
凍「・・・・・コレと言って何も・・・」
陣「ダメだべか・・・」
躯「何、急ぐ事もあるまい。ゆっくり思い出していけばいいさ。」
飛「幽助の所に行って見ろ。一回死んで生き返った奴だ。何とか出来るかもしれん。」
躯「伊達にあの世は見てないらしいからな。」
鈴駒(馬鹿は死ななきゃ治らないって事じゃないよね・・・?)
死(迷信だろ。鈴木は死んでも鈴木だ。)
酎「よし!!次行ってみよう!!」
陣「と言うわけで幽助!よみがえりパワーで何とかしてくれだべ!!」
幽「そりゃあ大変だな。でもよみがえりパワーってのはコレと言ってねぇぞ?」
螢「幽助身体は超人だけど頭はどうしようもない馬鹿だから。」
幽「うっせーよ。テストだけで評価されちゃやってられねぇんだよ。」
陣「そうだべ!逆上がり出来る方がかっこいいんだべ!!」
死「だからって0点ばかり取るのはどうかと思うが。」
幽「とりあえず俺のラーメンでも食ってみるか?」
螢「ラーメンで記憶戻った話なんか聞いた事無いわよ?」
幽「いや!俺のラーメンならいける!!」
陣「じゃあオラ豚骨チャーシューメン&チャーハン大盛り!!」
死「俺は塩ラーメン。」
酎「俺はビールと餃子、それと豚骨ラーメンな。」
陣「あっ!餃子オラも食う!!」
鈴駒「オイラはしょう油ラーメンね♪」
鈴木「私はお肌にいい野菜ラーメン!!」
幽「おめぇら注文多いっての!!」
鈴駒「いいじゃない。作りがいがあるっしょ?」
陣「凍矢は何にするだ?」
凍「・・・冷やし中華。」
螢「中身はちゃんと凍矢君って感じだね。」
幽「へいっ!!おまっどさん!!」
陣「(ちゅるちゅる・・・)うん!うまいだ!!おかわり!!」
死「陣、わんこそばみたいにラーメン食べるな。」
鈴駒「チャーハンもね。」
鈴木「酎!あまりラー油をかけすぎるな!辛くて食えんぞ!!」
酎「人の餃子食ってんじゃねぇよ!!」
螢「凍矢君、冬に冷やし中華食べて寒くない?」
凍「ん?いや、うまいぞ、この冷やし中華。よく冷えてて。」
幽「真冬にかき氷食っても平気そうだもんな。」
鈴木「死々若、その塩ラーメン一口vv」
死「人のをねだるな。仕方ないな・・・ほらあーん。」
鈴木「あーんvv・・・ってしょっぱああああ!!!!」
死「塩が食べたいんだろ?だから食卓塩を突っ込んだまでのこと。」
鈴木「ははひはひほはーへんはふひはひほひっはんは!!」
訳:私は塩ラーメンが食べたいと言ったんだ!!
酎「ほらほら、このラー油で中和しろ。」
鈴木「おお!!ありがたい!!ってんなワケあるか!!」
鈴駒「ちょっとうるさいよ!早く食べないとラーメン伸びちゃうよ。」
螢「そう言えば前に躯さん達がラーメン食べに来た時は飛影君のラーメンコショウまみれになったね。」
酎「飛影ってそんなラーメンが好きなのか?」
幽「んにゃ、躯が飛影のチャーシュー食おうとしてビンごとコショウ突っ込んだんだよ。」
凍「にぎやかな食卓だな・・・」
死「俺にはやかましいとしか思えん。」
凍「いつもこんな感じなのか?」
死「悲しいぐらいにな。」
陣「凍矢ー、チャーシュー一枚やるだvv」
凍「ああ、ありがとう。じゃあ冷やし中華も食べるか?」
陣「食う食うvv」
鈴木「ほら!!記憶を無くした凍矢と陣でさえこのラブマシーン状態なのに、少しは見習おうと思わんのか!!」
死「凍矢の記憶があろうと無かろうと俺達の関係に進展など無い。」
鈴駒「後退しないだけありがたいと思わなきゃダメだよ鈴木。」
鈴木「うるさい!!人とは常に進化し続ける生き物なのだ!」
鈴駒「アンタは進化じゃなくてトランスフォームって感じだよ。」
死「分かった分かった。そんなに言うんなら・・・凍矢、俺にも冷やし中華くれ。」
凍「ああ、ほら。」
鈴木「なっ!!死々若!私と言う者がありながら!!凍矢!私にも愛の一口!!」
凍「すまない、もう全部食べてしまった。」
螢「で?何か思い出せた?このテンションとか。」
酎「テンションで記憶って戻るのか?」
鈴駒「コレラーメンで思い出す作戦でしょ?」
凍「ん・・・美味かったが・・・何も思いだせん・・・」
螢「そっか・・・」
幽「俺のラーメンパワーでもダメっつーのは重症だな。」
鈴木「無論だ。私のビューティーパワーでもダメだったのだからな。」
鈴駒「こうして、『ラーメンずるずる、ついでに記憶もず〜るずる作戦』も失敗に終わった・・・」
幽「仕方ねぇ、こうなったら最後の手段だな。」
陣「最後の手段?」
幽「そんなこんなあんなどんなワケだから!!権力のパワーで何とかしろ!」
コ「いきなり言うな!わしだって暇じゃないんだぞ!!」
ぼ「コエンマ様ー、そろそろミリ○ネア始まりますよー。」
コ「・・・・・・」
幽「めっさ暇そうですな。」
コ「わしだって休憩くらい取るワイ。」
鈴駒「じゃあそのほっぺに付いてるヨダレの跡も休憩の時に作ったんだね?」
死「その手元にある書類のしみは何だ?」
コ「・・・・・さ!!問題は凍矢だな!!」
ぼ「おやおや、何だい?記憶喪失だって?大変やね〜。」
幽「大変と言いつつその饅頭はなんじゃい。」
酎「お前さん偉いんだったら凍矢の記憶戻して見せろや。」
コ「偉そうに言うな!元はと言えばお前らが原因だろうが!!」
陣「むー、悪気があったワケじゃないべ〜・・・」
死「不慮の事故だ。」
鈴木「想定の範囲外だ。」
幽「ぐだぐだ言ってねぇで戻せっつーの!そのおしゃぶりが伊達じゃなかったらな!!」
コ「おしゃぶりは関係なかろう!」
ぼ「コエンマ様、先にこっちの書類にハンコ押してくださいな。」
コ「ん?ああ・・・えっと、あんこはっと・・・」
ぼ「コエンマ様、あんこじゃなくてハンコですよ。」
コ「おお、そうじゃったそうじゃった。こっちに置いたかな?あれ?何探してたんだっけ?」
鈴駒「ダーメだこりゃ。」
陣「何かこう記憶が戻る魔法とか無いんだべか?」
ぼ「魔法ねぇ・・・ほーんと、呪文一つで何でも叶えられりゃいいんだけどね〜。」
鈴木「こうなったら七つの球を集めて・・・」
酎「いや、ここはテクマクマヤコンだ。」
鈴駒「もっと現実見つめようよ。ねぇ?コエンマさん?」
死「さ、そろそろお前の力見せてもらおうか?」
幽「それとも、コエンマ様ともあろう者が何も出来ないと言うワケは無いよな?」
コ「むむ・・・そこまで言うなら見ろ!!このコエンマパワーを!!凍矢!そこに座れ!!」
凍「う、うむ・・・」
コ「はぁぁぁぁ・・・」
陣「コエンマ、いつになく本気顔だべ!!」
ぼ「仕事でもあんな真面目顔見せないのに・・・」
幽「てか普段ちゃんと仕事してんのか?」
ぼ「してない時間の方が多いやね。」
鈴駒「ダメダメじゃん・・・・・」
コ「はぁぁぁぁぁぁ・・・!!」
鈴木「気合いのゲージがMAXになったぞ!!」
コ「はっ!!!」
ぽん
コ「今はコレが精一杯・・・」←薔薇の花一本差し出して
凍「・・・・・・」
陣「コエンマ、それだけだべか?」
コ「だからこれが精一杯と言っておろうが。」
鈴駒「ねぇ、お宅転職した方がいいんでない?」
ぼ「そうやねぇ・・・」
凍「・・・・・・俺、記憶戻らないのかな・・・」
陣「凍矢・・・」
死「貴様のせいでさらに落ち込んだではないか。責任取って慰謝料払え。」
鈴駒「死々若、最近蔵馬に似てきたね。」
死「結局『権力で出来ない事は無いと言う事を証明しろ作戦』も効果は無かった・・・」
凍「・・・・・本当に、思い出せるかな・・・俺・・・」
陣「大丈夫だべ!絶対戻すべ!凍矢は思い出す事だけ考えるだ!!」
酎「そうだ!思うだけでも結構実現するモンだぜ?俺もトイレで『出ろ〜・・・出ろ〜・・・』って
ふんばればかなりの豊作だぜ?」
鈴駒「例えがばっちぃよ!!お前今朝も流し忘れたろ!!」
酎「俺からの贈り物だ!!」
一同『いるかあああああ!!』
鈴駒「はぁー、結局今日は収穫無かったね。ちなみにこの宅配ピザと出前寿司経費で落ちるかな?」
酎「『落ちぬなら落としてみよう晩飯代』」
鈴木「よし!こうなったら私が凍矢のために一肌脱いで記憶が戻る薬を・・・!!」
死「最後の最後の手段がダメでもお前の薬には絶対頼らん。」
陣「凍矢!明日また頑張って記憶もどそ・・・」
凍「・・・・・・すぅ・・・・」
陣「あれ?凍矢寝ちった。」
鈴駒「無理もないよ。記憶無くして不安な上にあっちこっち連れ回しちゃったもん。」
死「生死の境も彷徨わせたしな・・・」
鈴駒「今日はこのままゆっくり寝かせてあげようよ。」
死「そうだな。朝起きたらふっと思い出すかもしれんしな。」
陣「んだな・・・」
酎「んじゃあ布団しいてやるか。」
鈴木「酎、布団は一つ枕は二つでよろし・・・」
ザシュッ
死「お前墓で寝るか?うん?」
鈴木「わ、私はお前の腕の中以外では死なん・・・」
陣「・・・・・・」
鈴駒「陣?どうしたの?」
陣「ん?いや、変わらねぇだなーって。」
鈴駒「何が?鈴木の性癖?」
陣「そうでなくて、ほら。」
鈴駒「うん?」
いつもの凍矢の寝顔・・・
今は忘れてても・・・
凍矢はいつでも凍矢だべ・・・