SUMMER×SURPRISE×SUDDENLY







躯「毎度同じ言い回しで何だが、暇だな・・・」

飛「なら俺も毎度同じ言い回しで返すが暇なら仕事したらどうだ?」

躯「そう来るならオレも定番で返すがそれはもっと暇だな・・・」

飛「だったら何度も言ってるが寝てたらどうだ。」

躯「止めないか?こんな無意味を極めた様な会話は。」

飛「言い出しっぺはお前だろ・・・」

躯「暇だからコレを見てみたいんだが?」

飛「また人間界の雑誌を読みやがって・・・解散したとは言え、元一国の王としてもっと見るべき物があるんじゃないのか?」

躯「例えば?」

飛「経済新聞とか英字新聞とかいろいろあるだろ。」

躯「魔界に株式会社があるのか?」

飛「・・・・・・で、何を見てたんだ?」

躯「新聞の四コマしか見ないお前が新聞を語るなって。で、コレコレ、コレが見たいんだ。」

飛「花火大会?」

躯「ああ、綺麗だろ?コレは是非生で拝みたいぜ。」

飛「くだらん。花火なんざ魔界でも見られるだろ。わざわざ人間界に行く必要など無い。」

躯「オレはまだ人間界に行くとは一言も言ってないぜ?」

飛「・・・・・」

躯「何だかんだ言ってお前も行きたいんじゃないのか?」

飛「行きたいワケあるか!」

躯「じゃあ恒例の。お前が行かないなら時雨か奇淋を連れて行くか。」

飛「あいつらはごついからダメだと言ってるだろ!」

躯「じゃあお前が来てくれるんだな?」

飛「う・・・」

躯「決まりだな。にしてもお前本当に人間界に行きたがらないな。そんなに狐に弱みでも握られてるのか?」

飛「そんなワケあるか!黄泉じゃあるまいしな!」






「ぶえっくしょい ぶえっくしょ〜い!!」

修「パパ汚〜い!つば飛んだよ!」

蔵「なんで中年のくしゃみはこう気品が無いんでしょうね。しかも活字だから伝わらないと思いますけど

二発目のに微妙にビブラート効かせてるし。」

黄「いい歳したおじさんが"くしゅん♪"って可愛いくしゃみする方が不気味だろうが。」

蔵「あなたはくしゃみしなくたって不気味です。」

修「パパ風邪?」

蔵「お馬鹿だからひきませんよ。誰か噂してるんじゃないですか?」

黄「うーん、の噂かなの。はっはっは、私もまだまだイケてるからな♪」

蔵「確かくしゃみは一回の時はいい噂、二回の時は悪い噂じゃありませんでしたっけ?」

「え。」






躯「さて・・・浦飯邸の前までやって来たのはいいとして。今日はどこから侵入したものか・・・」




幽「・・・飛影と躯が近くまで来てる気がする・・・」

螢「そうなの?でもなかなか入って来ないわね?なんかあたしも今日躯さん達が来るんじゃないかなーって

思って幽助の家に来てるんだけど・・・」




飛「押入やら机の引き出しやら考えつく所はもう使ってしまったからな。」




幽「あいつらは絶対同じ手段は使わねぇんだ。そういうトコに妙に執着してっからな。」

螢「妙に執着って言うか妙な執着よね。よっぽどアンタの事驚かせたいんじゃないの?」




躯「同じ手じゃ浦飯驚いてくれないだろうし、同じ手使って驚くのは黄泉ぐらいだからな。」




幽「何処だ・・・受話器の穴か換気扇の隙間かコンセントの差込口か・・・はたまた俺の鼻穴からか!!」

螢「そんな飛影君達ところてんじゃないんだからそんなトコから入ってこられるワケないじゃない。」




躯「飛影、換気扇から入って行くってのはどうだ?」

飛「コンセントの差込口と言う手もある。」




幽「来たっ!あいつらウチのすぐ近くにいる!!」

螢「今日は普通に玄関から入って来るんじゃない?」

幽「いや!絶対あいつ等は期待をブリッジでかわすような奴らだ!油断なんねぇ!!」




ピンポーン♪




「来たっ!!どっからだ!受話器か換気扇かコンセントか!?」

躯「よぉ、久し振り。」


ドテッ


螢「久し振り〜vv元気でした?」

躯「元気は元気だがそこで転けてる浦飯はどうかしたのか?」

幽「おい・・・何で今日に限って玄関から入って来んだよ・・・」

飛「玄関からはいるのは常識だろ。」

幽「お前等に玄関から入る常識なんて持ってねぇだろ!!」

躯「まぁまぁ、進入経路の談議は後にして。」

幽「侵入談議の間違いだろ。」

躯「コレを見に行きたいんだ。」

螢「あっ、花火大会?」

飛「コイツのわがままもいい加減にしてもらいたいもんだ。」

躯「別にお前が連れてってくれるワケじゃないだろ。」

螢「あっ!そうだ!タイミング良く近所でお祭りがあったわ!」

飛「祭り?」

躯「祭りと言うと黄泉の様な奴を生け贄に捧げて豊作を祈るものか?」

幽「そりゃあどっかの儀式だな。」

螢「こっちのお祭りはいろんな出店が出てて、にぎやかだし楽しいのよ。」

躯「それは花火が見られるのか?」

幽「もっちろん!酒引っ掛けながら見る花火は風流だぜぃ♪」

飛「風流か、貴様に似合わない単語の一つだな。」

幽「ンだとコラァ!!」

螢「いいでしょホントの事なんだから。幽助が全部お金出してくれるし、行こうよ躯さん。」

躯「ああ。そっちも面白そうだ。」

飛「くだらん。花火だけ見たいんじゃなかったのか?」

螢「いいじゃない、飛影君も行こうよ。絶対楽しいから。」

幽「あーダメダメ。飛影絶対人混みに行くと迷子になるから。チビで。」

飛「貴様も花火と同じ末路にしてやろうか・・・」

躯「お前も本当の事なんだから怒るなって。じゃあ早速行こうぜ。」

螢「ちょっと待って。ちゃんと準備してから行かなくちゃ。躯さん一回ウチに来て♪」

躯「準備?」







飛「ふん・・・何でたかだか花火を見るだけでこんなに苦労しなければならんのだ。」」

幽「別に何も苦労してねぇだろ。それに花火にはまだ時間早いって。暗くなんなきゃな。」

飛「どうでもいいがあいつら何してるんだ?」

幽「女は支度が長いんだと。」

飛「それだけでもう夜になるだろうが。」






躯「螢子・・・祭りに行くだけなのにどうして着替えなきゃいけないんだ・・・?」

螢「逆よ逆。お祭りだから着替えて行くんじゃない。」

躯「・・・そういうものなのか・・・?」

螢「そういうもの!帯とか苦しくない?」

躯「ああ・・・それは別に問題無いが、この格好は相当動きづらいんだが・・・」

螢「お祭りで戦うワケでも無し!文句言わないの!」

躯「はい・・・」(浦飯でも到底螢子には敵わないんだろうな・・・)

螢「飛影君だってこんな躯さんの姿めったに見られないんだからきっと喜ぶわよ♪」

躯「・・・あいつはオレが何着たって何とも思いやしないさ・・・・」

螢「絶対似合うって言ってくれるよ?何だったら『飛影君が似合うって言ってくれる』方に千円賭けるよ?」

躯「損するぜ?絶対にな・・・・」







螢「おまちどおさま〜♪」

幽「おっせーなー、毎度毎度待たせられるこっちの身にもなれっつーの!」

螢「しょうがないでしょー、躯さん素直に袖通してくれないんだもん。」

飛「袖?」

螢「あれ?躯さん?どうしたの?」

躯「螢子・・・やっぱり着てきた服で行きたい・・・どうもこの服は落ち着かない・・・」

幽「おっ!躯似合ってんじゃん♪」

飛「・・・・・・・」

躯「似合うとか似合わない云々じゃなくて、コレじゃ突然攻撃されたらかわしにくいだろ。ましてや螢子の服を

汚したら申し訳ないから黄泉にクリーニング請求しに行かなきゃならんし。」

幽「オメェは祭りに戦いに行くつもりか?」

螢「サイズが合って良かったvv躯さんすっごい似合ってるよvvねっ?飛影君vv」

躯「・・・・・確かに雑誌の写真にはこういうのを着た女がいっぱい写っていたが、コレを着ないと祭りに行っては

いけないのか?」

螢「行けなくは無いけど、せっかくなんだから浴衣着たいじゃない?こういう時しか着る機会無いし。」

幽「まぁ、古き良き日本の伝統って奴だな。」

螢「あっ!そうだ飛影君も浴衣着る?その格好じゃ暑いし。」

幽「ああ、俺の昔のがあったから着るか?飛影、躯とお揃いだぜ?」

飛「・・・・・・いい・・・」

幽「遠慮すんなって。ちょっとちっちゃいかもしんねーけど。」(小学生の時のだけど飛影ならまず問題ねーべ)

飛「・・・いい・・・」

螢「えっ?何?」

「だからいいって言ってるだろ!!」

幽「何いきなり怒鳴ってんだよ。」

飛「だから貴様がそんなの着ててもいいと言ってるだろ!」

幽(コイツ似合う?って聞かれてからその間会話全然耳に入ってねーな・・・)

躯「飛影・・・」

螢「ほーら♪やったねvvコレで千円分躯さんにおごってもらえるねvv」

躯「待てよ、『良い』のいいじゃなくて、『どうでもいい』のいいだろ?」

螢「違うよね?似合ってていいって意味だよね?飛影君!!」

飛「うっ、うるさい!同じ事何遍も言わせるな!躯がそんなの着ようと構わないし、たまには着物でも着て

おしとやかにしてやがれ!!」

幽「えー、ただ今のを翻訳しますと『初めて見た躯の浴衣姿に動揺していますが、とっても似合っているので

是非着ていくべきだと思うし、いつもと違った躯が見られそうなので今からドッキドキで仕方があっりませーん!!』

と申しています。」

「誰がそんな事言った!?」

幽「大丈夫大丈夫。俺英語の翻訳は苦手だけど飛影語ならばっちりだぜぃ?」

螢「アンタ『HELLO?』って言われて『GOODBYE!』って返すでしょ?」

飛「コイツの頭の悪さなんて百も承知だ!さっさと行くぞ!とっとと見て帰るぞ!」

幽「おいおい、飛影待ってって。場所分かってんのかー?」







躯「・・・・・・・」

螢「ほーらvやっぱりあたしの勝ちね♪何おごってもらおうかなー。」

躯「お前は言われた事あるのか?」

螢「あたし?」

躯「浦飯にさ。」

螢「うーん・・・どうだったかな?昔はお祭り楽しむので夢中だったし、ここ数年は一緒に行ってなかったし。

第一あいつが素直に「その浴衣姿とっても似合うよ」なんて言われても気持ち悪いだけよ。」

躯「それもそうだな・・・オレは服とかは良く分からないが、すごく似合ってるぜ?その格好。」

螢「うわー、どうしよう、幽助に言われるより躯さんに言われる方がドキドキするなvvおせじでも嬉しいv」

躯「お世辞なワケ無いだろ?オレ本気だぜ?」







幽「飛影も素直じゃなーな。たった一言『似合う』って言えば済むのによ。」

飛「そういう貴様はあの幼馴染みに言った事あるのか?」

幽「俺?言うわけねーじゃん。俺は浴衣を見てるワケじゃないし?」

飛「だったら何を見てたんだ。」

幽「祭りではしゃいでるあいつの顔を見てたから。格好なんて気にしてねぇよ。」

飛「・・・・・ふん・・・」







似合ってるなんて・・・







見惚れてたなんて・・・







殺されたって言うものか・・・